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一度は食べてみて欲しい! 本物の生クリーム「クレーム・シャンティイ」がすごい。 Posted on 2019/09/08 Design Stories
シャンティイ城のあるシャンティイまではパリ北駅から急行に乗って約30分。駅を出て森に面した歩道を15分ほど歩くと、目の前にシャンティイ城が見えてきます。こじんまりしたお城に広大な庭。ヴェルサイユ城やフォンテーヌブロー城よりはこじんまりしていますが、とはいえ、とっても立派なシャトーです。
シャンティイ城には素晴らしいコレクションのコンデ美術館などもありますが、今回の旅の目的はCrème Chantilly(クレーム・シャンティイ)。「クレーム・シャンティイ」とは生クリームのホイップのこと。でも、なぜシャンティイ? という疑問を抱き、名前の由来となる街へ行ってみることにしました。
この「クレーム・シャンティイ」、その歴史には諸説あるようです。生クリームに砂糖を加えホイップしたもの自体は16世紀、イタリアの料理人によってレシピが残されており、当時は「ミルクの雪」と名付けられていたのだとか。フランスでは17世紀、シャンティイ城でコンデ公に仕えていたフランソワ・ヴァテルという宮廷料理人が生クリームホイップを生み出した、という説が有力のようです。ただ、その当時から「クレーム・シャンティイ」と呼ばれていたかは定かでなく、そこから少し経った1784年、ある男爵夫人がシャンティイ城内にあるレストランHAMEAUで行った宴で生クリームのホイップを「クレーム・シャンティイ」と名付けてもてなしたという資料が残っているようです。現在もそのレストランHAMEAUにてオリジナルレシピの「クレーム・シャンティイ」が食べられると聞き、本物の味を求め、やってきたのでした。
ということで、いよいよHAMEAU定番のデザート「フレーズ・シャンティイ」が目の前に。ふわふわのクリームを想像していましたが、クロテッドクリームのようなどっしりとした見た目にまず驚きました。そして、一口食べてまたびっくり。冷たく滑らかで、重たすぎず軽すぎず、今まで食べたことのない独特のテクスチャー。同時に、良質なミルクの味が口の中に広がりました。
本物のクレーム・シャンティイってすごい!
その高貴な味に思わず唸ってしまいました。正直なところ、生クリームのホイップにどれくらい美味しさの幅がありえるのか・・・という疑念もありましたが、今まで食べていたのはただのホイップクリームで、これが、ここでしか味わえない本物の「クレーム・シャンティイ」なのだ、と大いに納得しました。
パリのレストランやパティスリーでも ”Crème Chantilly(クレーム・シャンティイ)”という表記を目にしますが、実は、この「シャンティイ」を名乗るには一定の条件があり、それ以外のものは「クレーム・シャンティイ」とは呼べません。その条件とは、脂肪分30%以上の無調整乳を使用し、加えるものは砂糖とバニラなどの香料のみ、というもの。それ以外のものは「クレーム・フエテ(ホイップしたクリーム)」と呼ばなくてはいけません。
今回、実際に本物を食べてみて、この名前へのこだわりにも納得しました。それだけでなく、たとえこの条件をクリアし、”シャンティイ”と名乗っていても、その味は、シャンティイで食べる「クレーム・シャンティイ」の足元にも及ばない、と言いきることができます。パック入りの牛乳と牧場の絞りたて牛乳の味が違うように、シャンティイで食べる生のクレーム・シャンティイの味は特別なものだったのです。
パリからたった30分。正真正銘のクレーム・シャンティイを味わいに、午後のひと時をシャンティイ城で過ごしてみてはいかがでしょうか。
*HAMEAUへ行くにはシャンティイ城に入るチケットが必要ですが、庭園見学のみのチケットでも大丈夫。お時間がある方は城内や美術館見学も一緒にされることをオススメしますが、庭園を散歩するだけでも十分楽しめます。
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