PANORAMA STORIES
光を制するものが、美を制する? −冬の風物詩ライトフェスティバル− Posted on 2017/01/25 まきの ななこ ライフスタイルキュレーター アムステルダム
アムステルダムを訪れる観光客の数は年々うなぎのぼり。
ある調査によればロンドン、パリ、ローマなどに続きヨーロッパで8番目に人気の都市にランクインしている。
そうなれば当然、イベントやフェスティバルも年間を通して目白押し。
毎月何かしらの催し物が開かれ、訪問客のみならず地元の人々をも楽しませてくれます。
その中で私が一番楽しみにしているイベントのひとつ、それが毎年冬に開催されるライトフェスティバルです。
2012年から始まった比較的新しいイベントですが、もはやアムステルダムの冬の風物詩として安定の人気ぶり。
クリスマスシーズンと重なることもあり、運河を照らし出す”光”に誘われて大勢の人々が完全防寒体制で街に繰り出します。
不思議なのは、これまでイルミネーションというものに全く食指が動かなかった著者のような者までをこの”光”が魅了するということ。人ごみや寒さが大の苦手で、クリスマスイルミネーションさえ家人に連れ出されしぶしぶお供するような私が率先して繰り出す“光“の魔力。
いったい何故なのでしょう?
このアムステルダムのライトフェスティバルは、夜の帳が下りるのがめっきり早くなった街自体を美しく照らし出すという効果もあるのですが、もうひとつ特長的なのは、ひとつひとつのイルミネーション自体が強烈なメッセージを放っているということ。
それはもちろん、毎年緻密に企画・準備されたテーマに沿って世界中から募られた作品の中から審査員が厳選した作品のみが参加できるという事実があるからなのですが、そんなオフィシャルなテーマを知らなくても、歩きながら様々な作品を見ているだけで自分なりのポエムのようなものが自然と脳裏をかすめるのです。
会場となるのは、アムステル川やヘーレン運河といったアムステルダム発祥にゆかりのある地。(アムステルダムとはアムステル川をせき止めた、Dam in de Amstelという意味)
オランダが黄金時代を迎えた17世紀につくられた運河沿いには今も当時の繁栄を偲ばせる瀟洒な建物が軒を連ね、近くには歴史ある植物園や動物園、ユダヤ人街なども点在します。
放射状に広がる運河に導かれながら気ままに歩くもよし、ボートに乗って運河を巡るもよし、さらにアムステルダムっ子気分を満喫したい方は、自転車に乗ってまわることも。楽しみ方はあなた次第。
ライトアートは比較的歴史が浅くまだまだ”ART”としての立ち位置が確立されていない分、新しい技術をどんどん取り入れながら日々進化し続けているように見えます。
従来の”光”という概念にとらわれず、自由な発想でアムステルダムの街をライトアップしていく。
今からすでに次回が楽しみです。
”光を制するものは、美を制する”
遠くからあのフェルメールも目を細めて眺めているかも知れませんね。
Posted by まきの ななこ
まきの ななこ
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ライフスタイルキュレーター。シカゴ、東京、モスクワ、ロンドン、、、一期一会に生かされて。新しいホテルやブランドなどの立ち上げに携わりながら様々な都市を巡り、2014年よりアムステルダム在住。オランダ語見習い中。放浪癖あり。