辻仁成の初個展が、１０月４日から、パリ右岸、マレ地区にある画廊、Galerie 20 Thorigny にて、「見えないものたち」と、題され、開催される。
画廊サイドから、フランスのメディア向けのプレスリリースが届いたので、まずは読者の皆様に最新情報をご報告させて頂きたい。（あくまでも、辻仁成のことを知らないフランス人、フランスメディア向けの宣伝文です）

タイトルは、「Galerie 20 Thorigny 日本人アーティスト 辻仁成、フランス初個展「見えないものたち」を開催！」
となっている。
プレスリリースを制作したのは、画廊のギャラリストとスペシャル・キュレーターをつとめる美術史家のフローリアン・メトラル氏。
それに伴い、新しい宣伝用のプレス向けフォトも出来上がった。使用されている作品は、辻が長年、創作を行っているノルマンディ地方にある、彼のアトリエで描かれた最新作の一つ、タイトルは「La promesse du lendemain （明日の約束）」。ほぼ、白と黒の二色の配色で、墨絵のごとく、綴られた油絵の世界観となっている。
トワル・サイズは、５０M。

それでは、フランス向けプレスリリースを、ご一読いただきたい。

日本人アーティスト辻仁成のフランス初個展「Les Invisibles（見えないのものたち）」が、Galerie 20 Thorignyにて2024年10月4日から12日まで開催される。本展は、日本で行われた2つの展覧会を終え、美術史家フロリアン・メトラルのキュレーションのもと、開催される。辻の深く精神的で内省的な作品を鑑賞する絶好の機会となる。

辻仁成について
辻仁成（本名：辻仁成、1959年10月4日生まれ、東京出身）は、現代日本文化を代表する多才なアーティストである。詩人、小説家、映画監督、作曲家、ロックシンガーとして知られており、多岐にわたる表現の追求者、「総合芸術」の体現者ともいえる。日本ではベストセラー小説が有名だが、国際的にも、特にフランスで知名度を得ている。1999年に『白仏』（1997年）でフェミナ賞外国文学賞を受賞した他、『海峡の光』（2001年）や『旅人の木』（2003年）などの作品でも知られる。
油絵制作は、高校時代、1970年代にまでさかのぼる。当時、自宅の倉庫をアトリエとし、自作品を展示していた。現在はノルマンディーにアトリエを構え、その地方の風景からインスピレーションを得ながら、独自の絵画スタイルを発展させている。これまで公開されることのなかった辻の作品は、素材の美しさを通して、鑑賞者を沈思へと誘う。

・この作品は「La tolerance（赦し）」。辻が本個展の中心的作品として、描き上げました。ノルマンディという特殊な土地で受けた霊的なエネルギーを画布に叩きつけてきた、本個展、最も重要な作品となります。サイズは、５０M。

スペシャル・キュレーターのフローリアン・メトラル氏が、この個展に出品される作品について、以下の解説文を寄せてくださった。

Les Invisibles：混沌と宇宙

Galerie 20 Thorignyでの「Les Invisibles」展は、魂に取り憑かれ、無常に支配された辻仁成の宇宙への扉を開く＿＿。世界の本質と、目に見える領域において、我々が見逃してしまっているものについて内省的な視点を投げかけるのだ。
最近の作品では、根源的なカオスが宇宙の調和を脅かすような、かろうじて均衡のとれた世界の概念を探求している。彼の絵画は、世界の始まりの姿と、あらゆる形の源を同時に表現している。まるで時間が止まったかのような瞬間を捉え、その中で自然と人間が共に歩んできた歴史を浮かび上がらせている。最近の作品で辻は、世界の繊細なバランスを探求している。そこでは、混沌とした原初の力が、秩序ある宇宙の調和を脅かしているかのようである。
ノルマンディーからインスピレーションを得た風景は、黙示録的な色合いを持ち、光と闇の間を揺れ動く。辻はそこで、宇宙や人間を形作る神秘的な力を捉えようとしているのだろう。それぞれの作品が探検すべき世界の断片となり、私たちを既知と未知、可視と不可視の境界を超えるよう誘う。
「光」は、全ての作品において、かすかでありながらも遍在しており、混沌の中にいながらも、再生を約束する旅の道しるべとなっているかのようだ。
この展覧会は、2024年に日本で開催され大成功を収めた（伊勢丹アートギャラリーと新生堂ギャラリー）2つの展覧会に続いて行われる。

＜展覧会インフォメーション＞
「Les Invisibles（見えないのものたち）」展
開催期間: 2024年10月4日～10月12日、14時～19時
場所: Galerie 20 Thorigny 20 rue de Thorigny, 75003 Paris