PANORAMA STORIES
q.b.レシピのないレシピ帳~洋梨とチーズのクロスティーニ~ Posted on 2025/01/20 八重樫 圭輔 シェフ イタリア・イスキア
イタリア人はとてもアペリティーヴォaperitivo(食前酒)が好き。ただ食前酒といってもそこに何かしらのおつまみが付くわけですが、以前は小鉢に入ったナッツやポテトチップスなどが主流でした。しかし近年では、おしゃれな木のまな板に載ったサラミ類やチーズの盛り合わせ、コロッケや揚げピザ、さまざまな種類のクロスティーニ(カナッペ)などが追加で注文でき、それだけで夕飯代わりになるほどです。
実際、aperitivoとcena(夕食)を合わせたアペリチェーナapericenaという言葉も広く浸透してきています。飲み物は有名なアペロルスプリッツを始め、スプマンテやワイン、ビール、またはノンアルコールカクテルなど様々で、決まりはありません。日が傾き始めたころからバールや飲み屋にわらわらと人が集まり、おつまみ片手にグラスを傾ける様子は、何とも人生を謳歌するイタリア人らしい光景です。
我が家でも、小腹はすいているけどメニューが決まらない時は「アぺっちゃう?」と言って、家でアペリチェーナをすることがありますが、子供たちもジュースなどを飲みながら好きな物をつまめるので喜びます。今回はそんな時の一品にもなる、ちょっと気の利いたクロスティーニをご紹介したいと思います。毎日の献立を考えるのは大変なことですよね。たまには気を抜いて簡単なおつまみを並べて「アぺっちゃう」のもおすすめですよ。
洋梨とチーズのクロスティーニ
材料
〇洋梨 q.b.(適量) 〇チーズ(※脚注)q.b. ○はちみつ q.b.
〇クルミ又は他のナッツ q.b.
〇パン(できれば田舎風のしっかりとしたパンなど)
※チーズは出来ればペコリーノ・トスカーノがあれば理想です。カルボナーラなどに使われるペコリーノ・ロマーノに比べて塩気も味もまろやかです。今回はリコッタチーズとゴルゴンゾーラも使いましたが、その他お好きなチーズで試してみてください。Brieブリーなども良いかもしれませんね。
作り方(ペコリーノ・トスカーノを使う場合)
①洋梨はよく洗い、皮ごとごく薄切りにします。オーブンシートをしいた天板に並べて粉砂糖を軽く振り、オーブンのグリル機能で10-15分ほど焼きます。お皿などに移してそのまま冷ましておきます。時間はお使いのオーブンの火力によって調整してください。
②パンを切り、洋梨よりも少し厚めに切ったペコリーノ・トスカーノをのせてオーブンでチーズが少しとろけるまで焼きます。
③焼きあがったパンの上に先ほどの洋梨と砕いたクルミをのせ、ハチミツを少々かけて出来上がりです。お好みで胡椒をひいたりハーブをのせましょう。
※即席でするならば、パンとペコリーノと洋梨の薄切りを一緒にオーブンで焼いても構いません。洋梨を先に焼いておいたのは、味が凝縮して美味しくなるのと、見た目も可愛らしいからです
(リコッタチーズを使う場合)
①リコッタチーズは塩胡椒、ごく少量のハチミツで味をつけて混ぜておきます。洋梨はペコリーノの場合と同じく、薄切りにしてオーブンで焼いておきます。
②パンをオーブンで軽く焼き、リコッタチーズ、洋梨、砕いたクルミをのせ、ハチミツを少々かけます。お好みでハーブなども。
※即席でするならば、後で載せる洋梨は生の薄切りでも構いません。
(ゴルゴンゾーラを使う場合)
①洋梨は前述のようにオーブンで焼いておきます。
②パンをオーブンで少し焼き、ゴルゴンゾーラを塗って天板にのせます。再びオーブンでゴルゴンゾーラが軽くとろけるまで焼きます。洋梨と砕いたクルミをのせ、ハチミツを少々かけます。お好みでハーブを。
※即席でするならば、パンを焼いた後、ゴルゴンゾーラと洋梨の薄切りを一緒に焼いても構いません。
細かくは書きましたが、焼いたパンの上に好きなチーズと洋梨、クルミとハチミツをかければ良いという事ですね。チーズと洋梨の加熱も、好みの問題なので難しく考えず。
それではまた次回、普段着の食卓でお会いしましょう。
Posted by 八重樫 圭輔
八重樫 圭輔
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シェフ。函館市生まれ。大学在学中に料理人になることを決め、2000年に渡伊。現在は家族とともにイスキア島に在住。