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フランスの海外県、インド洋に浮かぶレユニオン島ってどんなところ? Posted on 2022/11/02 ルイヤール 聖子 ライター パリ
フランスは、世界に存在する3つの大海に、いくつもの海外領土を有しています。
中でもインド洋に浮かぶ「レユニオン島」は人口が約86万人と最も規模が大きく、フランス人の旅行先として高い人気を誇る場所です。
そこにあるのは、フランス本土では得られない並はずれた自然の景色と活火山、温暖な気候、さまざまな民族に影響された豊かな食文化。
日本からの所要時間は乗り継ぎ便で約20時間とかなりの長旅になりますが、フランスからの直行便でも10時間ほどはかかってしまいます。
それもそのはず、レユニオン島はアフリカ大陸の東沖、さらにマダガスカル島から約800kmも離れたところにポツンと位置しているのです。
※海の向こうはアフリカ大陸
「日本人の旅行者は珍しい!」と現地の人から声をかけられることがありました。
確かにフランスの海外県というだけあって、訪れる人はほとんどがフランス本土からの旅行者です。
また島にはさまざまなルーツをもつ人々が暮らしており、フランス系はもちろん、アフリカ系、アジア系(主に中国、インド)、そして「クレオール」と呼ばれる現地の人々が存在しています。
全員が公用語としてフランス語を話し、通貨にはもちろんユーロが使われていました。
※マルシェも海の側で
このように多様な文化が融合する島ですので、食文化も独自の発展を遂げています。
もちろんフランスの影響も少なからず受けていますが、目立ったのは、多民族が育んだ島の味・クレオール料理でしょうか。
※豚肉とパイナップルの炒め物、白米付きで6ユーロ(約840円)
このクレオール料理は日本人にも受け入れやすい、煮込み料理に白米を添えたシンプルな一品です。
具材は実にさまざまで、イカとセロリを炒めたものや、海老とブロッコリーのスパイシー炒め、それから代表的なものには「ルガイユ・ソシス」というトマトベースのソーセージ煮込みなどがあります。
味もしっかりしているので白米との相性は抜群で、そしてフランス本土よりお値段がずっと安い、というのが嬉しいところでした。
※レユニオン島の味、ルガイユ・ソシス
またレユニオン島は、バニラが薫る島でもあります。
というのも、世界市場の99%が合成バニラという中にあって、レユニオン島は大変貴重な天然バニラの名産地であるためです。
そのためフランス本土やスイスから直接買い付けにくるシェフやパティシエも後を絶たず、バニラは現地が誇る一大産業になっているということです。
※本場のバニラ工場
※バニラアイスもいたる所で喫食できます
食文化の他に特筆すべきは、レユニオン島の息を呑むような絶景の数々です。
海岸からそう遠くないところには壮大な山々がいくつも聳え立っており、「インド洋の屋根」と呼ばれる2,000〜3,000メートル級の活火山が存在しています。
私が訪れた時にはちょうど活動していなかったのですが、聞けば一部の山では今でも不定期でマグマが吹き出し、火山灰も大なり小なり降るとのことです。
そのためか、レユニオン島では地球の鼓動のようなものをひしひしと感じることができ、「癒される」というよりは全身に「パワーがみなぎる」という感覚を覚えたのが印象的でした。
このような大自然に包まれていると、時が休みなく流れている世界をふいに忘れてしまいます。
それは島の人々にも共通しているのか、異なる人種・文化・宗教がそれぞれぶつかることなく、とても美しく共存しているといったイメージを持ちました。
人々の暮らしも質素ながら、牧歌的で笑顔にあふれ、皆がゆったりとした時間に身を委ねています。
※現地の結婚式は2日間。飲んで、食べて、踊って、皆でお祝いします
仏領レユニオン島は、フランス人が選ぶ「最高の島」として度々話題に上がっています。
また最新の調査では、レユニオン島に暮らす人の85%が自分は幸せであると宣言していたことも分かりました。
類稀な景観に加え、豊かな食文化に温暖な気候。
住む人にも訪れる人も幸せと言わしめる理由がここでよく分かったような気がします。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。