PANORAMA STORIES
9月、パリの新学期はじまる。 Posted on 2017/09/16 コンダミナス 大久保 里香 アニマトリス パリ
とうとう2ヶ月間という長い夏のバカンスが終わりました。
9月に入り、いよいよフランスも新年度開始。子ども達は新学年へと進級します。
2017年度は9月4日月曜日が始業日でした。
日本の習慣に慣れていると驚くことに、始業式のような式典はありません。勿論、入学式も。
式典の無いフランスの入学、始業日。愛娘の小学校入学当日を思い出しました。この日は愛娘よりも私の方が不安だったに違いありません。
Q; 何故不安だったの?
A; 郵送で届いた入学案内の通り学校へ登校しました。それからどこに行ったら良いのかわからなかったのです。
Q; 郵送で案内が届いているのに、何故どこへ行ったら良いのかわからなかったってどういう事?
A; 式典が無いのに、親も正門を通り校庭に入れたからです。
う~ん、何故校庭まで親も入れるのか? 他のご父兄らの動きを観察しながら、愛娘としばらく待ちました。間もなく始業ベルが鳴りました。それと同時に先生方が校庭へぞろぞろと出てきて、名簿順に生徒の名前を呼びました。愛娘も呼ばれました。あっけなく私の元を離れ、他の児童と担任の前へ集まり教室へ移動していきました。
式典はないと先にご説明しましたが、皆それぞれ新調したお気に入りの服を着て登校します。正装の子、上下新調したスポーツウエアのお子さん等、本当に自由でとても個性的です。共働きが多いフランスでも両親は出来るだけ仕事を調整し、子どもと一緒に登校します。離婚をしているご家庭も、この日は両親揃って子どもの晴れの日を共有します。式典が無くても、とても大切な日という事は日本と変わらないのですね。
8時30分~途中2時間のランチタイムがあり、16時30分迄授業を受けて帰宅します。すでに、このリズムが初日です。ちなみに、幼稚園も同じリズムです。日本で生まれ育った私にとって一番衝撃的だったのは、夏の長期バカンス中の2ヶ月間、宿題が無い事、そしてこの長いバカンス後、いきなり8時間学校で過ごす事です。
幼稚園の年少クラスは昼食後にお昼寝時間が確保されていますが、年中クラスからはお昼寝時間はありません。平日はこの時間帯で学校生活を送るのです。
私が再渡仏してから既に何度か教育プログラムに変化がありました。私達の住む地域は今年度から幼稚園と小学校は、水曜日は中休みで学校はありません。多くのご家庭ではこの日に習い事を集中して申し込んでいます。
夏のバカンスが長い事には理由がありました。昔は10月始まりだった!
1950年代生まれの夫が子どもの頃、夏のバカンスは現在よりも更に1か月長い3か月間、10月1日が始業日だったそうです。フランスは何かと華やかなイメージがありますね。オシャレな高級ブランドが存在し、パリジャン、パリジェンヌと言うと小粋でオシャレなイメージがあります。芸術、華の都パリとうたわれる事もあります。実は昔から農業大国なのです。国民の大多数が農業従事者でした。子ども達の夏の休暇は農作物の収穫、刈入れ時期と同じでした。合わせたのでしょう。
学校が休みである子ども達は毎日家族、親族と共に働きました。じゃがいも、玉ねぎ、インゲン等の野菜や穀物の収穫、そして酪農家は牛などの冬の食糧となる藁を刈り、乾燥させ束ねるのです。かなりの重労働だったと聞きます。当時のバカンスは日頃の疲れを取り楽しむ為のものではなく、家族、親族の手伝いをするための日々だったのです。
現在は機械作業も増えたのでバカンス中、毎日家の手伝いをするお子さんは減りました。
バカンス中にできる新学期前の準備
こちらも日本同様に教材や筆記用具類の買い出しリストがあります。学校の校門前の掲示板に張り出されます。(娘の学校は学校のサイトがあるのでそこでダウンロード)
前年度に使っていた物とリストを照り合わせ、使える物と買い足す物を選別してお店へ向かいます。子ども達はこの買い出しが大好き。愛着のある筆記用具は勿論大切に使用し続けます。新しい文房具を手にするとワクワクと心が躍る、何だかやる気が沸いた自分の子供の頃の記憶がよみがえりました。
リストにあった教材を購入したら、次は丁寧にフィルム貼りをしていきます。透明なカバーなのですが、多くは親の仕事となっているのではないのかな? 愛娘も、中学2、3、4年迄は進んで手伝ってくれました。
アララ、高校2年生になった今年は、また私に仕事が戻ってきましたよ。
日本の小学校ではランドセルを小学1年生で購入し、6年生まで通して使用するお子さんがほとんどだと思います。アラフィフの私もそうでした。
フランスの小学生は、Cartable(カルターブル)と呼ばれる横に長い長方形のカバンを背負って登校します。このカルターブルも新年度毎に買い替えるお子さんが多いです。
小学生の間は親が送迎するので親がカバンを持ってあげることができます。
しかし、中学生からは毎日10kg前後の重さのリュックを背負って徒歩や公共交通機関を使って登校しています。
中学・高校生になると、学校指定では無いのに何故かEASTPAKというブランドのリュックを背負っているお子さんが本当に多い! 今年も圧倒的に多かったようです。
こうして初日を無事に過ごし帰宅した子ども達。新しいクラスの話や、担任の先生の話等を一生懸命に話してくれます。そして親にはまた新しい仕事が追加されるのです。沢山の書類に目を通しサイン書き、学校からレンタルされた教科書類にカバーを付けるのです。
7週間後のトゥッサンのバカンスの事を考えながら……。
Posted by コンダミナス 大久保 里香
コンダミナス 大久保 里香
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元モデル、ラジオパーソナリティー。現在、現地幼稚園、小学校の学童職員(アニマトリス)。子供たちに折り紙、書道を教え、小学校低学年の宿題もみる。日仏間の文化、教育方針の違い、共通点等の発見を楽しむ。