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オランダ人がオレンジ色を好むわけ Posted on 2018/05/08 まきの ななこ ライフスタイルキュレーター アムステルダム

皆さん、オリンピックやサッカーの試合などで昨今はオランダ代表のユニフォームを目にされる機会も増えたと思いますが、どのようなものか覚えていらっしゃるでしょうか。

様々なデザインがあるとはいえ、その基調となっているのは大抵がオレンジ色。オランダの国旗は赤・白・青の三色なので、国旗由来では無い。となると、このオレンジ色はどこから来たものなのでしょう。
 

オランダ人がオレンジ色を好むわけ

オランダ人がオレンジ色を好むわけ

その答えは、歴史を16世紀まで遡ります。当時のオランダはスペインを本拠とするカトリックのハプスブルク家の領土下にありましたが、今のオランダを形成する北部ネーデルラント地方はカルヴァン派が多数を占めており、宗主国スペインへの強い反発がありました。

そしてついに1568年、スペイン領ネーデルラントとスペインの間に、いわゆる”オランダ独立戦争”が勃発します。その際にオランダを指揮していたのがオラニエ公ヴィレム(Willem van Orange、英語読み:オレンジ公ウィリアム)という人物であり、戦争で独立を勝ち取ったオランダの事実上の初代君主となりました。

そんな経緯から国旗の色が変わった今も、オランダ王室に関わる祝祭日や国をあげてのイベントなどの際には、オラニエ公ヴィレムを称える、自由と独立の象徴であるオレンジ色が使われるようになったようです。
 

オランダ人がオレンジ色を好むわけ

さて前置きが長くなりましたが、このオレンジ色が年に一度、国中を染める日があります。それは、現オランダ国王であるウィレム=アレクサンダー国王のお誕生日を祝う日。国民には”国王の日(Koningsdag)またはキングスデーKing’s Day”として親しまれています。

もちろん祝日であるこの日。人々は何かしら”オレンジ”のものを身につけて街に繰り出します。人だけではありません。連れているワンちゃんも、乗っているボートも、飲み物もスイーツも全てオレンジ(笑)。

この日ばかりは特別な許可なく誰でもフリーマーケットを出せることもあり、朝から、いいえ、一週間近く前から場所取りをして、出店準備に精を出す人も。

特に子供たちがお手製のケーキやお茶をふるまう即席カフェは、とてもユニークなアイディアやサービスに溢れていて、毎年覗くのが密かな私の楽しみだったり。

人々が独自のスタイルで国王のお誕生日をお祝いするのを見るのは、ある意味オランダのお国柄を知るとても良い機会な気がします。
 

オランダ人がオレンジ色を好むわけ

オランダ人がオレンジ色を好むわけ

因みに今年4月、51歳を迎えたウィレム=アレクサンダー国王。昨年は、長年にわたって民間機のパイロットの”副業”をしていたことを告白したり、移動の際は、警備の方ともども自転車に乗ったりと、まさにオランダの象徴を絵に描いたようなお方です。

国王の日には毎年、オランダの様々な都市を訪れて交流を深めることが習わしのようで、今年は、天然ガス採掘が起因の地震で大きな被害に見舞われたフローニンゲンを訪れました。(政府は2030年までに全てのガス田を閉鎖すると発表)

王妃と3名のお嬢さんに囲まれた国王はいつ見ても笑顔が絶えず、とても気さくで温厚な人柄が滲み出ているような気がします。国民のみなさんもこんな国王一家の姿に安らぎや信頼を感じる方が多いのでしょう。
 

オランダ人がオレンジ色を好むわけ

オランダ人がオレンジ色を好むわけ

ヨーロッパの王室はこの春、イギリスでウィリアム王子とキャサリン妃に第三子がご誕生したり、ハリー王子がメーガンさんとご結婚したりと、おめでたい話が目白押し。王族というとても稀有な人生を授かることは想像し難いことですが、いつの時代も世界の平和に向けて、精力的に活動を続けてくださることには一庶民として感謝と尊敬の念に堪えません。

世界にひとつでも多くの笑顔が溢れることを願いつつ。
Happy Birthday, King Orange!
 

オランダ人がオレンジ色を好むわけ

 
 

Posted by まきの ななこ

まきの ななこ

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Nanako Makino
ライフスタイルキュレーター。シカゴ、東京、モスクワ、ロンドン、、、一期一会に生かされて。新しいホテルやブランドなどの立ち上げに携わりながら様々な都市を巡り、2014年よりアムステルダム在住。オランダ語見習い中。放浪癖あり。