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q.b.レシピのないレシピ帳~プロチダ島の名物お菓子~ Posted on 2024/11/26 八重樫 圭輔 シェフ イタリア・イスキア

q.b.レシピのないレシピ帳~プロチダ島の名物お菓子~

 
家からさほど遠くないところにお気に入りの場所をいくつか持っていると,毎日の生活にも少しゆとりができる気がします。それはもちろん近所の喫茶店でも会社帰りの行きつけの居酒屋でもいいのですが、例えばふた駅先にある日帰り温泉とか、隣町の鄙びた漁港なんかだと更に非日常的で良いですよね。大事なのは余裕のない時でも、私にはあの場所があるという安堵感。僕にとってそんな心のオアシスの一つがプロチダ島です
 



q.b.レシピのないレシピ帳~プロチダ島の名物お菓子~

 
面積約3.7㎢のこの小さな島はイスキア島の通学通勤圏内にあり,船で15~30分程で行くことができます。リゾート化されていない美しい街並みはイルポスティーノやリプリーなどといった有名な映画の舞台にもなっていますが、本当の魅力はその素朴な生活感や時間の流れ。近年は徐々に日本でも注目を浴び始めているようですが、もしもナポリまで来る機会があったら、イスキア島とともに是非足を延ばしていただきたい場所の一つです。
 

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バスを使って気軽に観光することもできますが、僕のお気に入りは、港で電動自転車をレンタルして島を一周すること。最高地点の標高が100mにも満たない平坦な地形は自転車で周るにはもってこいで、リュックにお弁当を詰めて気ままにペダルを漕いでいると、本当に心にまで爽やかな風が吹いてきます。気になる小道や砂浜でちょくちょく止まっては貝殻を拾ったり、おやつをかじったり。
 



q.b.レシピのないレシピ帳~プロチダ島の名物お菓子~

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仕事がシーズンオフになって、まとまった休みが取れると一度は行くそんな小旅行。イスキアの人たちには、わざわざ更に田舎のプロチダに何度も行くのを不思議がられるけれど、価値観は人それぞれなので、ニッコリ笑って心の中で「もったいない!」とつぶやくのです。
 



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プロチダ島は魚介類はもちろんのこと、香り高いレモンやアーティチョークで有名です。そしてもう一つ忘れてはならないのが、今回ご紹介するリングア・ディ・プロチダ。
“プロチダの舌”という意味を持つ、牛タンのような形をしたこのお菓子はレモンカスタードをパイ生地で挟んだもので、朝食に、間食に、食後に、どんな時にもピッタリです。まるで島の生活のようにシンプルなこのパイ菓子を一口かじると、静かな海岸の波音がきっとどこからか聞こえてくることでしょう。それではレシピをどうぞ。
 



q.b.レシピのないレシピ帳~プロチダ島の名物お菓子~

 
            リングア・ディ・プロチダ
材料(4人分)
○牛乳 250ml ○コーンスターチ 20g ○グラニュー糖 50g
〇卵 2個 〇無農薬レモン 1個 〇 パイシート 30×30cm(冷蔵でも冷凍でもOK。もちろん手作りだと最高ですね)
※パイシートの大きさは目安です。手に入るもので構いません。
作り方
①鍋に牛乳200mlを入れ、レモンの皮をすりおろして弱火にかける
②ボウルに卵黄2個と砂糖を入れ泡立て器で混ぜる。さらにコーンスターチ、残りの50mlの牛乳の順に加えて混ぜ合わせる。
③鍋の牛乳がふつふつと沸いてきたらボウルの中身を加え、中火で約2分半ほど、適度な硬さになるまで混ぜる(鍋やコンロにより微妙な差がありますので時間は目安です)。
これでレモンカスタードは完成。大き目のボールなどに入れてラップをぴったりと表面に張り付け、氷水につけて素早く粗熱を取ります。それから冷蔵庫に入れてしっかりと冷やしておきます。
 

q.b.レシピのないレシピ帳~プロチダ島の名物お菓子~

 
④パイシートを縦14~15cm、横7~8cmほどの8枚の楕円形に切ります。パイシートの大きさや、お好みで形は変えても構いませんが、本来のサイズは大体このくらいです。
⑤4枚のパイの上に先ほどのレモンカスタードをスプーン1杯ほどのせ、ふちに余白を残して軽く伸ばします。ふちには卵白をサッと塗り、残りのパイシートをかぶせます。
上にも全体に卵白を塗り、グラニュー糖をたっぷりまぶします(分量外)。180~190度に温めておいたオーブンで20~25分ほどこんがりと焼きあげて完成です。温度や焼き時間はお使いのオーブンにより微妙な差がありますので調整してください。
 

q.b.レシピのないレシピ帳~プロチダ島の名物お菓子~

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この“プロチダの舌”は別名“牛の舌lingua di bue”または“姑の舌lingua di suocera”とも呼ばれています。1950年代にナポリからプロチダ島に移住したパスクアーレ・マッツィオッティというパティシエによって考案されたこのお菓子はたちまち評判となり、朝食の定番であったコルネットに取って代わったと言われています。発祥の店バローネO cafè re BaroneはローマBar Romaと名前を変えましたが今でも港の横で営業しています。


一度覚えてしまえばササっと作れるので、皆さんも挑戦してみてくださいね。それではまた、普段着の食卓でお会いしましょう。
 

q.b.レシピのないレシピ帳~プロチダ島の名物お菓子~

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Posted by 八重樫 圭輔

八重樫 圭輔

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Keisuke Yaegashi
シェフ。函館市生まれ。大学在学中に料理人になることを決め、2000年に渡伊。現在は家族とともにイスキア島に在住。