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フランス人による日本酒コンクール、『蔵マスター』はじまる Posted on 2017/07/12 Design Stories
6月末、パリ。
フランス人による日本酒コンクール、第1回「蔵マスター」が開催された。
ここ数年のフランス料理の傾向は「量より素材」。健康志向が定着し、美味しくて軽いものが主流となってきた。
その新しいフランス料理に、日本酒が合う。「DASHI」や「WAKAME」など、フランス料理での和食材の多様化も後押しし、若きソムリエたちの日本酒への関心も高まっているという。
第1回の募集では、目標銘柄数をはるかに超える550銘柄(220社、日本の酒蔵数の約2割に相当)の日本酒が集まり、フランス全土から選りすぐられたソムリエ35人によって審査会が行われた。
海外での日本酒コンクールは多々あるものの、審査に日本人が介入しないコンクールは「蔵マスター」がはじめてのものとなる。
その歴史的なコンクールの船出を記念するオープニングパーティーでは、本年度NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の題字を手がけた書道家 Maaya Wakasugiが書のパフォーマンスを披露した。
「書いた文字は『福』です。この文字の語源は『神様に捧げる酒樽』。神に酒を捧げ、酒樽のように豊かに満ち足りて幸せになることを祈る姿から、幸いの意味になりました。Kura Masterの発展と皆様の幸せを祈念します」(Maaya)
古くから神に捧げる飲み物として伝えられた日本酒のコンクールにふさわしい。
力強く書き上げられた書は、日本とフランスの新しい絆を祝し、「蔵マスター」に捧げられた。
このコンクールは、日本酒が和食にとどまらず、世界の料理と組み合わせることのできるアルコールであることを証明するものでもある。
パーティーでは、日本料理 奥田、フランス料理 semilla、スペイン料理 Jambon Michel Ibanes、イタリア料理 L’inconnu、韓国フュージョン料理 Pierre Sang Boyer、そして、チーズ専門店 FROMAGERIE HISADAが、それぞれ日本酒に合うタパスを振る舞った。
日本とフランスは、唯一、自国の「料理」がユネスコの世界遺産に登録されている国でもある。
この2国の肥えた舌がタッグを組み、新しい食の愉しみ方を生み出す。
昨今、日本酒の、その奥深い魅力が世界で飛躍的に認知されてきている。このコンクールがまた新たなきっかけとなり、日本で愛されてきた幅のある日本酒が世界中の人々にも愛されていくことになるだろう。
蔵マスターは「日本酒が3年以内に有名フランチレストランのワインリストの15%を占めること」を一つの目標としている。
長い歴史と代々受け継がれた造り方、文化を背負った日本酒 × 世界の料理という無限の組み合わせがここ、フランスから世界に広がる。
© Kura Master
7月11日、パリ日本文化会館にて行われたコンクールの結果発表では、出品された550銘柄(純米大吟醸部門266本、純米部門284本)よりプラチナ賞 58本、金賞 123本が選ばれた。<受賞酒の銘柄はこちらから>
10月、2部門の上位5位、合計10本より、プレジデント賞と審査員特別賞が発表される予定となっている。
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