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スリが「ぶす!」と言ってきた!? 知っておきたいスリの手口あれこれ Posted on 2020/02/05 Design Stories  

楽しみにしていたパリ旅行。その旅行を100パーセント楽しむため、パリでは気をつけなければならない事もたくさんあります。美術館巡り、ショッピング、食べ歩き、留学・・・パリにくる目的は人それぞれだと思いますが、どこにいる時も、何をする時も、絶対に油断をしてはいけません! アジア人はどこにいても”スリの標的”であると思って行動しましょう。パリに来られる皆さんが、嫌な思いをしないために、在仏20年で経験したスリの手口をご紹介します。

パリで一番気をつけなければならないのが、中東欧からやってくる「ロマ」と呼ばれる移動型民族のスリ集団たち。だいたい4、5人の集団で動いていて、近くに男性のボスのような人がいるのも特徴です。20年前にいたロマ人の集団は、巻きロングスカートにフラーという、一目で彼らとわかる服装だったのですが、最近はどこにでもいる、ごくごく普通の若者のような格好をしています。20年住んでいるとだいたいわかるのですが、それでも、最近はかなり小綺麗な格好をしています。ですので、はじめてパリに来る方々にはわかりにくい、というのが難点。

一番気をつけてほしい場所は、やはり観光客の多いパリ中心部。特に、チュイルリー公園は、ルーブル美術館からコンコルド広場の間にあり、優雅な場所ではありますが、観光スポットの真ん中にあるせいで、毎朝、スリ集団が集会のようなものを行っています。毎朝その横を歩いて仕事に向かう男性が、ある日、観光客に擦り寄るスリ集団に苦言をしたら、大きな声で罵られ、唾をかけられた、のだとか。かなり挑発的なのもこのスリ集団の特徴なのです。

そんな話は聞いていましたが、とはいえ、大勢の人が散歩をしているチュイルリー公園ですから、安全だろうと最初は思っていました。そこは右岸のオペラ地区から左岸のサンジェルマン地区へ抜けるのに便利な道でもあります。私自身、よくこの公園を歩きます。しかし、今日は公園に入ってすぐ、反対側から歩いてきたフランス人男性が近寄ってきました。何かと思って構えていると、英語で「あなたのカバン気をつけて。あっちにスリの集団がいるからね」と言ってくれたのでした。私はiPhoneをいじりながら歩いていましたが、「ありがとう」と返し、iPhoneをカバンにしまい、チャックをしっかり閉めました。すると、進行方向に確かにスリ集団がいて、すでに観光客に話しかけていたのです。その手口は、ボードに挟んだ紙と、ペンを持って近づき、動物愛護などの署名をしてほしいというもの。サインをした瞬間、お金を出せとすごみます。そして、一度捕まるとなかなか離してはくれません。集団ですし、若い子でも4、5人に囲まれたら、恐怖です。一人がお金を払えと言っているそのすきに、仲間がカバンに手を入れて財布を盗ることもあります。一度、スリが中国人観光客のおじさんの胸ポケットに手を突っ込んでいるのを見たこともあります。容赦ないのがこのスリ集団。そんなことをよく知っている私も、さすがに今日は、この集団をどう潜り抜けるか、ちょっと怖くなってしまいました。ですので、誰かが近づいてきたら、しっかりした口調でノン!と言いましょう。ノンと言って無視して歩くと、たとえ唾をかけられたとしても、お金をひねり盗られることはありません。

スリが「ぶす!」と言ってきた!? 知っておきたいスリの手口あれこれ



もう一つ、私が10年ほど前に実際に経験した恐ろしい出来事をお話します。ATMで60ユーロを下ろそうとし暗証番号を押した瞬間に、新聞紙で画面を塞がれたのです。気づくと4、5人のスリ集団に囲まれていました。突然の出来事でパニックになり、自分のキャッシュカードが出てきた瞬間、60ユーロは諦め、カードを握りしめてその場を離れたのですが・・・。その集団が離れたのを確認して、落ちついてもう一度お金を下ろそうとしたら、もうお金が下ろせなくなっていました。新聞で画面を塞いでいる間に60ユーロをキャンセルし、1日の最大引き落とし額500ユーロを持って行かれていたのです。その手さばきは見事なもの。銀行のATMがどういう仕組みになっているのか、彼らは熟知しているのです。現金ですので、残念ながら保険が適用されることもありません。その現金は一瞬にして、ボスの手に渡り、たとえすぐに警察がスリ集団を捕まえたとしても、もう、彼らの手元には何も残っていません。

周りにはiPhoneを盗られた友人もいますし、お年寄りが小さな孫を連れてお金をおろしているところを狙って奪い取ったり、本当に酷いものです。パリの地下鉄では、フランス語、英語、スペイン語、中国語、そして日本語でも「スリに気をつけてください」というアナウンスが流れます。最近では、車掌さんが「車両内にスリがいます、気をつけて」とアナウンスをしてスリが車両内から出て行くまでドアを閉めないことも。メトロ内で必要以上に近づいてくる人がいたら、まずスリだと疑ってください。一度、前にいる女の子がスリだと気付いた時、カバンをぎゅっと自分の方に寄せたら「マダム、あたしたちが嫌ならタクシー乗りなさいよ」と大きなお世話を焼かれた事もあります。

そして、もっとすごいのは、日本人女性4人くらいで大通りを歩いている時にスリ集団とすれ違い、近づいてきたので「近寄らないで」とつき返すと、なんと! 日本語で、「ブス!」と言い返されたのです!このスリ集団が日本人に友達がいるとも思えませんので、この腹立たしい一言をわざわざ調べて覚えるほど、日本人は標的にされているということなのだと思います。

ということで、みなさんも、このような不快な思いをしないよう(笑)、カバンはしっかりチャックが閉められるものを。「どぅーゆーすぴーくいんぐりっしゅ?」なんて言って近寄ってくる人には「ノン!」と答えて速やかにその場を去ることです。気を引き締めてパリの観光を楽しんでください。ぼんぼわやーじゅ。



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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
パリ編集部からパリの情報を時々配信。