猛暑の夏、皆さんは美味しいビールを飲んでいますか？
8月の第１金曜日は、国際ビールの日です。
ドイツは、8世紀からビールが醸造され、16世紀に制定された世界最古のビール純粋令が今もなお守られ続けている世界有数のビール大国。
ビールの消費量は一人当たり年間およそ90ℓにもなります（ちなみに日本人は33ℓほどだそう）。
普段の私はワイン派ですが、ドイツでは美味しいビールをいただく機会もあります。

ということで、今回はビールの日と開催中の女子サッカーW杯にちなみ、ドイツ人が愛するビールとサッカーのお話をお届けしたいと思います。

ドイツといえば、サッカーですが、サッカーの応援に欠かせないのがビールです。
ドイツではアルコールの広告に、ほぼ規制がないため、サッカー1 部（ブンデスリーガ）、と2 部リーグ、なんと36すべてのクラブがビール醸造所とスポンサー（あるいはパートナー）契約を結んでいます。

SPONSORs DATAの報告によると、ブンデスリーガにおいて、ドイツのビール会社がクラブに支払うスポンサー額は年間2465万ユーロ（約38億円）に上るとのこと。またブンデスリーガに止まらず、レギオナルリーガや女子ブンデスリーガでも、多くのチームがビール醸造所と契約を結んでいます。

私が住むエッセン市が誇る老舗ビール醸造所シュタウダーは、現在３部リーグに属するロート＝ヴァイス・エッセン、そして女子ブンデスリーガSGSエッセンのパートナーになっています。
お隣の街、ゲルゼンキルヒェン市を本拠地とするFCシャルケ04は、近隣のメシェデ市にある大手ビール醸造所フェルティンスが年間600万ユーロ（約9億3000万円）という高額でスポンサーを務めています。これは、FCバイエルン・ミュンヘンとミュンヘンのビール醸造所パウラーナーの契約額と並び、ビール会社としてはリーグ最高額だそうです。

ブンデスリーガのクラブとスポンサー契約を結ぶビール会社
上から２段はVELTINS（フェルティンス）と契約するFCシャルケ04（上段）とVfLヴァルフスブルク（２段目）、３段目はPAULANER（パウラーナー）とFCバイエルン・ミュンヘン。

想像に難くないと思いますが、ドイツのサッカー観戦は、とにかく熱気に溢れたものです。試合の日は、スタジアムやスポーツバーだけでなく、小さな街全体がまるでスタジアムといった状態になります。
シャルケの試合がある日、ゲルゼンキルヒェンでは、お昼頃から、車も行き交う普通の通りにどこからともなくテーブルが次々に出現。
そこにサポーターが集い、ビールを立ち飲みしながらサッカー談義（おそらく）を繰り広げています。
これは流石に驚きましたが、一度はアリーナ近くの教会がシャルケ色に染まり、ビールを手にしたシャルケ色のサポーターたちが集っているのを見たことがあります。
ちなみに、サポーターが飲む銘柄は、決まってクラブのスポンサー・ビールです（相手チームのスポンサー銘柄はご法度）。シャルケの場合、サポーターの喉を潤すのは、もちろんフェルティンスです。

肝心のスタジアム内の熱はかなりのものです。
ドイツ人たるや、そこで飲む美味しいビールも欠かすことはありません。
シャルケのホーム・グラウンド、フェルティンス・アリーナの地下には、なんとフェルティンスが所有する約52,000リットル貯蔵可能の巨大なビールタンクエリアがあり、スタジアム内の112のビールサーバーと地下タンクが5kmの直結パイプラインで結ばれています。
スタジアム内で新鮮なビールを飲めることもあって、１試合あたり4万８千ℓのビールが用意され、平均で3万ℓものビールが消費されるそうです。すごい！
フェルティンス・アリーナはまさに、サッカーとビール、この２つを心から愛する大国ドイツを象徴するようなアリーナですね。

61000人収容可能なフェルティンス・アリーナ　
©︎VELTINS　Infogramm
Original-Content von: Brauerei C. & A. VELTINS GmbH & Co. KG, übermittelt durch news aktuell

猛暑の続く毎日、ドイツ人ほどではなくとも美味しいビールとともに皆様が健やかな夏を過ごされますように。

最後に、ドイツの定番ビールカクテル「ラドラー」のレシピを紹介します。
夏にぴったりの爽やかなカクテルです。ぜひお試しください。

「ラドラー」
レシピはとても簡単。冷えたビールと冷えたレモネードを１対１で混ぜるだけです。
ドイツではピルスナーかヘレスという種類のビールを使いますが、もちろん普通のビールでもOKです。ポイントは、氷を入れない、混ぜない、です。

（材料／一人分300ml）
ビール150ml
レモネード150ml
（あるいは、レモン果汁大さじ２、ガムシロップ大さじ２、水150ml）