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やっぱり、プロヴァンスが好き! Posted on 2017/01/30 町田 陽子 シャンブルドット経営 南仏・プロヴァンス

やっぱり、プロヴァンスが好き!

プロヴァンスの冬の夕焼けは何度見ても感動する。
ここは太陽に愛された地。大げさながら、天国と言ったっていい。
地中海は紺碧に輝き、カマルグでは野生のフラミンゴが空を飛び、 白馬たちが草を食んでいる。
野ではミモザが咲き誇り、そろそろアーモンドの白花も開き始める。

そんなところで暮らしているというのに、去年は冗談じゃなく、白髪が一気に増えた。
つまり、相棒のダヴィッドと私は古い家を買ってしまったのだ。
当然ながら、大工事となった。
場所は、リル・シュル・ラ・ソルグというアヴィニョンの東に位置する小さな運河の町・・・。
 

やっぱり、プロヴァンスが好き!

ここは南仏、もちろん工事が期限通りに終わるだなんて思ってはいなかった。だから余裕をみて「この日なら絶対に鍵を渡せますよ」と工事業者が宣言した日から、さらに3週間の余裕を持ち、引っ越し日とした。
しかもさらにその1ヶ月後からシャンブルドット(民宿)の予約を入れ始めた。(我々は民宿を営んでいる)。

結果から言えば、業者が太鼓判を押した日でさえ、ペンキ塗りどころかキッチンは手付かず、窓枠さえ、ドアさえ付いてない。私は自分のことを楽天家だと思っていたが、プロヴァンスでは悲観論者でしかない。
心配し過ぎて胃を痛めているのは私一人。
責任者ムッシュ・ブシャレルは予定通りポルトガルへ10日も休暇に出てしまうし、現場担当の20代男子ダミアンとチャパは納期が過ぎていてもお構いなし、週末は通常通り休んでいる。
 

やっぱり、プロヴァンスが好き!

さて、引っ越し当日、運送屋が「そんなの南仏じゃ普通だよ。うちの弟なんて、引っ越してから家ができたのは2年後だぜ」と半ば自慢げに私たちを慰めた。
私たちはダンボールを積み上げた部屋で寝起きをすることになる。
玄関のドアが使えないので梯子で2階の窓から上り下りする生活。どこもかしこも家中ホコリだらけである。
なんとか一日でも早く工事を終わらせたい。
私は彼らの機嫌をとり、足りない材料を大工道具専門店まで買いに走り、ニス塗りなどの作業も手伝い、しまいには石切場まで120キロもする石板を探しに行く羽目になった。

相棒のダヴィッドは、さすがフランス人、すかしたり脅したり、笑わせたりしながら、若者たちの尻を叩く。
ここではどんな時もユーモアが大切だ。
友人は、「運がいいわよ。こんな大変な工事、途中でやめて来なくなっちゃうのが普通よ、南仏だもん。ラッキーよ」と苦笑い。やれやれ。
取り敢えず、最初のお客様が到着するまでになんとかしなければならない。
外壁の塗装をし、窓枠や鎧戸を突貫工事で取り付けた。
ダンボールや工事道具などは事務所やガレージに運んでなんとか急場を凌ぐことになる。
 

やっぱり、プロヴァンスが好き!

シャンブルドットを始めて、今年で6年目。
私は40歳すぎてのフランス移住。この国に特別興味があったわけでもなく、フランス語もままならなかった。
事故にあうように今は相棒のフランス男に出会ってしまった。

そして彼と小さな宿を始めた。やり直しは何歳になってもできるというのが、私の信念。
フランスのシャンブルドットは最大5部屋まで作れるが、うちは1組限定と決めている。
今回の家造りに関しても、妥協せず、自分たちの望むものに近付けた。
家の中の色も、最初は白。ここから、少しずつ自分たちの色を付けていきたい。変化する楽しみさえも常連のお客様と共有したいのである。

工事はまだまだ続いている。終わりは見えないが、郷に入っては郷に従え。
慌てず、焦らず、皆で解決方法を探りながら、南仏的精神でゆっくりと乗り越えてゆくしかない。
この新しい家をどんな人がノックするのであろう。どんな出会いが待っているだろう。
もうすぐ、春だ。プロヴァンスが輝く季節がやってくる。

やっぱり、私はプロヴァンスが好き。
 

やっぱり、プロヴァンスが好き!

Posted by 町田 陽子

町田 陽子

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Yoko MACHIDA
シャンブルドット(フランス版B&B)ヴィラ・モンローズ Villa Montrose を営みながら執筆を行う。ショップサイトvillamontrose.shopではフランスの古き良きもの、安心・安全な環境にやさしいものを提案・販売している。阪急百貨店の「フランスフェア」のコーディネイトをパートナーのダヴィッドと担当。著書に『ゆでたまごを作れなくても幸せなフランス人』『南フランスの休日プロヴァンスへ』