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スローコスメに圧倒的に惹かれるフランス人女性、メイクはますますナチュラルに Posted on 2023/09/04 NANA メイクアップアーティスト パリ
フランスのオーガニック・ビオ化粧品はどんどん進化し、ここ数年で従来の化粧品と肩を並べるようになりました。
市場も成熟しつつあり、店舗にはスキンケアからメイクアップ、シャンプー、生理用品までビオのものがたくさん並んでいます。
実際に見ていても、こうした「スローコスメ」を手にするフランス女性は本当に多いです。
こちらの雑誌でも、ビオ化粧品だけの特集が季節ごとに組まれるほど。
※スローコスメ…フランスで生まれた概念で、ほとんどが自然の成分で作られた化粧品のこと。
その特徴は、自然で健康的なだけでなく、環境にも配慮した製法が取られています。
フランス人女性のスキンケアは一般的に、拭き取りクレンジング→保湿クリームと(たまに美容液)、いたってシンプルです。
しかしアイテムへのこだわりは非常に強く、値段は手頃か、きちんと効果があるか、自然由来かどうかを厳しい目で見ています。
そしてもしお眼鏡にかなわなければ、彼女たちはフランス人らしい批判精神をもって長所・短所を述べたりします。
女性たちの会話を聞いていても、「さすがフランス」と感心してしまうほどです。
そんな厳しいフランス女性ですが、昨年には10人中9人以上(92%)が、最低年に1回はビオ化粧品を購入していることが分かりました。
日常的に愛用する人はおよそ2人に1人、51%にも上ったそうです。
(フランス世論研究所、Ifop調べ)
愛用者はパンデミック以降に特に増えているとのことですが、調査ではまた、フランス人女性がビオ化粧品を購入する動機についても明らかになりました。
フランス女性はまず、「環境に優しい」ことが必ずしも動機の一番ではないそうです。
半数近く(47%)が「自分の肌を守るため」にビオ化粧品を買う、と答えており、「環境への配慮」(17%)を大きく上回る結果になりました。
またこの人気は、ビオ食品とは逆の道を辿っています。
フランスではインフレのため、割高であるビオ食品の需要が落ちています。
しかしビオ化粧品は衰え知らずで、ますます人気が高まっているという結果に繋がっています。
※制汗デオドラントもスプレー缶ではない、固形タイプが増えてきました。ビオ化粧品の購入場所としては、スーパーマーケットか薬局がほとんどです。(76%)
しかしながら、スーパーマーケットの棚に並ぶビオと表示された製品は、必ずしもナチュラルを保証するものではありません。
これは「環境のため」と謳い、売り上げを増やそうとする「グリーンウォッシング」に由来するものです。
企業のグリーンウォッシングは2000年代にピークを迎えましたが、一方でそれに対抗するBIO認証マークが2002年に発案されました。
※青いボトル、左下にある認証マーク。このマーク付きスキンケアが増えています。
フランスのスキンケアでたまに見かける、BIOの認証マーク。
これは成分の95%が自然由来で配合されていれば、得られるのだそうです。
フランスでビオ化粧品を購入する際は、写真の認証マークが付いているものが安心です。
私の家族も、シャンプーからボディソープまで無駄をなくそうと、詰め替えのできるBIOのものに切り替えました。
最近の薬局では、写真のようなポンプ式ソープが売られていて、空ボトルを持っていけばその場で詰め替えてくれます(詰め替えは10,50ユーロ、約1650円)。
シャンプーとボディーソープが兼用になっていて、家族全員で使用できる1リットルサイズです。
BIO特有のきしみ感はありますが、プラスチックだらけだったバスルームもこれのおかげで、すっきりしました。
フランスには、昔からハーブの調合ショップ(エルボリストリー、Herboristerie)が存在していました。
ビオ化粧品はそんな歴史と現代のエコ改革が重なったことで、フランス人のニーズにぴったりとはまったのでしょう。
さらにIfop(フランス世論研究所)によれば、フランスの女性はこれまで以上に「ノーメイク」へとシフトしているそうです。
Posted by NANA
NANA
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