PANORAMA STORIES
世界のクリスマスストーリーズ ~ヨーロッパ編 Posted on 2016/12/23 辻 仁成 作家 パリ
デザインストーリーズ創刊から2か月、無事にクリスマスを迎えることができました。
創刊後、世界各地の在外日本人の方より「自分もぜひ記事を書いてみたい」という申し出があり、仲間が急増中です。DS特派員たちの日常を通して、まるでその街で生きるような世界の息吹をこれからもお楽しみください。
時差なく、今の今をお届けできるのがこのウェブマガジン、デザインストーリーズのよいところですね。
では、世界中に散らばるDS執筆陣より届けられました「おらが街のクリスマス」を本日と明日の2日間、
お届けします。
美しく平和でハッピーな大企画、みなさんで楽しんでください。
本日は、欧州各地の特派員からのクリスマス風景です。
チェコ、プラハより
ロウソクが灯るクリスマスディナーのテーブルに、水を張った器を用意します。
その中に半分に割ったクルミの殻を浮かべ、その殻をロウソクが置いてある方から人差し指で優しく押す。
押された殻が船のように遠くへ行けば行くほど、「新しい年は良く旅をするでしょう」ということ。
おとぎの国のようなプラハの街と、自由に旅をすることが難しかった社会主義時代の名残を同時に思い起こさせる、クリスマスの夜のおまじないです。
オランダ、アムステルダムより
オランダのクリスマスは一足早く、11月中旬のシンタクラース(聖ニコラス)の訪れと共に幕を開けます。スペインから蒸気船でたくさんの従者を連れ、盛大なパレードが繰り広げられます。
この時期にはペパーノーテン(ジンジャークッキー)やスペキュラース、アーモンドペースト入りクッキーなどが店先を飾り、人々はお互いのイニシャルであるアルファベット型チョコレートなどを贈り合ったりします。
オーストリア、ウィーンより
「きよしこの夜」発祥の国、オーストリアではクリスマスの事をヴァイナハテンと呼び、メリー・クリスマスの事をFrohe Weihnachten!(フローエ・ヴァイナハテン!)と言います。
11月半ばを過ぎるとウィーンの市庁舎前には大きなモミの木が現れ、たくさんのクリスマス市が並び、大勢の人で賑わいます。
イタリア、ピエモンテより
クリスマス、私が暮らすピエモンテ州ゲンメという街はとても静かです。
自宅前の教会に人が集まり、静かなミサが聞こえているくらい。
住人は自宅やレストランでクリスマスの食事を楽しんでいるため、街に人通りはなく、霧の中イルミネーションだけが静かに輝いています。
イタリア、イスキア島より
フォリオの町では24日の早朝5時から街の中心の教会でミサが行われ、広場には魚の屋台が並びます。
24日は魚、25日は肉料理を食べます。
花火が上がり、レストランでは簡単な料理を無料で提供したりします。
フランス、アルザスより
ノエルといえば、かわいいデコレーションが溢れるアルザス地方。
ここでは小さい街までクリスマス一色です。
田舎道を歩いていると道端にキリスト生誕シーンのインスタレーションが登場。
イタリア、ボローニャより
ボローニャのクリスマスのお菓子といえば、砂糖漬けの果物がたっぷり入ったチェルトジーノ!
ポーランド、ワルシャワより
ポーランドでは、バルシチ(伝統的な赤かぶのスープ)と一緒に、小さなピエロギ(伝統的な料理、餃子に似ている)を食べます。そのピエロギの中にはひとつだけ1グロッシュ(日本でいう1円玉)が入っていて、当たった人は、1年間、お金に恵まれると言われています。
コレンディ(ジングルベル)を歌い終えると、子供たちはツリーの木の下に置いてあるプレゼントを開けます。
イギリス、ロンドンより
イギリスのクリスマスと言えば、 毎年12月の中旬から1月初頭までイルミネーション輝く中、
自然科学博物館前に現れる屋外スケートリンクです。
このスケートリンクでは、家族連れやカップルが、クリスマスの時期にしか味わえない特有の空気を楽しんでいるのがわかります。
Posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。