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自分流塾「一度、きれいに片づけてみる」 Posted on 2024/11/03 辻 仁成 作家 パリ
ワインを飲んだら、そのグラスを必ずすぐに洗って、専用棚にしまうようにしている。(神経質なぐらい)
そいうしないと、ワイン専用のいいグラスを他の食器と一緒においといて、壊してしまう・・・。
苦い経験から、晩酌をした後は、酔っていようが、必ず、グラスをきれいに水洗い、手洗いして、棚に戻すようになった。
とくに、神経質に、丁寧に洗うように心がけているから、ワイングラス、もう、10年くらい、割ったことがない。
ぼくはたくさんの創作を抱えているし、最近は、絵を描いているから、部屋中が作品であふれかえっている。
グラスと一緒で、ある時から、創作が終わった後、必ず、片づけるように心がけてみた。
すると、翌日の作業の始まりが心地よくなり、創作意欲も増して、はかどるようになった。
これは、ほぼほぼすべての日常生活に当てはまることが分かった。。
たとえば、ぼくは料理が好きで、ほぼ毎日、食事を作っているけれど、作りながら、同時に片づけるようになったら、料理の出来栄えがよくなり、美味しくなったのだ。
不思議に思われるかもしれないが、作りながら、その都度、使い終わった、フライパンや鍋を洗っていくのである。
そうすると、食後、前は片づけにうんざりしていたが、すでに片づけがほぼほぼ終わっているので、気楽になった。
使った分のお皿を食洗器に入れるだけ、で済むようになり、気分もいいし、料理が楽しくなり、結果、味もおいしくなったという次第である。
これを人生に当てはめてみると、よくわかる。
だらだら生きていても一生、まめに整理整頓しながら、心地よく機敏に生きても一生なのである。
あと、断捨離は大事で、とある統計によると、3年着ない服は一生着ない服らしいので、ぼくは迷わずに処分する。
フランスは、国が、着ない服を回収し(街角に回収ボックスが設置されている)、必要とする方々に配布するプロジェクトがあるので、捨てるという意識じゃなく、再利用してもらう、ことになって、罪悪感もなく、断捨離が、スムーズにできる。
一つの仕事が終わったら、大掃除をして、終わった資料は片づけ、出てきたゴミは捨てて、部屋の大掃除をして、次の仕事に向かえば、古い思考を次に持ち越さずに済むので、晴れやか。
一つの小説を書き終えたら、一度、部屋をきれいにしてから、次の創作へと向かう、ね、こうでなくてはならない。
一生は長いので、不必要なものを整理整頓し、断捨離しながら、常に、すっきりとして、挑みたいものである。
物事が停滞気味であるならば、ちょっと思い切った整理整頓をやってみようじゃないか!
さてと、今日は休日だから、ぼくも、これから、掃除をしようと思っている。
えいえいおー。
posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。