PANORAMA STORIES
マダム・アコのパリジェンヌ通信『私が一番好きなカフェ』 Posted on 2023/04/28 Ako アーティスト/フリージャーナリスト パリ
みなさん、こんにちは。はじめまして!
ムッシュー・ツジとおんなじ、パリに20年余暮らすアコです。
ムッシュー・ツジとおんなじ、パリ生まれの19歳になる男の子もいます。
実に四半世紀前、1990年代にパリ暮らし始めてから今日まで、パリの美しさ、エレガンス、陽気さ、自由さ、強さは、飽きることなく私の心を掴み続けています。そしてフランス語もできない頃から、やはり変わることなく、パリジャン、パリジェンヌたちの優しさ、素敵さに包まれ、生活しています。びっくりするかもしれませんが、私はパリで嫌な目にあったことがありません。(いや一度だけ。歯医者さんに騙されたことがありますが、ご近所さんに言い降らし解決)。
なんてラッキーな、または楽天家です。「住めば都」という言葉を、私はそれほど信じていませんが、住む都を愛すると、都も愛してくれます、そしてその都の人々も。ともあれ、卵が先か鶏が先かはわかりませんが、私にとって、パリには愛する理由がいっぱいです。
これから皆さんを、そんなパリの街中や郊外の田舎へ、散歩にお連れしましょう。
なんたって快い季節になって来た今、散歩を始めるにはうってつけ。ゴールデンウィークのある日本と同様に、4月5月はフランスも春休みがあったり祭日があったりで、おやすみだらけ。まあ1年中、おやすみだらけのフランスですが。
四半世紀もパリに住んでいるのですから、私は素敵な場所をたーくさん、知っています(笑)。新しいお店情報も展覧会情報も、どこからともなく次々とやってくるので、週末に、そして平日にもわくわくと出かけています。この街は美しいだけではなく刺激もいっぱい。
とはいえ第一弾、まずはパリならではの老舗のティーサロンをご紹介しましょう。「古きを大切にする」のがパリの底力、魅力でもありますからね。
ガイドブックにもよく出てきますが、やっぱり良いわーと、しばしば私が通う、マレ地区ボージュ広場にテラスを広げる「カレットCarette 」。
1927年にトロカデロ広場に開いたお菓子屋さんが今に続く、約100年にわたり愛されているティーサロンです。フランスならではの味を貫くマカロンやスイーツに定評があります。現代パティシエのように凝りすぎず、あれこれ混ぜてサプライズな味を探したりしない、パリっ子が代々愛するスイーツ…、ミルフィーユ、オペラ、レモンタルト、モンブラン、エクレア、サントノレ、パリブレスト等々…を、大切に作り続けているのです。
トロカデロにもお店ありますが、私の行きつけは、そこより少しばかり小さなパリの旧市街地マレにあるお店。そして、混まないうちの(日中になると並ばなくてはなりません)午前中に訪れます。
ルイ16世スタイルの室内 (マリーアンワネットの時代です) も、とても魅力的なのですが、お願いするのはテラス席。朝のまだ冷たい空気と透明な光の中で「王の広場」とかつて呼ばれた小さなお庭を前に、朝ごはんやブランチをのんびりと楽しみます。冬だって、ちゃんとストーブがあるので大丈夫。
バカンス時期や週末などの昼や夕方になると大混雑してくるマレ地区ですが、この時間のこの空間での、昔からのフレンチブレックファースト(日本での焼き魚とおとうふのお味噌汁の朝ごはん、のような)。朝、顔を洗っただけでお化粧もせず眼鏡のままで、目覚めのオレンジジュースやクロワッサンに舌鼓み。私はカフェオレ等ですが、チョコレートをとかしたどろっと濃いホットチョコレートも選べます。ブランチセットだと、ふわふわのスクランブルエッグがつきますよ。
ブランチタイムに訪れて、お腹が空いたからしっかり食べたい、という時の私の定番は、クラブハウスサンドイッチ。実はここでスイーツを食べたことはないのですが、お土産に頂くことがあります。あの列を並んでくれたことに感謝です。今度はお返しに、朝のカレットをご招待するのも良いアイデアかもしれません。
とはいえ、とっておきの休日。わざわざティーサロンへ出向かなくても、ただただゆっくりお家で過ごす贅沢もあります。
ファミリーがワイワイいる休日なら、「みんな〜!ケーキが焼けたから一緒に食べないー?」とティーサロン風にテーブルに並べて声をかけてみると、案外、大きくなった子供たちも「なになに」とやってくるものです。
お菓子作りは、作る時間+片付け > 食べる時間 と、差が大きいのに、その短い方の時間で、ぎゅぎゅっと幸せな気分になるので、また休日にはソファーに転がる代わりに、バターや小麦粉にまみれるはめになるのです。
アパルトマンの前の木々に新芽が吹き始めました!
Posted by Ako
Ako
▷記事一覧東京生まれ。1996年よりパリ在住。セツモードセミナー在学中にフリーライターとして活動を始める。パリ左岸に住みアートシーン、ライフスタイルなど、生のフランスを取材執筆。光のオブジェ作家、ダンスパフォーマーとしても日々活動。