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ドイツの甘く賑やかな年越し Posted on 2018/01/05 ヴォルター・神山 優子  ライター・大学講師 ドイツ・ハンブルグ

一年の最大イベントであったクリスマスが終わり、ハンブルグではすでにクリスマスマーケットの解体作業が始まった。
ある雑誌の調査によると今年のプレゼントの為の一人当たりの予算は平均約460ユーロ。それは質素で倹約的なドイツ人にとってかなりの額なので驚いたが、アドベント期間が始まった日からクリスマス当日まで約1ヶ月お祭り騒ぎが続くような中、ついつい財布のひもを緩めてしまう気持ちは日本人の私でも理解できる。
クリスマスに家族や大切な人に惜しみなく贈り物をする事は信仰が何であれドイツで長く生活する人にとって、もはや伝統や習慣なのだ。
クリスマス後、ハンブルグの街にいつものような静けさが戻るかと思えば大間違い。街は年越しの準備を始めた買い物客でごった返していた。今年の大晦日から元旦は日曜日と休日が重なり、2日間お店が閉まるので人々は早々に買い物を始めた。

ドイツの大晦日と言えばラクレット(Raclette)とベルリナー(Berliner)。
ラクレットはもともとスイス料理で、チーズを温め、茹でたじゃがいもに溶けたチーズをかけて食べるというもの。ここ何十年間にドイツでこれが大晦日の定番メニューとなった。日本人がお鍋を囲むように、ドイツでは卓上にラクレット機を置く。ラクレット機は日本の焼き肉用ホットプレートが二段構造になっているようなもので、上段では肉や野菜を焼き、下段では一人ひとりが個々のミニフライパンを使用できる。ミニフライパンの中にラクレット用のチーズを入れて溶かし、茹でたじゃがいもや野菜、ベーコンなどにチーズをかけて食べる。自分の好きな具材を選び、自分のペースで食べるという自由気ままでドイツ人好みの料理だ。
 

ドイツの甘く賑やかな年越し

パン屋ではドイツの年越しにかかせないスイーツ、ベルリナー(Berliner)が大量に並べられる。伝統的なベルリナーはジャム入りの丸い揚げパンで外側には砂糖のコーティングがある。

ベルリナー発祥の地は約300年前のベルリン。当時はベルリナー ファンクーヘン(Berliner Pfannkuchen=ベルリンのパンケーキ)という名だったらしい。ハンブルグの人々はベルリナーとだけ呼んでいるが、場所によってはファンクーヘン、クラップフェン(Krapfen)と呼ぶところもある。
実は日本の某ドーナツ店にもカスタード入りのベルリナーが売られている。それに比べドイツのベルリナーの甘さは半端なく、ジャムの量も多くて一つ食べるのが精一杯。最近ではベルリナーも進化してチョコやアルコール入りのカスタードなど様々な種類が買えるようになった。
 

ドイツの甘く賑やかな年越し

ドイツの甘く賑やかな年越し

食べ物の他にドイツの大晦日を盛大に過激に演出するものが花火!
花火といっても空に打ち上げられる豪華絢爛なものや手持ち花火のような可愛いものではなく、ロケット花火や爆竹。個人がスーパーやホームセンターで購入し、家の前の道路や公園でする。年が明けた直後、街中の人々が一斉に花火や爆竹で祝うので、空が一気に昼間のような明るさになり、盛大で外はお祭りのような騒ぎだ。
 

ドイツの甘く賑やかな年越し

だが、花火をする際に消火用の水を用意したり、周りの人と距離をとって気を遣いながら遊ぶ日本とは違い、ここでは誰も何も気にせず点火する。しかも、新年をむかえた喜びと興奮状態で点火。やり方が分からない子どもも酔っぱらいもみんな点火。毎年のことだが、怪我人が出たり、火事にもなる。
ハンブルグの年明けは花火や爆竹の爆音と共に救急車や消防車のサイレンが鳴り響き、いろんな意味で賑やかなのだ。
 

ドイツの甘く賑やかな年越し

ドイツの甘く賑やかな年越し

 
 

Posted by ヴォルター・神山 優子 

ヴォルター・神山 優子 

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ライター、大学講師。
2008年に渡独。元小学校教諭、2児の母。
仕事は主に4K(家事、子育て、講師、書きもの)。ドイツの教育をテーマに日本の雑誌や地方新聞に執筆。