PANORAMA STORIES
クロワッサンだけじゃない! ヨーロッパ在住ライターおすすめの朝ごはん12選! Posted on 2022/09/30 Design Stories
パリの朝ごはんといえば、クロワッサン。
あなたの街のクロワッンはなあに?
ヨーロッパ各地に住むデザインストーリーズライターたちの朝をのぞいてみましょう!
12人の朝ごはんを、一気にご紹介です。
イタリア・ボローニャ、荒川 はるかさんの朝ごはん
イタリアの朝は甘いものと決まっている。定番はブリオッシュやコルネットと呼ばれる甘いクロワッサン。
シンプルな砂糖がけ、カスタード入り、チョコ入りなどの中から、その朝微笑みかけてくれたものを選ぶのが朝のささやかな楽しみ。もちろんカフェも欠かせない。
ドイツ・ミュンヘン、溝口・シュテルツ 真帆さんの朝ごはん
クロワッサンは、フランス風に「Croissant」、あるいはドイツ語で「小さな角」を意味する「Hörnchen(ヘルンヒェン)」と呼ばれ、もちろんドイツでも人気者のパンです。
でも、「フランスにおけるクロワッサン的な存在は?」と問われれば、私の住む南ドイツではご存知ハート形のプレッツェル(ここではBrezen、ブレーツェンと呼ばれます)のほうがふさわしいかも・・・と思っていたところ、こんなクロワッサンを発見。クロワッサンとプレッツェルを合体させてしまったような、その名も「ブレーツェンヘルンヒェン」!
バターの香り控えめなぶん、プレッツェルの生地に似た香ばしさが際立って、うん、美味しい。
クセになりそうな “仏独折衷パン” なのでした。
スロベニア・リュブリャナ、美月 泉さんの朝ごはん
ログリチェク。新しいカフェを見つけると私は必ず、それがあるかを尋ねます。
朝の開店から9時頃まで、スロベニアでは珈琲が全種類 1ユーロで提供されるカフェがいっぱい。朝からなんだかお得な気分。
エスプレッソにミルクをたっぷり入れてもらったら、合わせて頼むのは焼き立てのログリチェク。
スロベニアでのクロワッサンの呼び名です。
一番人気はマレリツァ(杏のジャム)入り。ペロリと平らげて、今日も元気に1日が始まります。
イタリア・イスキア島、八重樫 圭輔さんの朝ごはん
イタリアの朝食といえば、なんと言ってもカプチーノとコルネット。
南部のコルネットはパン生地に近く、中身はジャムやクリームやヌテッラ。なじみのバールで一口かじれば、
さあ1日の始まり!
オーストリア・ウィーン、今村 輪さんの朝ごはん
ウィーンの朝は皆さんパンですが、これがとてもとても種類が多く・・・個々お好きなものを召し上がります。
甘い派としょっぱい派に分かれるでしょうか。
甘い派は、たっぷりのバターにこれでもかとジャムを塗ります。しょっぱい派はチーズやハム、薄切りソーセージ、卵等。コーヒーはメランジェ(Melange)というエスプレッソコーヒーに泡立てたミルクが入ったもの!
日本でおなじみの生クリームがのるウィンナーコーヒーはあまりありません。
代表的なパンを2つご紹介。
カイザーゼンメル(Kaiser Semmel=皇帝のゼンメル)外がカリっと香ばしく中はもちふわ! 焼きたてを食べ始めたらもうとまりません。
もうひとつは、ブリオッシュ生地のキプフェル!! クロワッサンと同じく三日月形のパン。
ウィーンのこのキプフェルがパリのクロワッサンの原型とも言われてます。
パリのクロワッサンも最初はブリオッシュ生地で作られていて、その後今の生地になってウィーンにも逆輸入されました。ここではクロワッサンをパリザー・キプフェル(Pariser Kpfel パリの三日月パン)と呼びます。
チェコ・プラハ、三ツ島 香織さんの朝ごはん
三日月型のチェコのコッペパン、ロフリーク。
朝からお昼時にかけてプラハの街を歩いていると、ロフリークを10個、20個と袋一杯に詰めたものを持って歩いている人達を毎日見かけます。その光景を見ると、「ああ、平日だな」と思うようになって来ました。
ちなみにお値段は日本円で一つ10円もしないくらい。
スペイン・バルセロナ、林 真弓さんの朝ごはん
スペインでもクロワッサンやドーナツなど、朝食はCafe con leche (ミルクコーヒー)と甘いものの組み合わせがメジャー。
他の国で余り目にしないのはエンサイマダ。バルセロナから海を隔てたマヨルカ島出身の伝統パンでバルセロナでも大人気! アラブ人のターバンのようにぐるぐるっとした形で 、上にパウダーシュガーがかかっている。
豚のラードを使うから、表面がパリッパリ。中はふわふわ。ブリオッシュのようにほんのりした甘味がある。
そのままでもおいしいけど、チョコレートを練りこんだもの、Cabello de Angel(天使の髪)と呼ばれるパンプキンジャムを入れたものなども美味! あー、朝から幸せ。
フィンランド・ヘルシンキ、ヒルトゥネン 久美子さんのコーヒータイム
フィンランド人のコーヒータイムに欠かせないのが「シナモンロール」。
もちろん手作り。各家庭の味があります。(写真は雪遊びの合間の休憩で、ココアと一緒に。)
ポーランド・ワルシャワ、横山 起朗さんの朝ごはん
ポーランドでは、パンは国のシンボルと言われるほど愛されています。
1日の食事の回数が4回もあるこの国では、毎食必ずといって良いほどパンが食卓に並びます。
大きく分けると2つのパンの種類があります。お店で切ってもらう角形のパン、Chleb(フレブ)と手のひらサイズの丸いロールパン、bułka (ブルカ)。2つともいろいろ種類があり、ライ麦入り、ミルク入り、ナッツや蜂蜜入りなどがあります。
全体的に日本のパンのようなふんわりとした食感はなく、ちょっと歯ごたえのある固めのパンが多いです。
驚くのは、パンにバターを付けるのではなく、ラードを付けて食べるのがポーランドでは一般的だということ。
オランダ・デンハーグ、荒井 瞳実さんの朝ごはん
トーストにコーヒーという、シンプルなおうちごはんがオランダの朝ごはん。
バターとチョコスプレーをたっぷり載せたパンはオランダの子どもたちの大好物。
朝食は家でシンプルに済ませ街や市場に出てみれば、朝からコーヒーとともにおしゃべりに花が咲く姿が見られます。
ドイツ・ベルリン、エロチカ・バンブーさんの朝ごはん
ベルリナーの平日は至ってシンプル。
ブロートヒェンという小ぶりの丸々したライ麦パンが主流で、街角のベーカライ(パン屋さん)では朝早くから焼きたてのパンが買える。いろいろな種がちりばめられていたり、ジャガイモを使った生地だったり、全粒粉だったり、その種類は豊富だけど素朴な味。表面は硬く頑固。
でも中は柔らかく一旦噛み締めるとその優しい内側に触れられる。まるでドイツ人のよう。
ある平日の朝、コーヒーを買って私の横の席に座った初老の女性。ゴマやケシの実がたくさんのったブロートヒェン(ライ麦パン)を袋から取り出した。それをざっくりナイフで2つに分け、市場の肉屋で買ったであろう豚の生肉ミンチをどんとのせ、チーズをのせる。そして、これまた持参した4分の1の玉ねぎのかけらをかじりながらがっつりと頬張った。
この時初めて、噂に聞いていた ”豚の生肉ミンチを食べるドイツ人” を拝見した。
その潔い食べっぷりに心の中でブラボーと叫ぶ。
たまには飾らず、気にせず、大胆に! 今日も素敵な1日を!
南仏・プロヴァンス、町田陽子さんの朝ごはん
南仏プロヴァンスも、いちおうフランスなのでクロワッサンは人並みに、どのパン屋でも売っている。
でも、プロヴァンスの朝には、サクリスタン Sacristain がふさわしい。
パイ生地に刻みアーモンドがたっぷり入ったねじりパイで、「教会堂の番人」の杖にちなんだお菓子。
うちの近所のお菓子屋さん、ジュヴォー Jouvaud のサクリスタンは、ゆうに20cmはある。そのへんの小さなパイ菓子とはわけがちがう。そうとうな食べ応えだ。アーモンドの歯ごたえもしっかりあって、香り高く、濃厚。粉砂糖がたっぷりと振りかけてある。さくっ。しっとり(このしっとり感が朝ごはんには大切)。
そんなの、フランス中どこにでもあるじゃないのとおっしゃるなかれ。
だって、ここプロヴァンスこそが、アーモンドの産地。2月には野にアーモンドの白い花が降るように咲き、夏になると大きな実をたわわにつける。
パリあたりでも、生のアーモンドの実は秋になればマルシェで売られるだろうが、パリジャンたちは、木になっているアーモンドの実など見たことがないに違いない!
この実を大きな石でゴツンゴツンと叩き割ると、中から実が出てくる。自然のなかで食べるワイルドアーモンド。
美味しい。
カリッソン、ヌガー、プロヴァンスのマカロンなど、プロヴァンスの郷土菓子にはアーモンドを使ったものが多い。サクリスタンはプロヴァンスのお菓子ではないが、アーモンドの美味しさを引き出すワザなら、プロヴァンスにおまかせください。甘くて香ばしいナッツの香り。これが、朝のカフェオレにじつに合うんだなぁ。
Posted by Design Stories
Design Stories
▷記事一覧デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
パリ編集部からパリの情報を時々配信。