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自分流塾「他人の嫌がらせとか不満を受け止めないために」 Posted on 2024/11/17 辻 仁成 作家 パリ
人間関係における不快というのは、生きていれば、こちらが拒んでも押し寄せてくるものだ。
そして、自分のせいでもないのに、他人の嫌がらせや文句や他人が抱えている不満をぶつけられたりするから、たまらない。
楽しいはずの一日を嫌な思いにさせられたり、ぐちゃぐちゃにされたりする。
人里離れたノルマンディで暮らしているぼくでさえも、しょっちゅう、そういう嫌がらせとでもいうべき、他人からの不満をぶつけられるのだから、それもほとんどは日本からやってくるので、ネット社会から逃げるのは容易ではない、と肩をすくめるばかりである。
電車の中でよくケンカのようなものに遭遇するが、ささいなことがきっかけで、不満を持った誰かがそこに居合わせた誰かに邪気をぶつけてくるわけだから、人間というものは、恐ろしい。
くわばらくわばら、邪気に迂闊に近づいてはならない。
会社や学校や住宅地やネット社会で、不意打ちされるような攻撃を受けることがある。
これはもはや、人間社会のテロと言っても過言じゃないだろう。ぼくらは知らぬ間に、テロ攻撃を受けている、ということになる。
自分の不満を他人にがんがんぶつけてくる人間は一定数いるので、これは気を付けた方がいい。
その人は誰かに自分の不満をぶつけて、楽になるだろうが、感情的になって、不意に文句をぶつけられた側の自分はたまったものじゃない。
きっとここにビジネスなどが関わっている場合、反論もできないし、その不快をただ受け止めないとならない、という不条理がおき、長い目で見れば、寿命を縮めるくらいよくないことである。
なので、これを交わすことを身に着けることが大事となる。先に書いたように、社会的テロリストは一定数いるので、(知り合いの先輩作家は、5%程度、とはっきりと言った)、こういう人間の攻撃にさらされたら、一定数の攻撃がきた、と頭から割り切るのが便利だ。
大雨が降る確率のように捉えるのである。
しょうがないな、また雨かよ、一定数が攻めてきたわけだから、と思えば、スルーすることも容易となる。
まともに受け止めて悶々としてはいけない。寿命を縮めるのは、ばからしい。
頭を下げる必要もないので、一定数攻撃には、スルーが一番の得策である。まともに受けて、自分の一日を台無しにする必要はない、ということだ。
このような社会的テロの場合、おおげさにしないこと、静かに背中を向けること、関わらないこと、なんならブロックしてやること、こういうことを推奨したい。
そうか、その通りですね、と思い当たる人はすぐに実行して頂きたい。
しょせん、他人なのだ。
関係ない人間が、自分が抱えた不満を話を聞いてくれそうな人に、投げつけてきているだけで、不条理極まりない話なのである。
そこに費やする時間は実にもったいない。感情をコントロールできない社会的テロリストと関わらないようにしよう、と思えばいい。
「一定数」の人たちからのいわれもない攻撃は、一定数なので仕方がないね、雨に濡れる日もあるじゃん、で、終わりにするのが、ベストということになる。
温かいお風呂に入って、汚れを落とし、さっぱり気分を変えて、真っ白な心で次のページをめくるべきであろう。
悩んでぐずぐずしたり、不快なものを抱える必要はない。
辻仁成 展
-Les Invisibles NEHAN-
主催 帝京大学総合博物館
対象者 どなたでもご覧いただけます。(事前のお申込は必要ありません)
入場無料です。
会場 帝京大学総合博物館ミュージアムプラザ(帝京大学八王子キャンパス ソラティオスクエア地下1階)
会期 2024年10月18日(金)~12月23日(月)
開館時間 9:00~17:00(最終入館は16:30)
閉館日 日曜日・祝日
臨時開館日 10月27日(日):青舎祭(大学祭)実施日(一般来館可)
臨時休館日 12月14日(土)
備考
・大学構内には駐車場がございません。公共交通機関をご利用ください。
・高幡不動駅・聖蹟桜ヶ丘駅・多摩センター駅から「帝京大学構内」行きのバスが便利です。(所要時間15~20分)
・車いすでご来館予定の方は事前にご連絡ください
posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。