PANORAMA STORIES
q.b.レシピのないレシピ帳~超簡単!カリフラワーのパスタ~ Posted on 2022/01/27 八重樫 圭輔 シェフ イタリア・イスキア
1月も終わりに近づき寒さが本番を迎える中、陽の光は次第にやわらかさを増してきました。
街角では、冬枯れの凛とした空気の中、赤と白のシクラメンだけが夢から覚めたように寄り添って咲いています。
南北に長く、緯度も日本とほぼ同じイタリアは、四季の移り変わりもよく似ています。
イタリア語にも時候に関した言い回しはありますが、二十四節気や七十二候といった風情のある暦を見てみると、その繊細さや着眼点の面白さに感服することがあります。
例えば今の時期ですと「さわみずこおりつめる(水沢腹堅)」「にわとりはじめてとやにつく(鶏始乳)」などとあり、声に出して読んでみると響きも美しく、なんだか自分の教養が高まったような気分に。
イスキア島の冬は氷点下を下回ることも、雪が降ることも無いので比較的過ごしやすいと言えるでしょう。
それでも湿った冷たい風のある日は、実際の気温よりも低く感じられ、油断すると体の芯から冷えるので注意が必要です。
もしもイスキア島の暦があったとしたら、今は差し詰め「うみかぜふきわたる」といったところでしょうか。
さて、今回はそんな寒い冬の日にもぴったりな、カリフラワーのパスタをご紹介します。
イタリアの郷土料理には、初めは口に合わなかったけれど次第に好物に代わっていくものと、最初から美味しいと感じるものがあります。
僕にとってこのパスタは後者の方で、カリフラワーにこんな食べ方があったのかと驚いたものでした。
調理法もいたってシンプルで、まさにレシピのないレシピと言えるかもしれません。
それでは早速作り方を見ていきましょう。
※タイトルのq.b.とは適量を意味するイタリア語quanto basta(クワント バスタ)の略です。
細かいことは気にせず臨機応変に、あなたなりのレシピにして頂けたらという思いを込めて。
カリフラワーのパスタ
材料(4人分)
○カリフラワー(600~800g程)○ニンニク 一片
○パスタ 約300g ○唐辛子、オリーブオイル q.b.(適量)
※パスタは写真のようなショートパスタが合いますが、無い場合は何でも構いません。
この料理はアルデンテである必要が無いので、茹で時間の違う何種類かのパスタをミックスすることもできます。
長いものはポキポキと折って入れます。
中途半端に余っているパスタがあったら使い切ることができます。
作り方
①カリフラワーは小房に分けて洗っておきます。
鍋にオリーブオイルをひいてニンニクを入れます。
他に油脂類は加えないので、オリーブオイルは気持ち多めに入れましょう。
火をつけてニンニクがきつね色になったらカリフラワーを入れ、木べらで混ぜながら中火で数分炒めます。
辛いのが好みの人は唐辛子を入れましょう。
②しなっとしてきたら、軽く塩を振り、カリフラワーが浸る位までお湯を入れて蓋をします。
時折混ぜながら弱火で30分程コトコト煮ます。
③お湯を適量加えてパスタを入れます。
パスタが浸る位の水分量です。
塩加減を調節し、必要であれば少量お湯を足しつつ、鍋底に焦げ付かないように混ぜながらパスタを煮ます。
出来上がりは水っぽすぎずパサつかず、鍋を動かすとタプタプと揺れる感じです。
蓋をして2分程休ませて出来上がりです。
お皿に盛り、好みで胡椒を挽きオリーブオイルを少しかけて頂きましょう!
耐熱皿やココットに入れてオーブンで表面をカリッと焼いても美味しいです。
その場合はチーズや香草パン粉などをかけても良いと思います。
日本ではカリフラワーというと脇役のイメージが強いかもしれませんが、こうしてとろとろに煮込むと食べやすく、子供たちにも人気です。
ラードを使ったり、ハーブや玉ねぎやチーズ、または少量のトマトを入れるレシピもありますが、僕はこのいたってシンプルなものが好きです。
皆さんもアレンジして、ぜひ自分だけのお好みレシピにしてみて下さいね。
それではまた、どうぞ体調に気を付けて、普段着の食卓でお会いしましょう。
Posted by 八重樫 圭輔
八重樫 圭輔
▷記事一覧Keisuke Yaegashi
シェフ。函館市生まれ。大学在学中に料理人になることを決め、2000年に渡伊。現在は家族とともにイスキア島に在住。