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やっぱりモッツァレラが大好き! Posted on 2018/04/10 久田 早苗 チーズ熟成士 パリ
春ですね。桜も咲き始め、菜の花、チューリップ。花に囲まれる季節は気分も明るくなります。
気温が上がって身に付ける物も軽やかになると、お口にもフレッシュなものが欲しくなりますね。
そこで今月は、この時期に相応しい爽やかなフレッシュタイプのチーズ、「モッツァレラ」をご紹介します。
そもそも、モッツァレラはイタリアのナポリから南一帯で作られる水牛のミルクを使ったチーズ。この地方では ”パスタフィラータ(組織を練りこんで作る製法)” という製法のみで作られています。
イタリアのDOPで、「モッツァレラ ヴファラ DOP」という名前で保護されています。「モッツァレラ ヴファラ DPO」と書かれたものでも、通常、水牛のミルクを20%以上使用でOKという決まりですので、より美味しい本場のモッツァレラが食べたい時は「水牛100%」のミルクで作られたものがお薦めです。
本場の南イタリア、特に温暖な気候に恵まれたプーリア地方はパスタフィラータ製法が盛んに行われています。モッツァレラを始め、スカモルツァ、ブラータ、ブラータアフミカータ、などなど。
無殺菌乳で添加物なし、職人の手によって作られるところが殆どです。職人の手作業から、きめの細かい組織と個性、裂けて伸びるチーズが生まれるのです。
最近では、水牛だけで無く牛のミルクを使ったモッツァレラが至る所で作られるようになりました。日本の生産者も増えていますね。フレッシュなので、出来るだけ早く召し上がるのが正道。口に入れ、噛んだ瞬間にジュワーと広がるミルクの甘さが特色です。
仄かな酸味と程よい塩分が作り手によって微妙に違い、それが味の特色として大きく現れます。
味の大きな決めてとなる食感は、固すぎず、柔らか過ぎず、ちょっぴりシコシコとした歯応え……。求めるものも多くなってしまいますが、同じ「モッツァレラ」という名前が付いていても、味の違いは様々ですので自分の好みの美味しさを追求するのも楽しいですね。
☆ チーズ豆知識 ☆
パスタフィラータのチーズは沢山あります。
モッツァレラはそのまま生で食べるのが一番。最近ではモツァレラの中に生クリームの組織を練りこんだ「ブラータ」が濃密な味で人気になっています。
新たな商品として、その生クリームの組織だけをまとめた「ストラッチャ テッラ」というものも。
クラッカーやパンに乗せて召し上がってください。
モッツァレラと同じ繊維状に裂けるタイプのチーズをセミハード状に引き締めて作る「スカモルツァ」とスモークした「アフミガート」はフライパンで焼いて食べるのが一番です。
お餅のように伸びて モチモチ、シコシコとした食感が癖になります。
朝からでも召し上がれる美味しい栄養素ですので、彩りの良い野菜を添え、季節の変わり目などの体調コントロールに是非お役立てください。
Posted by 久田 早苗
久田 早苗
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チーズ熟成士 株式会社 久田 取締役 副社長。1985年、東京立川市にチーズ専門小売店「チーズ王国」1号店を開店。2004年にはパリ16区に「Fromagerie HISADA」、2010年にはパリ1区に熟成チーズの販売とチーズカフェを併設したSalon du Fromage HISADAをオープンする。2008年、日本人で初めてのチーズ熟成士最高位の称号「Maitre Fromager」を受勲。2013年にはフランス共和国農事功労賞シュヴァリエ勲位、2015 年にはフランス共和国農事功労賞オフィシエ勲位を綬章。