PANORAMA STORIES
日本とこんなに違う、フランスの宅配事情 Posted on 2024/05/12 ルイヤール 聖子 ライター パリ
フランスで気を揉むこと。その一つに、宅配事情があります。
荷物が届かない、在宅だったのに不在票、箱の破損・・・などはもう、日常茶飯事と言えるでしょうか。
日本にいた頃は当たり前だと思っていたのですが、今考えると、日本の宅配サービスは世界でも稀に見るほど優れているのかもしれません。
フランスで多いと感じるのは、「在宅だったのに不在票が入っている」、あるいは「不在票すら入っていない」ことです。
インターホンは待てど暮らせど鳴らず。後になって調べれば、荷物はすでに拠点で保管されています、との表示です。
業者によっては再配達もしてくれるのですが、その再配達がさらに怖かったりするので、結局は自分自身で拠点、もしくは郵便局へ取りに向かわなくてはなりません。(時間指定はあっても午前or午後と大まか、郵便局は基本的に再配達なしです)
「在宅だったのに不在票」の理由には、他にもたくさん荷物を抱えている、時間がない、配送車を停める場所がなかった、単に面倒、、、と、さまざまなものがあるようです。
わたしは日本からの荷物をこれで送り返されてしまい、配送料金を二度払ったことが幾度かあります。10キロ近くある段ボールを、郵便局から抱えながら歩いて持ち帰ったこともありました。
箱の破損も多いです。写真は、ネットショッピングで洋服を買ったときのこと。
箱が潰れているだけならまだ良いのですが、この日は洋服がはみ出てしまっていました。
しかしフランス人のパートナーに確認したところ、「服は傷ついてない? なら、大丈夫」と、大らかな答えが。
よくよく訊いてみると、フランス人も自国の宅配事情に怒ってはいるけれど、あまりにも多くて改善も見られないので、「多少のことはスルー」という気持ちになるそうです。
もちろん、程度にもよります。ただクレームを入れても先方が謝るといったケースはレアなので、フランスに住む場合は多少のことではくじけない、強い心が必要になります。
※一方で、自転車のエコ配達がどんどん増えています。
そんな宅配事情なので、なかには行き先を失う荷物も出てきます。
日本では滅多に見ないことですが、さらに驚くのが「その荷物を販売してしまうこと」でしょうか。
住所の記載ミスや配送ミスなどで宛先に届かなかった荷物は、フランスでは「小包の第二の人生」として、合法的に売りに出されます。
※30日間問い合わせがなかった荷物のみ。2022年1月にゴミ対策法が適用され、企業が売れ残った非食品類を破棄できなくなったためです。
売るのは自営業者や地域の企業。物流会社から宛先不明の小包を大量に購入し、それをショッピングセンターの一角や、倉庫などで販売していくのです。
一方でお客さんは低価格で購入できるほか、「何が入っているか分からない」といった、福袋に近いワクワク感を味わえるそうです。(飲食物は除外。事前に開けるのはNG)
日本人としては少し後ろめたい気持ちになってしまいますが、フランスではこうした「小包の第二の人生」サービスが、どんどん増えているようです。
※スーパーにある宅配ロッカー。
ここ2、3年ではスーパーや商店など、小売店のあちこちで宅配ロッカーが設置されるようになりました。
このおかげで少しは便利になったという印象を受けます。しかし、日本のように丁寧・的確なサービスは、フランスでは受けられません。
二時間ごとの時間指定、夜の9時まで行われる配達もすごいことです。
そのためフランス人が日本で暮らしたときには、この宅配事情の違いに真っ先に驚くのではないでしょうか。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
▷記事一覧2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。