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永遠の歌姫、クレモンティーヌ Posted on 2017/03/24 河井 留美 音楽プロデューサー パリ

永遠の歌姫、クレモンティーヌ

今年デビュー30周年を迎えるクレモンティーヌと言うアーティストをご存知だろうか?
日本では知名度の高いフランス人アーティストだが、フランス人に「クレモンティーヌを知ってる?」と尋ねると「誰それ?」と言う答えが返ってくる。
確かに彼女はフランスでは、一部のJAZZファンと日本マニアだけが知る存在かもしれない。

私はそんな彼女のエージェントであり親友だ。
世界屈指のJAZZコレクターである父親に育てられたクレモンティーヌ。彼女と知り合ったのは1994年に遡る。
私は彼女と彼女の両親にJAZZとフランス生活の素晴らしさを教わったのだ。
 

永遠の歌姫、クレモンティーヌ

彼女のキャリアは1987年、コロムビアフランスよりJAZZシンガーとしてデビュー。
数年後南仏カンヌで開催される音楽の見本市「MIDEM」でソニージャパンの担当者の目に留まり、まずJAZZシンガーとして日本でデビューを飾った。
当時日本はまさに洋楽天国。英米程ではないにしろ、パトリシアカース、ENZOENZO、ロベール、ミレイユ ファルメール、男性ではマニュチャオ、レ・ネグレスヴェルト、レジノソンやエティエンヌ ダオなどフランスアーティストが日本の音楽マーケットにおいても人気であった。

そんな中、クレモンティーヌは1990年代に「渋谷系」と呼ばれる音楽シーンでいきなりブレーク。
「アン・プリヴェ〜東京の休暇」「ils et elle」のヒットアルバムを世に送りだし、日本におけるフレンチアーティストとしての確固たる地位を築き上げた。
 

永遠の歌姫、クレモンティーヌ

21世紀に突入すると、全世界的傾向としてCDの売り上げが減少しはじめる。若者の洋楽離れも顕著になる。
ところがクレモンティーヌは当時一斉を風靡した「カフェミュージック」を武器にフレンチボサのミューズとして再ブレーク。

さらにCDが全く売れなくなった2010年代、彼女はアニメのフランス語カヴァー「アニメンティーヌ」で再々ブレークを果たすことになる。
 

永遠の歌姫、クレモンティーヌ

一見節操のない活動にも思える変幻自在なアーティスト性、彼女はその特異な才能で常に現代を魚の様にすいすいと泳いで行く。クレモンティーヌと言う人は実に『しなやか』でバランス感覚の優れた女性なのである。

フランスにこだわらず、自分の音楽を愛してくれる人のいる場所での活動を楽しみ、ホームタウンパリでは普通の生活に勤しんでいる。最近はパリ在住のDJたちとこれまたしなやかな活動も始めている。
 

永遠の歌姫、クレモンティーヌ

私たちはどんな時代も根をあげなかった。
深く考え過ぎず、アイデアを出し合い、世界各地の素晴らしい才能たちと出会い助けられながら、時には喧嘩し、時には励まし合い音楽業界を何とか生き抜いて来た。

2020年代、クレモンティーヌは再再々ブレークを果たすはずだ。
それがどのようなジャンルの音楽になるか、私は同志として楽しみで仕方ない。

私たちの珍道中はまだまだ続く。アレ!!
 

永遠の歌姫、クレモンティーヌ

クレモンティーヌ with special guest
日時:2017年3月25日(土)・3月26日(日)
会場:ブルーノート東京 http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/clementine/
ゲスト 3月25日(土)野宮真貴
    3月26日(日)宮原浩暢 from ル ヴェルヴェッツ

Clémentine sings Bart&Baker
日時:2017年4月21日(金)
会場:Le balajo Paris http://www.balajo.fr/
 

Posted by 河井 留美

河井 留美

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Rumi Kawai
音楽プロデューサー。1990年代よりフランス音楽に携わり、クレモンティーヌ、カーラ・ブルーニ、シルヴィ・ヴァルタンなどを日本に紹介する。最近では日本のアーティストのヨーロッパ公演のコーディネートも多数。