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日本とこんなに違う、フランスの朝ごはんの実態 Posted on 2023/05/12 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
デザインストーリーズでもたびたび紹介されてきた、フランスの朝ごはん。
クロワッサンや、バゲットにバターやジャムを塗ってカフェオレに浸して食べる「タルティーヌ」…パンを中心としたフランスの朝食は、日本と違って甘くてシンプルなものばかりです。

今日はそんなフランス人の朝食スタイルを、少し詳しくご紹介したいと思います。
クロワッサンが登場する頻度は?なぜ甘いものばかり食べるの?地方によって内容は違うのか?
フランス人と生活を共にして数年、朝ごはんにまつわる興味深い事実が明らかになりました。
 



日本とこんなに違う、フランスの朝ごはんの実態

 
まずは「タルティーヌ」。
これはフランス人の朝食の定番と言って良いでしょう。
用意するものは、前日の残りのバゲット、バター、ジャム(味はお好みで)、たっぷりのカフェオレもしくは牛乳。
バゲットはだいたい10cmくらいに切って、さらに半分に割りトーストします。
バターは無塩のものが基本となります。
それをカフェオレに浸して食べる…というのが一般的なのですが、中にはコーヒーが飲めない人もいます。
それから子供にはちょっと早いようですね。

そんな時に登場するのが、チョコパウダーです。
写真にあるように、フランスの家庭にはBOX入りの特大チョコパウダーが置かれていることが多い。
彼らは、温めた牛乳にそのパウダーを混ぜ、バターをたっぷり塗ったバゲットをドボンと浸して食べます。
塗るバターの量も多いこと、多いこと…バゲット一切れにつき大さじ一杯分は塗っているでしょうか。
 

地球カレッジ



日本とこんなに違う、フランスの朝ごはんの実態

 
当然牛乳には脂肪分がたくさん浮かび、最終的にはラーメンのスープのようになります。
ところが彼らは、それを全て飲み干すんです。
私は未だにこれを真似できないのですが、フランス人の義母はもう30年近く、タルティーヌを毎朝食べているのだとか。
ここでびっくりしたのは、フランスの朝食が甘いというだけでなく「毎日同じものを食べ続ける」ということです。

「飽きないの?」という問いには「飽きない」「考えるのが面倒」と返ってきて、「しょっぱいものは食べないの?」と訊けば「朝にしょっぱいものを食べると胃がもたれる」「糖分は朝に必要だから」と返ってきました。
 



日本とこんなに違う、フランスの朝ごはんの実態

 
もちろんタルティーヌ以外の朝食もあります。
フランスにはシリアルの種類もたくさんあって、若い世代の方はより準備が簡単なシリアルを選んだりもします。
ちなみに仏人の主人とは結婚して3年経ちますが、彼は3年間毎日シリアルを食べています。
日本に滞在していたときなどは3週間ずっと、どら焼きを二つずつ食べていました。
やはり同じメニューが落ち着くようです。

ではフランスの北と南ではどうなのか。
義母はダンケルクというベルギー寄りの北フランス出身です。
彼女の家族はなんと、チーズにジャムを塗ってタルティーヌ・スタイルにするとのことです。

チーズにジャム、そしてそれをカフェオレに浸して食べる…とは何とも驚きの朝食メニューです。
一方南仏の方では、柑橘類の産地ともあってオレンジジュースやオレンジのジャムが欠かせないのだとか。
人それぞれではあると思うのですが、甘いのが好き、というのは共通しているようですね。

クロワッサンもまたフランスの朝食の定番で、彼らはクロワッサンを誇りに思っています。
ただ平日にはあまり食べません。週末にクロワッサンをゆっくり食べる…といきたいところですが、実は毎週末に食べる人もそう多くはないです。

食べるなら焼きたてで、とは思っているけれど、朝早くにパン屋さんに向かうよりはたっぷり寝ていたい。もしパートナーが買ってきてくれたら喜んで食べるよ、というのがフランス人の実態かもしれません。

このようにフランスの朝ごはんは本当にシンプルなので、お母さんたちも楽だと思います。
テーブルにそれぞれの食材をゴン!と置くだけで、後は子供たちがめいめいに用意する姿も見られました。
 



日本とこんなに違う、フランスの朝ごはんの実態

 
「甘い」「シンプル」「毎日同じ」「無理しない」…フランスの朝食には、この国の文化が凝縮されているようですね。
なお日本の、いわゆるクラシックな、ご飯に味噌汁、鮭に納豆という朝食の写真を見せたところ、「ディナーみたい!」と一同驚愕しておりました。
国によって全然違う朝ごはん、ランチよりディナーより、朝に異文化を感じると思っている次第です。
 

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。