PANORAMA STORIES
パリはゴミの山、ついにねずみの王国になった Posted on 2020/02/04 Design Stories
交通ストライキがひと段落したかと思いきや、今度はゴミ焼却場のスト(同じく年金改革が理由)が始まり、パリは大変な事態になっています。私の家はシャンゼリゼ通りの一筋裏手の通りに面しているのですが、ごらんください、この惨状。もはや観光地パリではありません。すぐ裏側にシャンゼリゼがあるのでうちの前のこの通りも普段は観光客が溢れています。でも、こんなパリを見るために高い旅費を払って来たわけじゃないはずです。みなさん、困惑した顔で、鼻を押さえて駆け足で通り過ぎていました。
パリを含むイル・ド・フランスでは毎日約6000トンのゴミが出ていますが、2020年1月23日からパリ近郊にある3つの焼却場がブロックされており、ゴミを取集しても焼却場に持っていけないため、部分的にゴミの収集ができなくなっているのだそうです。現在、普段の約半分のゴミしか収集されていないようで、パリの街はゴミ箱で溢れているのです。
ゴミ収集作業員の男性が「俺たちがストをやったら、このパリがどういうことになるのか、気づいてほしいんだよ」と私に言ったことがありました。人々が快適に生活できているのはゴミ収集や焼却場の職員が毎日働いてくれているおかげなのです。市民はこのストでそのことに気づき、考え直すことができたと思います。
交通ストライキは一月以上も続きました。もしも、ゴミ焼却場のストライキが一月も続いたらパリはどうなるのでしょう? 私の家の隣に住んでいるレティシアは、「ネズミ天国に決まってるじゃない。ただでさえ、パリは人間の数よりもうんと多くのネズミが暮らしているのだから」と言いました。実際、ゴミ箱の中に群がるネズミの映像が出回り、それはそれは恐ろしい現状です・・・・・・。
交通ストライキの時にも思いましたが、フランスは権利を主張する国です。ストライキもデモも妥協をしません。されて困るのも市民ですが、市民もまた権利を主張する立場です。お互い生活が追い込まれるのだけど、我慢をして自分たちの権利を守っているようなところもあります。ゴミ焼却場のストライキ、ということで、これまでにない展開をパリに持ち込んでいます。交通ストライキの時、市民は毎日歩きました。しかし、焼却場ストライキはそうもいかないでしょう。焼却場は今日、火曜日から再稼働し始めるようですが、火が戻るまでに2日はかかるのだとか。個人的にもあと2日が限界です。
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