PANORAMA STORIES
みんな大好き、クロワッサン。週末の朝に食べたい、クロワッサン大集合! Posted on 2022/09/24 Design Stories
「パリって毎日美味しいクロワッサンが食べられていいわね」なんて、思っていらっしゃいませんか?
いえいえ、パリのクロワッサンが全て美味しいなどと思うなかれ、パリに住んでいたって美味しいと唸るほどのクロワッサンに毎日出会えるわけではないのです!
クロワッサンを食べ比べし始めるとその違いは一目瞭然、いや、一口瞭然。好みもありますが、焼き具合、食感、塩と砂糖の加減、バターの風味、どこの店もそれぞれの腕と個性がしっかりと出るものです。
「クロワッサン(croissant)」とは、三日月を意味するフランス語。パンの形が三日月に似ていることからその名がつけられました。そもそも、フランスにクロワッサンを伝えたのはオーストリアからルイ16世の元に嫁いだマリー・アントワネットだと言われています。フランスへ嫁ぐ際にウィーンからパン職人を連れてきたのがきっかけとなり、「ヴィエノワズリー(フランス語でウィーンのものという意味)」と呼ばれるペストリー生地のパンがフランスに広まったのだとか。その一つにクロワッサンがあります。しかし、当時のものは今ほどバターたっぷりというわけではなかったようで、今のようなバターたっぷりのクロワッサンがフランスに定着したのは1900年に入ってからのようです。
最近は少なくなってきましたが、パン屋さんによって2種類のクロワッサンが並んでいるところがあります。
まっすぐな形のCroissant au beurre(バタークロワッサン)と丸い形のCroissant ordinaire(普通のクロワッサン)。その違いは、バターが使われているか(前者)マーガリンが使われているか(後者)。
今回はデザインストーリーズ編集部がおすすめする、バターたっぷりクロワッサン「Croissant au beurre」をご紹介いたします。
まずは1件目、パリ編集部が一口ほお張り「うまっ!」と声をそろえたクロワッサンから。
2016年にオープンした、Farine&Oのクロワッサン(1.1ユーロ)。
幾層にも薄い生地が重なる表面はサックサク、内側は空気と生地が織りなす迷路のよう。口当たりはふわっと軽く、バターの香りが広がります。気づいたらぺろっと一つ食べてしまっていました。何個でも食べられそうな、とても危険なクロワッサンです。
Farine&OはM.O.F.(Meilleur Ouvrier de France)(*)であるOlivier MAGNE氏が手がけるお店。現在はパリ11区と9区に2店舗ありますが、土曜日の夕方など、人気のブリオッシュ・フュイテなどはほとんど完売しています。
*M.O.F.とは、フランス文化庁が管轄するフランス国家最優秀職人章のこと。3、4年に一度行われるコンクールで、願書を出すにも厳しい条件があり、書類選考、予選、セミファイナル、ファイナルと、フランス食文化の後継者にふさわしい人物であるかどうか、厳しい審査が行われます。パン、お菓子、チョコレート、チーズなど、それぞれの部門にM.O.F.のコンクールがあります。フランスでは、M.O.F.に選ばれた者のみがトリコロール衿のコックコート着用を許されています。
2件目は、東京にも支店があるという、Maison Landemaineのクロワッサン(1.2ユーロ)。
表面はパリッとしっかり焼かれ、内側は丁寧に巻かれた一層一層がしっかりと膨らみ、しっとりふわふわ。食べ応えもあり、とても贅沢なクロワッサンです。日本ではフランス産バターのみを使ったクロワッサンが1つ500円(!)なのだとか。それでも、フランスの味がそのまま東京で味わえるのであれば、決して高くはないのかも知れません。オーナーRodolphe LANDEMAINE氏の奥様は日本人だそうで、日本にパンとお菓子の学校を作ったり、精力的にフランスのパン文化伝承に励んでおられるようです。現在、パリ市内には14店舗を展開。
そして、3件目のおすすめは、Sebastien Gaudardのクロワッサン(1.3ユーロ)です。
ここのクロワッサンはパリのクロワッサンコンクールで第2位になったこともあるのだとか。クロワッサンそのものも美味ですが、特にクロワッサン・オ・ザマンド (2.2ユーロ)というアーモンドペーストの入ったクロワッサンは他店のものとは全くの別物。風味豊かなバターと主張しすぎない上品なアーモンドペーストが絶妙な割合で焼かれています。サクッと軽く4時(フランスでは4時がおやつの時間)のおやつにもぴったり。
パリ1区と9区に2店舗あります。1区のお店はチュイルリー公園のすぐ側。Sebastien Gaudardでおやつを買い込んでチュイルリー公園で散歩、なんていうのも ”食いしん坊定番コース” です。
最後に、クロワッサンのアレンジ編として、Pierre Herméのクロワッサン・イスバハン(2.2ユーロ)を。
クロワッサンの中にローズ風味のアーモンドペーストとフランボワーズのコンポート、ライチが隠されており、表面にはシュガーアイシングとフランボワーズのフリーズドライがのっているという、とてもグルモン(食いしん坊)なクロワッサンです。季節限定の栗と洋梨のクロワッサン(2,2ユーロ)というのも美味でした! パリでクロワッサン・イスパハンが購入できるのは6区と8区の2店舗のみ。
さて、せっかく買った美味しいクロワッサン(クロワッサン・イスパハンは除く)。そのまま食べてももちろん美味しいのですが、もしお時間があれば、オーブンを180度に設定し5分ほど温め、その中にクロワッサンを入れたらオーブンを消し、5分ほど余熱で温めてから召し上がってみてください。少し温めることでバターの香りが立ち、ふわっとサクサクした食感も蘇り、まるで焼きたてのようなクロワッサンに。
鮮度が大切なクロワッサンですが、前日に購入したクロワッサンもこの方法で少し温めれば焼きたてに近い味が楽しめますよ。好みでジャムをつけたり、はちみつやメープルシロップをたらしても美味しくいただけます。
今回ご紹介した4件はパリに何千と存在するクロワッサンの一部にすぎません。デザインストーリーズパリ編集部の美味しいクロワッサンを求める旅はまだまだ続きます!
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