PANORAMA STORIES
現代アートの熱い夜、ニュイ・ブランシュKYOTO Posted on 2022/10/01 Sae Cardonnel 美術・演劇教師 / MUZ ART PRODUCE代表 パリー京都
2019年から私がプロデュースを手がけている現代美術のイベント「ニュイ・ブランシュKYOTO」。
アンスティチュ・フランセ関西と京都市の主催で、秋の夜長に朝まで無料でアートを楽しめるパリ発祥のイベントを京都でも2011年から毎年開催している。
今年の目玉の一つである川俣正 「夢浮橋 ワーク・イン・プログレス 2022」は京都市京セラ美術館のエントランス前に原寸大の橋の模型が出現するプログラムである。
実際に鴨川に期間限定のアートの橋を建てることを目的に、3年前から少しずつ進めているプロジェクトである。
というのも京都では1998年に当時のフランス大統領と京都市長の間で、鴨川にパリの芸術橋を作るという話が浮かび上がった。
「京都に外国の橋は要りません」というスローガンの元、地元住民の猛反対を受けたことでこの構想は頓挫し、京都の町衆たちの強い意志とパワーを見せつけられる機会となった。
そのようなエピソードを聞き興味をもってくれた世界的に活躍するパリ在住の美術家の川俣正氏と共に、丸太と番線の足場の技術を使って、その橋の建設予定地だった場所に「ニュイ・ブランシュKYOTO」の機会に再度日仏友好の橋をかけるプロジェクトをスタートさせた。
1年目はおとなしく小さな模型の展示(京都芸術センター)、2年目は香老舗松栄堂の烏丸通に面した駐車場を提供してもらい原寸大の橋脚の模型を作った。
3年目の今年は橋桁部分を作ってみようと、京都市役所前広場で話を進めていたが、市庁舎の工事の影響で、京都市京セラ美術館前ですることとなった。
2年前に建物自体が過去と現代を上下に結ぶような構造に生まれ変わった京都市京セラ美術館のエントランス前の窪みを川に見立て、岡崎公園のシンボルである平安神宮の巨大な赤い鳥居の足元の歩道から、元の入り口だった美術館の扉に向けて橋が架けられた。
数年後には実際に鴨川にかけ、その後、新しい伝統として定期的にアーティストが鴨川に期間限定のアートの橋を作るプロジェクトとして定着させたいと考えている。
「ニュイ・ブランシュKYOTO」公式ウェブサイト
https://nuitblanche.jp
市内各所で繰り広げられる現代アートの祭典に地図を片手に繰り出そう!
地図
https://www.institutfrancais.jp/kansai/files/2022/09/NBK2022-Programme_FINAL.pdf
各会場の夜間無料オープン:10月1日(土)
(10月末まで開催される展覧会もいくつかあります)
Posted by Sae Cardonnel
Sae Cardonnel
▷記事一覧京都教育大学 教育学部 特修美術学科 日本画専攻 卒業。日本画家、映画監督、文化イベント実行委員、現代美術ギャラリー、仏政府公式文化機関勤務等を経て2018年MUZ ART PRODUCEを設立。