PANORAMA STORIES
日本とこんなに違う、フランス人の話し方・おもしろ言い回し集 Posted on 2023/06/05 ルイヤール 聖子 ライター パリ
日本にいた頃、電車の中で海外の人たちが大声で話していたのを覚えています。
ところが逆にフランスに来てみると、自分の声がだいぶ小さいことに気づきました。
フランス人の話し声は、日本人に比べてですが、結構大きいです。
地下鉄はもちろん、カフェの中、家族の集まりなど、声が大きい上に皆さんマシンガントーク。
地下鉄で電話をしている人などは話の内容が丸聞こえだったりします。
もちろんいつものように、フランス人の全員が全員こういう感じだ!というわけではありません。
ただ、やはり「主張する文化」なのか、言ったもの勝ち、声を上げたもの勝ち、といった風潮があるように思います。
というのも、彼らは小さい頃から学校で論述・ディベートを学びます。
自分の意見を通すのが大事だと思われているので、理詰めで語るほか、強調したいところは特に声が大きくなるというわけです。
家族の集まりでもそうです。
まず、話の邪魔になるようなテレビの音は消します。
家族が一堂に会する時などはさあ大変、みんなが一斉に喋り出します。
声のボリュームもそうですが、内容がものすごく多岐にわたっていて、たとえば一週間に起こった出来事の一から十まで、あるいは十二まで話し倒します。
フランスの家族は絆が強いので、離れて暮らしていても連絡は密に取っています。
そのため電話でも長く喋ります。
フランス人と結婚した方なら分かるかもしれませんが、日本人妻(嫁)が普段何をしているか?何を思っているか?というのは、仏人夫の口から義理の両親にかなりの割合で伝えられてしまいます(それも事細かく)。
もちろん彼らに悪気はありません。
これも絆が強いため、「会えない間の情報」を家族間で共有したい、ということになります。
ただそれが日本と比べてかなり密なので、初めのうちはその筒抜け具合に驚いてしまいました。
道行く人の独り言、電話の声もやはり大きいです。
暗い道で背後から聞こえてくるとびっくりしますね。
それから日本でもたまにいらっしゃいますが、道端で一人歌いながら歩く人?がフランスでは多いような気がします。
我家の前は路地裏、というのもあって、日が暮れると歌う人が増えます。
これが皆さんやけに上手い。
一階に住む近所の住人がたまに拍手を送るほどです。
そういった人たちを疎ましく思うのではなく、一緒に楽しむ、といったところにラテン気質を感じている次第です。
さて、そんなフランス語に面白い「言い回し」があるので、少しご紹介したいと思います。
日本語で「朝飯前」という言葉があります。
これは朝食をとる前のわずかな時間でもできるような、簡単なことを表します。
フランス語にも全く同じ意味の言葉があるのですが、こちらでは「C’est du gâteau ! (セ・デュ・ガトー)」となります。
「こんなのケーキだ!」=ケーキを食べるくらい簡単だ!という意味だそうで、スイーツ大国フランスらしい表現だな、と思いました。
また美味しくないワインのことは赤でも白でも「C’est du vinaigre(セ・デュ・ヴィネグル)」=「ただの酢だ」と言ったりします。
批評の厳しいフランス人なので、こういった表現はたくさんあります。
ただこちらは仲の良い間柄で使うため、レストランで言うのは控えます。
面白かったのは、口元を抑えずに大あくびをした時に言われる言葉です。
「Je vois ta culotte!」と言って、「パンツまで見えるよ!」という意味になるのですが、これには笑いました。
子供に使う言葉とのことで、親が行儀の悪さを叱る時によく言うそうです。
こうして日本にもフランスにもたくさんのたとえ言葉があって、そのちょっとした違いが面白かったりします。
ただ言えるのは、やはりフランス人の話し方がダイナミックだ、ということでしょうか。
「口達者」というのもそうです。
米国や中国などはもっと異なるのでしょうが、言語の違いによる話し方、言い回しの違いは大変興味深いところです。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。