PANORAMA STORIES

オランダ子育て一年生 Posted on 2017/02/14 荒井 瞳実 母 オランダ・デンハーグ

オランダに到着したのは、まだ陽射しの強い夏のことだった。
あっという間に半年が過ぎ、初めてのヨーロッパの冬も終わりを迎えようとしている。
 

オランダ子育て一年生

我が家は、アーティストである夫を筆頭に、13歳、6歳、4歳の男の子がいる5人家族。
関東近郊での田舎暮らしを経て、沖縄、インドネシアバリ島、台湾と旅するように暮し、この夏に、少し腰を据えて子育てをする土地として、オランダを選び移り住んだ。オランダは「フリーランスがビザをとりやすい国」として、最近日本人に密かな人気である。
それぞれが自分の仕事を持つ私たち夫婦にとってはありがたいシステムだ。
さらに「たくさんの人種が共存し、教育も多様で先進的」と、たいへん評判なのである。

我が家の子供達は、日本で生まれ育った私たち夫婦とは全く違う環境の中で幼少期を送っている。
長男は私の連れ子で、我が家がステップファミリーであることもあるが、次男は歩き始める前にバリ島に移り住み、三男坊はバリ島生まれた。同じ兄弟でも、生まれも好みも性格も体質も三人三様、全く違い個性的だ。
 

オランダ子育て一年生

バリ島では、たくさんの友人に協力してもらいながら、ホームスクーリングをしていた長男。
小学校高学年になると「学校で友達とたくさん勉強がしたい」と言い出した。
その頃、年の離れた次男三男は、まだまだ幼く、バナナの葉や木の棒で遊ぶ日々。

長男が社会に出て学ぶことと、小さな子どもたちが自然と対話をしながら学ぶこと、この2つを同時に満足させることのできる場所を探した。
 

オランダ子育て一年生

オランダなら、それぞれの成長段階にあわせて育てられるし、個性を伸ばしていくことができるのではないか? 
いろいろと調べ夫婦で話しあい、最終的に「オランダ」に決めた。

子どもたちは移住後1か月ほどして、オランダに来たばかりの子どもたちがスタートアップのために通う、いわゆる移民のための小学校、中学校に通い始めた。ここで言語や習慣など、オランダで暮らしていくために必要なことを学び、小学生だと1年ほどで、地元校へと編入していくこととなる。
 

オランダ子育て一年生

小さな子どもたちは毎日森で遊び、歌い踊り、時には携帯端末を駆使して勉強もする。中学生はテストとパソコンと大量の宿題の毎日だ。
オランダの学校は能力主義だ。実力でクラスも振り分けられ、留年や飛び級も当たり前。

一見シビアではあるけれど、他の子は気にせず、自分にあったペースで学ぶことができる。
 

オランダ子育て一年生

オランダは、あまりにも、みんな違いすぎる。
クラスメイトは宗教も言葉も文化も食べるものも人との距離感もまったく違う、世界中から集まった子どもたち。
その空間は、まるで小さな地球である。

言葉が一切わからない中で始まった学校生活は、クラスの中で毎日起こる些細なけんかや、仲間はずれで涙した日々を経て、子どもたちを逞しく成長させた。
やがてオランダ語もめきめきと話すようになり、友達もたくさんできて、楽しい日々を送りはじめた。

価値観が異なる人たちが、どうやったら一緒に生きていくことができるのだろう?
  

オランダ子育て一年生

子どもたちは、多様な社会の中で暮らしていく知恵も、同時に学んでいるようだ。
もちろん、家庭でのサポートは不可欠だけれど、人を大切にし、自分らしい生き方ができる人に育てていくための教育が、このオランダにはあるかもしれない。

オランダ生活一年生。これからの、子どもたちの成長が楽しみだ。
  

オランダ子育て一年生

Posted by 荒井 瞳実

荒井 瞳実

▷記事一覧

Hitomi Arai
神奈川生まれ。2012年からバリ島、台北と旅するように暮らし、2016年オランダに着地。hitomiarai.infoという小さなオウンドメディアで、子育て、アロマセラピー、海外生活などを発信。植物やその土地の恵みを、暮らしの中や子育てに活かせたらと、常にナチュラルライフを模索中。現在は男児3人と夫のケアを基盤に、講座、講演、執筆活動などを。趣味は素敵な人とのお茶飲み。