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日本とこんなに違う、フランス人の“目”の表現 Posted on 2024/02/29 ルイヤール 聖子 ライター パリ
「乾杯のときは、目と目を合わせて。必ず見つめ合いながら」
これは、慣れるのに少し時間がかかってしまった、フランス流・礼儀作法の一つです。
礼儀と知らなかった以前の自分は、フランス人から「目、きちんと見て!」などと何度も言われていました。
グラスを合わせるときのしきたりは、2人でも3人でも、10人でも同じです。
フランス人はその場に何人いようと、必ず一人ひとりの目を見つめながら「サンテ!(Santé !)」と言って乾杯をしていきます。
これも日本とは異なる文化ですね。
フランスではこのように、目を使った表現がとても大事だと言われています。
乾杯のときに目を合わせない。
合わせないと、7年間いい恋愛ができなくなる。
というジンクスがフランスにはあるようです。
しかしフランス人家族が言うには、その起源はもっと前、中世まで遡るということです。
グラスがまだ錫製だった時代、フランス人たちは乾杯の際に勢いよくグラス同士をぶつけていました。
各々のグラスに液体が飛び散るまでかち合わせることで、毒が入っていないことを確かめ合っていたそうです。
また乾杯時のアイコンタクトは、彼らにとって「隠し事はありませんよ」という信頼の証にもなっていました。
これが「相手の目を見ないと悪いことが起こる」と伝わって、現在に至るそうです。
実際にフランスでは、相手の目を見て話すことが大切なコミュニケーションツールだと考えられています。
病院でも役所でも、オンでもオフでも同様です。
逆にフランス人たちは目を合わせないで話すと、この人は嘘をついているのではないか、なにか後ろめたいことがあるのではないか? と疑ってしまうそうです。
ですので、会話中はしっかりと相手の目を見つめます。
女性の目を見て話すことは失礼にあたりません。
むしろ、目を逸らして首(デコルテあたり)を見る方が失礼にあたるのだそうです。
フランスのテレビ番組・YouTubeを見ていてもそう感じます。
たとえば街角インタビュー。
インタビューを受けたフランス人は、リポーターの目をじっと見つめながら話しています。
何を言おうか考えているときには上目になることもありますが、大事なことを言うタイミングでは相手から絶対に目を逸らしません。
またテレビの討論会などで、コメンテーターや政治家が話すときの目にも、鬼気迫るものを感じます。
フランス人は議論や論破を得意としていますが、目の力は言葉の力と同じように強く働いているのだと思います。
そういう教育を受けたのか? とフランス人家族に訊いたところ、学校で習ったわけではなくて、大人の振舞いを見て自然に身についた、ということです。
なので彼らは、プレゼンや面接の場でも相手方の目をじっと見て話します。
お父さんお母さんが子どもに言い聞かせるときも必ず目を見ています。
お店に入ったときには、店員さんと目を合わせながら「ボンジュール」と丁寧な挨拶をします。
カップル間ではもっと顕著だと言えるでしょう。
見つめ合う時間も長いです。
逆に目を見ずに話を聞くと、「話がつまらないんだ」とがっかりされてしまうかもしれません。
このように親密な間柄では、視線を交わし“続けていく”ことが本当に大事だと思われています。
ということでフランス人が目を合わせないときは、「興味がない」「好きではない」あるいは「かなりのシャイ」のいずれかに当てはまります。
(しかし乾杯のマナーだけはきちんと守る)
乾杯時に目を見つめるのは未だに照れが残ってしまいますが、これもフランスらしい自己表現の一つだと思っています。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。