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日本とこんなに違う、フランスのお掃除事情 Posted on 2023/04/24 ルイヤール 聖子 ライター パリ

今回はフランス流のお掃除方法について、詳しく述べたいと思います。
コロナ前に比べて、自宅で過ごす時間が増えました。家は自分のエネルギーを充電する場所なので、できるだけ清潔で心地よい空間にしたいというのはフランスの人々も同じです。
ただお掃除の方法が、日本とかなり違うのです。

日本とこんなに違う、フランスのお掃除事情



まずは床掃除について。
フランスのお宅の床は、日本に比べるとバリエーションに富んでいます。大きくはフローリングかタイルに分けられますが、いずれもデザイン性あふれるものばかりで素敵な見た目をしています。
ところが問題は欧米の土足文化。フランス人も靴を履いたまま家に上がり込みますし、日本のように靴を脱ぐ用の玄関はありません。



日本とこんなに違う、フランスのお掃除事情

※我が家は木目風のタイル床です。硬い素材の玄関マットは必需品。

ではどうしているかというと、写真のような玄関マットが各家庭に置かれています。フランスの人々はここで靴に付いた汚れを(気持ち程度に)落とし、そのままリビングまで一目散に向かっていくのです。
日本人からすると、「スリッパ履いてほしい…」と誰もが感じるところだと思います。スリッパを常備しているフランス家庭も多いのですが、絶対に履き替えるといった決まりごとは特にないように思います。
しかしホームパーティーで人を招くときなどは、皆が土足で集まります。またお庭がある家庭でも外履き用のスリッパを用意していません。室内用のスリッパでそのままお庭にも行ってしまいます。
ということはつまり、床が汚れるスピードが圧倒的に早いのです。

使うツールは、主に掃除機、ほうき、雑巾。タイル床だと原始的なほうき掛けが楽です。
掃除機は気づいた時にかけるようにしていますが、掃除機を取り出す行為が面倒だと感じる時もあります。そんな時は日本のクイックルワイパーが恋しいと思います。フランスにも存在はしているのですが、やはりこれもエコの観点からでしょうか、使い捨てグッズを好まないフランス人が多いように感じます。

我が家では、お客さんがいらっしゃるときはズラッとスリッパを並べて、有無を言わさず履き替えるようにしてもらっています。文化の違いを押し付けるつもりはありませんが、汚れるよりは汚れない方が良いかな?ということで、なるべく外の塵を家の中に入れないようにしています。

日本とこんなに違う、フランスのお掃除事情

次は、フランス人と結婚した日本人なら誰もがエッ!と思ったであろう、フランスの「スポンジ活用術」です。
食卓テーブルを拭くとき、調理台で吹きこぼれた煮汁を拭くとき、日本であれば台ふきんなりウェットワイパーで掃除すると思います。
フランスではほぼ100%、これらを食器洗う用のスポンジで拭きます。彼らにとってスポンジは台ふきん代わりなのです。
食器を洗った後、そのスポンジでテーブルをササっと吹き、コンロもササっと掃除。これには少し驚きました。
それからこれだけは許せないのですが、床にこぼれた水滴などもそのスポンジで拭き取るフランス人が非常に多いのです。

フランス家庭のほとんどはIHコンロのため掃除は楽です。しかし油汚れなどは除菌のできるウェットワイパーで綺麗に拭き取りたいと思ってしまいます。
私はこれを実践していたらフランス人の主人に睨まれました。使い捨てグッズを嫌う、フランス人の性質がここでも垣間見えました。
ということで、今は右手に洗剤のついたスポンジ、左手には固く絞ったスポンジを掴み、
右で台の上の汚れを落とし、左で拭き取るようにしています。
大好きなウェットワイパーは、主人の目を盗んで大掃除の際に大切に使っています。



実はまだまだたくさんあるのですが、日本と全然違うと思ったお掃除方法を大きく2つに分けてご紹介しました。
日本人は世界的に見ても綺麗好きな民族だと思います。そこまで潔癖ではない私も主人に「やりすぎ」と指摘されるほどです。
しかし、これは日本の「小学校からみんなで掃除する」という教育の賜物だと思います。一方フランスの学校では清掃員の方がお掃除をしてくれています。
そのため掃除の仕方も個人主義らしく、周りの目を気にしてというよりは、自分が気になったら掃除するといったところでしょうか。
掃除一つでも文化の違いを感じている次第です。

自分流×帝京大学
地球カレッジ

Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。