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夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」 Posted on 2022/05/01 八重樫 圭輔 シェフ イタリア・イスキア

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」

このシリーズでは、日本でも定番となったイタリア料理ではなく、なかなか窺い知ることのできない家庭料理や郷土料理を中心にお伝えしています。
素材にこだわり、伝統を守り、郷土色が強く、そして調理法はいたってシンプルで、だからこそ奥深い。同じ料理でも家庭によってやり方は千差万別で、レシピなどあってないようなもの。
そんな普段着の料理たちの中から、日本でも手に入りやすい食材を使った一品を取り上げていきます。
タイトルのq.b.とは適量を意味するイタリア語quanto basta(クアント バスタ)の略です。細かいことは気にせず臨機応変に、あなた次第のレシピにして頂けたら、という思いを込めて。

さて、いつもは僕の自宅から料理をお届けしていますが、今回は趣向を変えてレストランの賄料理を少しご紹介したいと思います。その中から今の時期にぴったりなレシピも一つ取り上げましたので参考にしてみてください。
では、先日のまかないランチをのぞいてみましょう。

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」




夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」

フレッシュポルチーニとトマトのパスタ。この日の朝、季節外れのポルチーニ茸を業者さんが持ってきました。カラブリア州産だと言い張っていましたが、僕は東欧からの輸入ものではないかと睨んでいます。でも味は悪くありません。時間がある時は手打ちパスタを作るのですが今回は乾麺で。

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」

エンダイブ、インゲン豆、新玉ねぎ、トマト、ナスのオイル漬けのサラダ。
野菜はすべて地元産で、甘みのある新玉ねぎがたくさん入っています。秋に漬けたナスが良いアクセントになっています。

地球カレッジ

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」

カタクチイワシの揚げ物。衣は小麦粉だけというシンプルさも素材が新鮮だからこそ。
レモンを絞り、僕は小骨ごと食べます。

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」

黄桃、サクランボ、ワイルドストロベリーのタルト。さっぱりとしたフルーツタルトは食後にぴったりですね。この後にエスプレッソコーヒーを飲んでランチ終了です。
食事中は昼間でもワインを普通に飲みますが、炭酸のミネラルウォーターで割る飲み方も一般的です。

“自分たちがおいしいものを食べていなければ、お客さんにもおいしい料理を提供できない”というモットーのもと、このようなフルコースの賄を昼と夜の2回、皆でわいわい話しながら食べています。僕が働き始めた日の食事もあまりに豪華だったので、てっきり歓迎パーティーかと思いきや、次の日からも普通に豪華だったという思い出があります。
それでは、最近の賄の中から、この時期にぴったりの一皿をご紹介したいと思います。

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」

Insalata di riso ~お米のサラダ~
★お米   一人前70g程度
★生野菜  (パプリカ、人参、セロリ、ししとう、など) q.b.(適量)
★ゆでグリーンピース q.b.(適量)
★ゆで卵  一人一個
★オリーブ  q.b.
★ミニトマト q.b.
★チーズ   q.b.(フォンティーナやエメンタールなど好みで)
★ハム類   q.b.(プロシュット・コットやモルタデッラ、普通のソーセージなど)
★ツナ缶   q.b.
★ワインビネガーまたはバルサミコ酢やリンゴ酢。塩、オリーブ油

※何をどれ位と書くよりも”チャーハンの具を準備する感覚で“と言った方が分かりやすいかと思います。
※お米はイタリアでは粒が大きめのサラダ用のものが売られていますが、普通のお米でも構いません。
材料がたくさん必要なように見えますが、決まりはありません。好きな野菜やハムなどを適当に入れるだけでいいのです。キュウリや野菜のピクルスなどを加えることもできます。
ハム類とツナはどちらかを好みで、または両方入れる人もいます。
無かったら困るのはお米くらいです。

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」

~作り方~
野菜はすべて細かい角切りにします。ハム、チーズ類、トマトも小さく切ります。
オリーブは丸ごとでも、小さく切ってもどちらでも。茹で卵は好きな形に。
お米をたっぷりの塩水で茹でます。少し歯ごたえがあるうちにザルにこし、あらかじめ冷やしておいたバットなどに広げて粗熱を取り冷蔵庫で冷やします。流水でさっと洗って冷ます人もいます。茹ですぎると後でべちゃっとなるので気をつけましょう。

お米に切った材料を加えて、塩、オリーブオイル、ワインビネガーで味付けしよく混ぜます。後で好みでバルサミコ酢をかけても良いです。ツナは一緒に混ぜても、上にトッピングしてもどちらでも良いです。最後に茹で卵を飾ります。冷蔵庫でよく冷やして出来上がりです。このサラダは次の日もおいしく食べることができます。

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」

今回の賄で使った材料は、人参、セロリ、ししとうを切ったもの、ナスとズッキーニをグリルしたもの(塩、酢、オリーブ油で味付け)、インゲン豆を茹でて切ったもの、オリーブ、自家製ツナ、ゆで卵でした。上記のオーソドックスな材料とは全然違うことがわかるかと思いますが、このようにアイデア次第でいろんなバリエーションが楽しめます。
因みに紫インゲン豆を使ったのですが、僕は初めて見たので農家の方が持ってきた時は驚きました。茹でると濃い緑色に代わりましたが美味しかったです。

とてもざっくりとしたレシピでしたが、お米を茹ですぎず、ハム類かツナを多めに入れ、野菜を細かく切り、酢であっさりと仕上げれば初心者でもおいしくできると思います。
難しく考えず、チャーハンを作るような感覚で試してみて下さい。
それでは、また普段着の食卓でお会いしましょう。

夏のイタリア飯「q.b.レシピのないレシピ帳 ~お米のサラダ~」



自分流×帝京大学

Posted by 八重樫 圭輔

八重樫 圭輔

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Keisuke Yaegashi
シェフ。函館市生まれ。大学在学中に料理人になることを決め、2000年に渡伊。現在は家族とともにイスキア島に在住。