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翡翠なすのそうめん Posted on 2024/09/13 KAORU フードアーティスト 

翡翠なすのそうめん

湿気の強い日本の夏にはそうめんがよく合う。調理時間が短くて、コンロの前で汗が洋服に染み込んでいく前に盛り付けまで完了できる麺類全般、おそばやうどんもいい。でも夏といえばやっぱりそうめん。
そうめんは伝統的には小麦粉とお水、塩をよく捏ね合わせ、寝かせたのちに表面に油を塗り付け細く伸ばしていき、天日干しにして作られる。
全国津々浦々で作られているそうめんは麺の細さや長さ、食べた時の食感が多様だ。好みは人それぞれ。私も個人的に大好きな「半田麺」という徳島県の少し太めでもっちりした歯応えの素麺があって、蝉の声が聞こえ始めたらまとめ買いをしてストックしておく。それに加えて、毎年友人たちとあれがおいしいよ、これがおすすめだよ、などと情報をシェアしたりして新しいそうめんとの出会いも楽しみにしている。そうめん交換会は夏の風物詩。

翡翠なすのそうめん

TSUJI VILLE

最もシンプルなそうめんの味わい方はもちろん茹でてめんつゆと薬味で食べる。に尽きるけれど、夏の間中これでは流石に飽きてしまうので時々、時間がある時にはクリエイティブになってみるのもいい。今年の夏には和食のお料理のひとつ「翡翠なす」と、そうめんを合わせた一品を作ってみようと考えた。
「翡翠なす」はなすを油の中でくるくる回しながら揚げるテクニックを使って調理し、氷水でしめたら皮をむいて果肉をきれいな翡翠色に仕上げるお料理だ。涼しげな見た目と、口の中に入れるととろりと溶けていく感じが夏らしい。素揚げしたことによるほんの少しの油っけがひんやりしたそうめんのつるっとした喉越しにぴったりだなと思う。
お料理に一体感を出すため、なすを一部たたきにして、あとはお好みの薬味とたっぷりのすりごまをかけるのもおすすめです。

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

◾️材料(2人分)
なす 2-3本
そうめん 2束
しそ 4枚
生姜 ひとかけ(15gくらい)
ねぎ 1本
みょうが 1、2個
揚油 適量
塩 適量
氷水
めんつゆ
水600㎖
昆布 5g
鰹節20g
濃口醤油180㎖
みりん 160㎖
酒 30㎖

◾️作り方
めんつゆ
中くらいの鍋に水と昆布を加え、弱火でふつふつするまで火にかける。30分くらいそのまま火にかけたら鰹節を加え、さらに5分弱火で煮出し、火を止めてザルで濾す。出汁を鍋へ戻したら醤油、みりん、酒を加え、中火で一度沸騰させたら火を止め、しっかり冷やす。
小さな容器でめんつゆを60㎖と水20㎖を混ぜ合わせていく
★時短で作る場合、めんつゆの材料全てを鍋に入れ、一煮立ちさせたら弱火にし、5分ほどそのままに出したら冷ます。完全に冷めたらざるで濾す。(このバージョンの方が出汁の風味は弱くなります)

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん



翡翠なすとそうめん

1. なすの先端と付け根を切り落とす。しそ、みょうがを千切りにし、ねぎは薄く斜め切りに。生姜はすりおろしておく。

2. 深めのフライパンに油を加え、中火で175度まで温めたらなすを加える。お箸を使ってなすをくるくる回し、なすが油で常にコーティングされているようにする。なすを切り落とした部分に茶色の焦げ目がついてきたらそれが火が通った目安。 (揚げすぎてしまうと茶色になってしまったり、皮に紫色が果肉に移ってしまう).

3. 揚げたなすをすぐにそのまま氷水を張ったボウルにダイブさせ、皮をむく。

4. ペーパータオルなどで③のなすの水分をふきとり(この状態を「翡翠なす」)という)軽く塩しておく。なすの半量は細い棒状に切り、残りの半分は細かく切る。

5. そうめんを袋の表示時間で調理したら、冷水でひきしめ水を切り、器に翡翠なす、薬味と共に盛り、最後にめんつゆと水を混ぜたたれをお好みの分量かけてできあがり。

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん



翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

翡翠なすのそうめん

キーポイントは、お箸などを使ってなすを常に油の中でくるくる回し続け、なすの皮が常に油でコーティングされている状態を保つこと。こうすることで皮と果肉が茶色っぽくならないようにする。それから揚げ過ぎないこと、そして最後に氷水に放った時に皮を直ちにむくこと。こうして紫色の色素が果肉に移るのを防ぐことができる。
残っためんつゆは冷蔵庫で2週間くらい風味いい状態で保存可能。めんつゆにごま油、炒ったごま、お酢、豆板醤を加えて中華風にするのも良いし、豆板醤の代わりにコチュジジャン、すりおろしたにんにくを足して韓国風にするのもおすすめ。薬味にパクチーを足すのも異国情緒あふれていいと思う。めんつゆを作る時間がなければ、もちろん市販のものを使っても良いのだけれど、出汁のきいためんつゆは何者にも変え難い!ぜひ一度試してみてもらいたいなと思う。

自分流×帝京大学



Posted by KAORU

フードスタイリスト/ディレクター、レシピ開発者、雑誌「七味」編集長。企業やブランドなどのレシピ制作のほか、連載コラムの執筆、ファッションブランドとのコラボレーション、国内外での個展開催など、アーティストとしても幅広く活動している。