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1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ Posted on 2022/09/19 ルイヤール 聖子 ライター パリ

パリらしい趣を残す左岸のカルチエ・ラタンに、とてつもなく古いカフェが存在しています。
創業はなんと1686年。
日本では江戸時代、第五代将軍・徳川綱吉が政権を握っていた頃の話です。一方フランスでは「太陽王」と呼ばれたルイ14世が、フランス絶対王政の象徴であるヴェルサイユ宮殿を建てたばかりでした。

中世の時代から同じ場所にあり、相も変わらずカフェを提供しているとは驚くべきことです。

1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ



そのカフェの名は「Le procope(ル・プロコップ)」と言います。
創業者はフランス人ではなく、フランチェスコ・プロコピオという名のシチリア貴族です。
彼はフランスで初めてジェラートを販売した人物でしたが、当時存在しなかったジェラートがパリで大当たりし、アイスとカフェが一緒に楽しめるお店として評判を呼びました。

1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ



ただ当時はジェラートもカフェも高級品。常連客は裕福な人であったり、すでに名の知られた著名人であったりしました。
その面々は、世界史の教科書に載るようなスターたちです。
「すべての道はローマへ通ず」という言葉で有名な詩人フォンテーヌをはじめ、哲学者のヴォルテール、ジャン=ジャック・ルソー、音楽家のショパン、ナポレオン・ボナパルトなどなど、偉大な人物がこのカフェに通い詰めたと言います。

特にフランス革命後のナポレオンはル・プロコップをいたく気に入り、お勘定の代わりに自身の帽子を置いていったそうです。ナポレオンの持ち物は相当な価値があったのでしょう、実物の帽子はカフェの二階に今でも飾られています。

1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ

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カフェとして始まったル・プロコップですが、今ではレストランも兼ねています。
メニューにはクラシックなフランス料理が並んでいて、前菜にはエスカルゴ、フォアグラ、オニオングラタンスープといったお皿が楽しめます。
またメイン料理ではフィレステーキや鴨のコンフィのほか、魚介類のメニューも充実していました。

最近のパリは最低気温が10℃前後と一気に寒くなりました。そのせいもあってか、秋のル・プロコップでは熱々のオニオングラタンスープがたくさん運ばれていました。

1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ



さてこちらの名物は、フランス・イタリアをつなぐ至極のデザートたちです。
ル・プロコップのおすすめデザートには、ティラミスやCafé liégeois(カフェ・リエジョワ)があります。
カフェ・リエジョワとはコーヒーアイスに生クリームがたっぷりと乗ったフランス風パフェなのですが、ル・プロコップのものはイタリアの「アフォガード」に似たスタイル。

パンナコッタ、バニラアイス、たっぷりの生クリームが乗ったパフェに、濃厚なエスプレッソをかけていただきます。

1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ



昼も夜も、それぞれに違った魅力を持つル・プロコップ。
カフェというよりは美術館のような雰囲気で、夜になれば本物のキャンドルに火が灯り、重厚感のある空気の中でパリの歴史を身近に感じることができます。

1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ

1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ

※今では珍しいコンシェルジュもいます

今のパリでは、ニューヨークスタイルのモダンなカフェが目立つようになりました。
しかしこうした歴史あるカフェは今でも残っていて、その新旧がぶつかることなく共存しているというのも、パリの素晴らしいところだと思います。
そんなル・プロコップも今年で創業336年です。
「336年分の季節」を乗り越えたカフェでは、秋のはじまりが一層鮮やかに見えました。

1686年創業、カルチエ・ラタンにあるパリ最古のカフェ

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。