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パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅 Posted on 2024/11/11 堀内 ありさ 学生 サンジェルマン・アン・レー

フランス語でホイップクリームのことをクレーム・シャンティイと呼ぶが、その名前はオー・ド・フランス圏のシャンティイという地名に由来している。
パリに住んでいるお友達から、日帰りで行ける近場の名所ということでシャンティイをおすすめしてもらい、早速行ってみることに!お城はもちろんのこと、美術館や庭園、厩舎など見どころがたくさんあり、1日では足りないほどだった。

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

TSUJI VILLE

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

最寄りのChantilly Gouvieux駅を降りてお城を目指しながらテクテク歩いて行くと、広大な競馬場に出る。あまりに広い開放的な平原を前にすると、ちょっと童心に返って駆け出してみたくなる笑。振り返ると、遠くでわんちゃんと小さな子が楽しそうに飛び跳ねているのが見えた。森の新鮮な空気をたっぷり吸いながら、さらに道なりに歩いて行くと、目の前には大厩舎が現れる。たまたま調教師さんたちがいらして、かっこいい白馬2頭と運よく遭遇できた。

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

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厩舎の中からMusée vivant du Cheval(馬の博物館)に入ることができる。ここでは、人間と馬の関係の歴史、馬具の製造方法などが展示されている他、時期によっては騎馬スペクタクルのショーも開催されるんだとか。

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

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馬の博物館を出てさらに歩き始めると、10分ほどでついにシャンティイ城とご対面。木のカーテンの後ろから少し顔をのぞかせている様子が、何とも幻想的。

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

太陽を浴びて水面に揺らめくお城は、まるで水の中から浮かび上がっているかのよう。かっこよく湖上の城、と言いたいところではあるが、実はこれは水路と人工池から成っている。ヴェルサイユ宮殿の庭園も手がけた、アンドレ・ル・ノートルによるデザインだ。
中世に遡るお城の歴史も少し。まず、16世紀にはアンヌ・ド・モンモランシーというフランス軍最高司令官の手にわたり、その後、ブルボン・コンデ家へと所有が移る。フランス革命が起こると、いつものごとくお城は全面的に破壊されてしまうが、それを今ある姿に再建したのが、オマール公爵、アンリ・ドルレアン(Henri d’Orléans, duc d’Aumale)という人物。彼はフランス最後の王ルイ・フィリップの5番目の息子だった。

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

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パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

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父ルイ・フィリップの治世が革命で崩壊すると、オマール公はイギリスで23年間の亡命生活を送ることになる。当時、フランス貴族や王室が所有していた絵画や調度品などは、その多くがイギリスで売り飛ばされていたため、亡命中の彼は収集に力を注いだ。そして帰国後それらを持ち帰って並べたギャラリーこそが、今私たちがシャンティイ城の中で見ることのできるコンデ美術館なのだった。

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

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シャンティイ城の見どころはむしろ、このコンデ美術館にあると言っていいかもしれない。というのも、この美術館には類まれな特徴が2点ある。まず、19世紀の展示そのままの姿を保っているということ。これは、オマール公がギャラリーの一般公開の条件として「絶対に作品の配置を変えてはならない」と定めたことに始まる。額と額の距離が近く、作品がひとつの空間にひしめき合っている様子は、他の美術館ではまず見られない光景だ。2つ目も同じくオマール公の意志により、作品を他の美術館へ貸出するのが一切禁じられているということである。つまり、全部この場所でしか見られない作品。コンデ美術館がルーブルに次いで重要な美術館だと言われるのは、こういったユニークな一面に関係している。

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

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美術館巡りの締めには、本場クレーム・シャンティイを求め、いざカフェへ。

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

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洋梨のタルトを注文。欲張ってエスプレッソにもクリームを追加してしまった笑。いつものホイップクリームを想像していると、まずその見た目の違いに驚かされる。色は黄身がかったクリーム色で、滑らかでコクがあり、とてもおいしい。クリーム自体の甘さがわりとしっかりしているから、タルトよりもフレーズ(苺)・シャンティイのように果物に添えた方が、もっとさっぱりと頂けるかもしれない。

クレーム・シャンティイについての詳細はすでにDesign Stories上で紹介されているので、こちらのURLからぜひ。
https://www.designstoriesinc.com/panorama/design_stories_creme_chantilly/

パリ郊外、シャンティイへの日帰り旅

大自然に囲まれた美しいシャンティイでは、お城や美術館、森や庭園の散策などを存分に満喫することができる。パリからも近いため、週末のお出かけにぴったりの穴場スポットだ。



自分流×帝京大学

Posted by 堀内 ありさ

堀内 ありさ

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大学4年生、文学部。フランス、サンジェルマン・アン・レーに交換留学(2024-2025)。
ピアノと外国の児童文学が好き。