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ドイツで子供の日本語教育どこまで? Posted on 2023/06/19 マイヤー 智栄 会社員 ドイツ・マインツ
「小学校が終わったらもう日本語やらないからね!」と9歳の息子に宣言されたのは、つい最近のこと。ドイツの小学校は4年間で現在彼は3年生。夏休みが終わると新しい学年が始まり4年生に。つまり、あと1年ちょっとしたら日本語はこれ以上勉強したくない、ということらしいのです。
彼の現在の日本語学習は、週に1時間のオンライン、プライベートレッスン。レッスン時間は少ないものの、宿題が多く毎月漢字のテストもあり、現地校の勉強も段々大変になっている中で、彼が日本語を負担に感じているのは気付いていました。
親としては何とも複雑な気分ですが、気が変わるかもしれないし…と思い、敢えて反論はせず、そうね…と言葉を濁してその場は終了。
ドイツで暮らしていくには日本語ができなくても全く問題ありません。でも、どうして息子に日本語を学んで欲しいのか。理由は色々ありますが、まず第一は自分のルーツがある国の言葉を知って欲しいということ。そして、日本に行った際、私抜きでも私の家族や友人達とコミュニケーションがとれるように、特に英語もドイツ語もできない私の両親のためにも、日本語を話せるようになって欲しかったのです。
それだけではありません。
我が家のドイツ人夫の日本語レベルは、10段階で例えれば限りなくゼロに近い1。もちろん日本語で会話をするなんて夢のまた夢です。なので、家で日本語を話す相手が欲しい、と私が思っていたのも大きな理由です。
言葉は出来なくて困ることはあっても、出来て困ることはない、と常に思っている私。そして私自身、子供の頃に外国語を学ぶ機会があったのに、絶対しない!と駄々をこねやめてしまい、大人になってから勿体無いことをした…とものすごく後悔しました。あの時やめていいと言ってくれた親を、続けるように強制してくれていればよかったのに、と逆恨みしたことも。そういう自身の経験から、今は大変でも、将来いつか、日本語を勉強させてくれてありがとう、と息子から感謝されるはず、と思っていますがどうでしょうか…。こうやって書き出してみると親のエゴというか、勝手な思いを押し付けているような気がしなくもありません。
私の周りの日本語教育は実に色々です。補習校と呼ばれる週末の日本語学校に通わせている家族もいれば、通信教育で勉強させた、という知り合いもいます。何が正解なのかは分かりませんし、どのレベルまで学ばせるべきなのか、特に漢字の読み書きについては正直悩むところです。
最近見たKilling Eve というTVシリーズの中で、Language is information. Information is everything. (語学は情報。情報は全て)というセリフが出てきて、あぁ正にその通りだな、と思いました。そして、子供の時に誰かがこう言って外国語を学ぶ重要さを説明してくれていたら、もっと外国語を学ぶ価値を理解していたかもしれない、と悔しい気持ちにも。
次回息子が日本語の勉強をやめる、と言ったらこのセリフを使って説得してみようかと密かに思っています。9歳児が理解してくれるかは分かりませんが…。さて、彼の日本語学習はいつまで続くでしょう?
Posted by マイヤー 智栄
マイヤー 智栄
▷記事一覧東京都出身。2010年よりドイツ、マインツ在住。
ドイツ人の夫と息子、2匹の猫との5人暮らし。