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日本とこんなに違う、フランスの『超個人主義』な日用雑貨 Posted on 2023/06/13 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
フランス人はよく個人主義だと言われます。
個人が至高の価値を有する、と考える人は一般的にかなり多い。
集団より個、プライバシー重視など、人と人との距離感について、特に個人主義が発揮されています。
実は私は、それが日用雑貨にまで反映されているのを見つけてしまいました。
ご紹介します。

・ハサミがないと切れないパッケージ

フランスのパッケージは手で簡単にちぎれません…。
ハンドソープ、粉チーズ、調味料の小袋などは、ハサミがないとピリッと切れないのです。
そんな時思い出すのが、日本の「こちら側のどこからでも切れます」というマジックカットの便利さです。
 

日本とこんなに違う、フランスの『超個人主義』な日用雑貨

※上:ハンドソープ。下:お惣菜についてくるソース。切れ目が全くない。



 
フランスのパッケージは写真のように、自己責任で開けて下さい、というものが多いです。
ほんのたまに「OUVRIR ICI」(ココから開ける)と書かれているのですが、それでも綺麗に開けられた試しがないです。
勢いあまって飛び散り問題を起こしてしまう、ハサミを汚してしまう、なんてことは日常茶飯事。
“ユーザー目線で商品を開発する日本”との大きな違いが見えました。
 

日本とこんなに違う、フランスの『超個人主義』な日用雑貨

※お料理に使うチーズ類。ハサミが汚れるのは避けられません。

地球カレッジ



 
フランスでは、デザインがかなり重視されていると感じます。
色使いも素敵で人目を惹くものばかり。
マジックカットは日本独自のものだと聞きますが、企業としての「個」の違いが顕著に表れていると思います。
ちなみにフランス人の主人はハサミどころか、カトラリーナイフで豪快に切ります。(その家族も)

・袋の閉じ方、イボ結び

出前を頼んだ時、袋が写真のようにホチキスでガチガチに固定されていることがよくあります。
フランスでは紙袋が貴重なので取っておきたいのですが、このホチキスを一個一個外さなければいけません。
なかなか日本では考えられないことです。
 

日本とこんなに違う、フランスの『超個人主義』な日用雑貨

 
それからイボ結びもかなりキツイです。
ほどくのに一苦労で、日本のように相手が開封しやすく…と配慮されたものをほとんど見かけません。
私は考えました。
パッケージと同じで、これはユーザー目線というよりお店の人が「いかに上手く商品を固定するか?」と個人目線で、最善の方法を編み出した結果ではないかと。
利己主義という訳では決してなく、あくまでも自分が良いと思ったことを実践する。
ここにフランスらしさが現れています。
ただ出来ればテープにして欲しいなぁ、というのが本音です。

・網戸

フランスにはどのお宅にも網戸が備わっていません。
ところが温暖化でシマ蚊などの外来種が近年では大量発生しています。
ちゃんとした網戸を取り付けるにはリフォームなどで工事が必要です。
そのためDIYショップでは今、レースのカーテンが軒並み売れているようです。
 

日本とこんなに違う、フランスの『超個人主義』な日用雑貨

 
我が家は写真のようにレースとマグネットだけで間に合わせの網戸を使っています。
ですが窓の開閉のたびに外さなければいけないので、まあまあ不便です。
蚊が増えているので便利グッズが増えても良いような気がしますが、ここはやはりフランス。
「自分で何とか頑張って」といった商品が多いですね。
取り付けずに蚊を逐一処理する人や、養蜂場のように大きな網を立てかけているお宅もありました。
 

日本とこんなに違う、フランスの『超個人主義』な日用雑貨



 
・生理用品

日本では、包装紙をめくったら「一気にウィングのテープまで剥がれる」生理用品があります。
それからコンビニで買うと紙袋に包んでくれたりしますね。
フランスにはそれがもちろんありません。
肌触りもゴワゴワしたものが多いです。
日本の生理用品は、ここでもユーザー目線だということに気づきました。
フランスでは月経カップや布ナプキンが流行していますので、企業がエコ目線に大きくシフトしているのでしょう。
企業もそうですが、どれを選ぶかはあなた次第、という風潮がフランスには大きくあります。

こうして日本には「痒い所に手が届く」商品がたくさんあります。
日本の凄まじい企業努力が表れていますし、個人的にはこれこそが世界に誇れるソフトパワーじゃないかなと思います。

そこで「痒い所に手が届く」の表現に、私なりに日仏の違いを加えてみますと、
「あらかじめ痒いポイントを把握、痒みを最小限に抑えるか、そもそも発生させないように連帯してベストを尽くす」のが日本。
一方フランスは、「痒くなったら考えよう、痒い時は荒療治、あるいは痒くなくなるまで待っても良し。
ただし全ては自己責任で」となります。(持論です)

日用雑貨にもお国柄がよく出ています。
日仏以外の国ではどんな違いがあるのか、興味深いところです。
 

自分流×帝京大学



Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。