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日本とこんなに違う、フランスのマルシェ・お魚屋さん編 Posted on 2022/08/01 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
パリは海から離れていることもあって、魚の値段はちょっと高めです。
魚店は街に一件あれば良い方といったところで、スーパーの鮮魚コーナーも肉類に比べれば本当に小さなものです。

しかし日本人の私にとって、白飯&焼き魚はときどき無性に食べたくなるセットです。
どこで新鮮な魚をゲットできるか?というのは渡仏してからの課題でもありました。
スーパーでも魚店でもない、活きの良い魚が手に入る場所と言えば、、、やはりマルシェです!
私はフランスに来て、このマルシェにどっぷりハマってしまいました。
 



日本とこんなに違う、フランスのマルシェ・お魚屋さん編

 
マルシェが開催されるのは地域によってまちまちで、だいたい週に2回ほどの所が多いです。
パリ市内では約80か所で開催されていて、日曜日を除く毎日オープンなんて所もあります。
その中でも一番元気なのは、やっぱり魚屋さん。
働く年齢は若い人から年配の方までさまざまなのですが、私が通うマルシェは平均年齢が若いようで、常に元気はつらつ・ジョークも冴えています。
 

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日本とこんなに違う、フランスのマルシェ・お魚屋さん編

 
写真のように、フランスのマルシェでは魚が一匹丸ごとずらっと並んでいます。
これは頼めばその場で切り身にしてくれて、皮や骨の有無も選べます。
スーパーに比べればとても新鮮なので、鯛などはカルパッチョにして美味しくいただけます。

どこで仕入れているのか?と訊いたところ、パリ郊外にある「ランジス卸売市場」とのことでした。
ランジス市場は「フランス人の胃袋」と呼ばれるほど巨大な市場で、日本で言う築地に当たるでしょうか。
ただその面積は築地のおよそ10倍。
関係者だけがここに入れて、業務用の食材を調達できるようです。
その他、季節にもよりますが大西洋側の漁業組合と直接取引をして仕入れることもあるそうです。

魚屋さんの起床時間はこちらでも早く、マルシェの搬入や陳列に時間がかかるのでだいたい4時には起きるのだとか。(仕入れ時はもっと早い)
魚屋さんになった理由は?と訊いたところ、「釣りが好きだったから!」と素敵な答えが返ってきました。
1か所のマルシェに留まるということはなく、近郊の場所を1週間のうちに同じチームで3か所周る、とのことでした。
 



日本とこんなに違う、フランスのマルシェ・お魚屋さん編

 
日本との大きな違いは、ズバリ値段です。
たとえば鮭でしたら、二切れでおよそ7ユーロ(約980円)もします。ということでお魚は毎日食べられないのですが、海老やムール貝などは比較的安く手に入ります。
ムール貝はフランスでもよく採れるらしく、1㎏で9,9ユーロ(約1400円)。これはフランス名物料理の“ムールフリット”が3〜4人前くらい出来る量です。
そのためフランスに来てからは、魚より海老や貝類をよく食べるようになりました。
 

日本とこんなに違う、フランスのマルシェ・お魚屋さん編

 
それから海藻も魚屋さんではほとんど売られていません。
フランスではワカメなどの海藻は肥料にする、とのことです。
なんともったいない…と思ってしまうのですが、その代わり売られているのはブルターニュ産の「サリコルヌ」です。
これは夏に採れる海藻なので、ちょうど今の時期の魚屋さんによく並んでいます。
食感はシャキシャキとしていて、塩抜きの後ガーリック炒めにすると美味しいですね。
 



日本とこんなに違う、フランスのマルシェ・お魚屋さん編

 
魚屋さんで売られている総菜は素晴らしく、ニシンや蛸のマリネは最高です!
通い詰めて仲良くなったりすると、これらのお惣菜をちょっとサービスしてくれることも。
こういった情のある風景が好きで、私はマルシェに通うようになりました。

ただ家庭での調理は日本のようにいかないです。
というのも、海外のガス台には魚焼きグリルが付いていないから。
魚を焼くときはフライパンかオーブンとなるため、どうしても皮がパリッと焼けないのです。
日本にいた頃のように、炙るように皮まで焼きたい…という思いはいつもあります。

またサンマやブリがこちらになかったり、逆に日本で馴染みの無いような魚が並んでいたりもします。
フランス語での魚介類の名前も難しく、タラ(cabillaud)、帆立(Saint-Jacques)、サバ(maquereau)など、綴りが長い上に男性名詞も女性名詞もあります。
10歩あるいたらさっき覚えた単語を忘れてしまう…ということを以前は繰り返していたのですが、それを仏人の主人に言ったら「漢字で書く魚の方がもっと難しいよ!」と言われてしまいました。
魚編の漢字は、日本語学習者にとってちんぷんかんぷんなのだそうです。

日本の魚の質・値段の安さは、正直今でも恋しいです。
秋のサンマ、冬のブリなどはフランスでは経験することができません。
ですがマルシェの温かさに触れたことで、すっかりこちらの魚屋さんのファンになってしまいました。
 

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。