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パリ同時多発テロから4年。完全復活したバタクラン劇場の今 Posted on 2019/10/03 Design Stories  

2015年11月13日、パリ市内とパリ郊外で起こった銃撃、爆発による同時多発テロ。そのテロにより、130名の死者と、300名以上の負傷者が出ました。その標的の一つとなったパリ11区にあるコンサートホール、バタクラン劇場は、死者89名と負傷者99名の甚大な被害を受けた場所です。バタクランは1864年に建てられたシノワズリ様式の劇場で、フランスの歴史的建築物としても登録されており、世界中の有名アーティストが憧れる「伝説の場所」でもあります。そんな由緒ある劇場で悲劇は起こりました。若者が集まる地区という場所柄もあり、バタクランは連日満員御礼。あの日も、アメリカのヘビメタルバンド「イーグルス・オブ・デス・メタル」のライブが行われていました。後方のドアから乱入した4人のテロリストは舞台に向かいながら銃を乱射したと言います。観客は状況が掴めず、中にはコンサートの演出だと思った人もいたそう。まさかの出来事は、盛り上がるコンサート会場を一瞬にして地獄に変えたのでした・・・。

そんな、とても悲しい出来事があった場所ではありますが、パリ市民の強い希望でバタクランは全面改装を行い、テロからほぼ1年後の2016年11月12日に、スティングの再オープンコンサートで復活しました。正直、当時はもう再オープンさせるの? と、驚きましたが、 ”テロに屈しない” というパリ市民のその前向きな姿勢こそが、亡くなったたくさんの”友人”に向けるオマージュだったのです。

パリ同時多発テロから4年。完全復活したバタクラン劇場の今

再オープンから3年経った今も、やはりバタクランの人気は不動。2018年12月には日本のアーティスト「ワンオク」のコンサートも行われ、キャパシティー1500人、満員御礼で盛り上がったのだそうです。

今回、DS編集部もはじめて改装後のバタクラン劇場に行ってみました。
コンサートのみならず、多目的ホールとして使われるバタクランですので、今回観たのはViolet Chachkiというアメリカで有名なドラァグクイーンのショー。入り口での厳しいセキュリティーチェックを通過し、会場に入ると、お客さんの年齢層はとても若く熱気ムンムン。みるみるうちに座席が埋まっていきました。

パリ同時多発テロから4年。完全復活したバタクラン劇場の今

以前の造りを残したままの改装ですので、なんとなく、テロのことを考えてしまいますが、元気いっぱいの場内、哀しみを吹っ飛ばすような大歓声の中、ショーは始まりました。

__アーティストも観客も、全力で楽しんだドラァグクイーンのショー。このようにバイタリティー溢れるショーを繰り返しているこの場所は、完全に復活していると感じました。
パリのバタクラン劇場はこれからも、世界のアーティストを支え、人々の関心を集める場所であり続けるのでしょう。

パリ同時多発テロから4年。完全復活したバタクラン劇場の今



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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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