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一年のはじまりに。ガレット・デ・ロワの季節が到来! Posted on 2018/01/07 Design Stories
クリスマス、お正月(フランスでは大晦日にご馳走を食べる)のご馳走が続き、体重は増加傾向、私たちの胃はすっかり疲れ気味だというのに……。
新年があけ、それに追い打ちをかけるのが、「ガレット・デ・ロワ」の存在。
ここ数年で日本でもガレット・デ・ロワを見かけるようになってきましたが、「ガレット・デ・ロワ」って一体何なのでしょうか?
ガレット・デ・ロワとは、1月6日(現在は6日前後の日曜に定められている。2018年は1月7日)の公現祭(フランスではエピファニーと呼びます)を祝う焼菓子。公現祭は、”救世主が現れたと聞いた東方の三博士が星に導かれ、ベツレヘムにたどり着き、キリストの誕生を祝った日” とされており、フランスではこの時期に「王様のガレット」という名の焼菓子を食べます。
どんなお菓子?
バターたっぷりのフュイタージュと呼ばれる折込みパイ生地にアーモンドクリーム、またはフランジパーヌ(カスタードクリームとアーモンドクリームをまぜたもの)を挟んだだけ、というなんともシンプルな焼菓子。紙の王冠とセットで売られ、お菓子の中に一つだけ小さな陶器のオブジェが隠されているのが特徴です。
1月になると一斉に、フランス中のパン屋さん、ケーキ屋さん、スーパーにガレット・デ・ロワが並びます。
家族や友達とガレット・デ・ロワを囲むのはフランスの一大イベント。学校でも、会社でも、1月中は毎週と言って過言でないほど、あちこちでガレットパーティーが行われます。
どんな習慣?
ガレット・デ・ロワを食べる習慣は古代ローマ時代にまで遡ります。農耕の神を称えるお祭り「サトゥルヌ祭」が起源と言われており、当時、お菓子やパンにそら豆や金貨を入れて教会の後継者などを決める習慣があったそうで、その習慣が公現祭を祝う焼菓子にも使用され、市民に広がったようです。
切り分けたガレットを集まった中の最年少者が配分していき、パイの中にフェーブ(陶器のオブジェ)を見つけた人が王(王妃)となります。そして、選ばれた王(王妃)はガレットについてくる王冠をかぶり、王は王妃を、王妃は王を選ぶ。選ばれた人はその一年間幸運に恵まれるのだとか。
フェーブとは?
フェーブとは、フランス語で「そら豆」のこと。そら豆は命のシンボルとも言われ、古代ローマ時代には大切な決めごとの投票や、くじ引きにそら豆を使用していたようです。
ガレット・デ・ロワの中のフェーブとしては19世紀以降、そら豆から陶器のオブジェに変わったようですが、現在に至っても「フェーブ(そら豆)」と呼ばれ続けています。
このフェーブを当てることがガレット・デ・ロワの醍醐味、そして魅力となりますので、どのお店も毎年競ってかわいいフェーブを考案しているようです。フェーブだけを購入する人もいるほど、フランスにはフェーブコレクショナーがたくさんいます。
美味しい食べ方は?
そのまま食べても十分美味しいのですが、170度に予熱したオーブンでガレットを5分ほど温めてみてください。サクサクっと蘇ったパイはふわっとバターの香りが立ち、中はほんのり温かい……。とっても美味しい状態に!
シンプルであるが故に各パン屋さん、ケーキ屋さんで味にはっきりと差が生まれるお菓子です。
話題のお店のガレット、街のパン屋さんのガレット、いろんなガレットを食べ比べするのも毎年の楽しみ。
オーソドックスなものからはじめ、チョコレート屋さんのガレットや、和菓子屋さんのガレットなどもそれぞれ工夫がみられ、見逃せません!
ちなみに、南フランスのガレット・デ・ロワはドライフルーツがたっぷりのったブリオッシュタイプ。王冠の形をしていて、もちろんフェーブも入っています。パリでは両タイプ置いているお店も多く、パイ生地に飽きたらブリオッシュ生地に挑戦してみても良いですね。
唯一、ガレット・デ・ロワの欠点は”高い”ということ。小さいものでも約15ユーロから25ユーロ(約2,000円から3,000円)。有名店のガレットになると、35ユーロ以上(約5,000円)は当たり前です。
とはいえ、2月に入るとガレット・デ・ロワはピタッと街から姿を消してしまいますので、毎年1月はガレットを買い求める人々でパン屋さんもケーキ屋さんも大賑わい。
この季節にしか食べられないという希少価値に、私たちの財布の紐は緩んでしまうのしょう。
「ダイエットは2月から!」そんな声が今年も聞こえ始めました。
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