JINSEI STORIES
世界の海は繋がっている Posted on 2017/08/01 辻 仁成 作家 パリ
心が疲れたら海にいけ
海は繋がっている
人間は海を訪れ
人間は海に癒され
人間は海を恐れる
海は繋がっている
人間は海を訪れ
人間は海に癒され
人間は海を恐れる
海がすべてを受け止める
凪の日も時化る日も
沈む夕日も昇る太陽も
そこに海が広がる
凪の日も時化る日も
沈む夕日も昇る太陽も
そこに海が広がる
世界は海と陸で成っている
人間は陸で生まれ
海を懐かしむ
生命は海からはじまり
命は海に帰ってゆく
人間は陸で生まれ
海を懐かしむ
生命は海からはじまり
命は海に帰ってゆく
陸地は離れているから
争いが絶えない
海は触ることができても
空は触れることができない
空は憧れ、海は母
争いが絶えない
海は触ることができても
空は触れることができない
空は憧れ、海は母
人間に疲れたら海にいけ
そこは世界中の海と繋がっている
打ち寄せる波は海の端
そこから世界がはじまる
そこは世界中の海と繋がっている
打ち寄せる波は海の端
そこから世界がはじまる
私が死んだら骨は海にまけ
海は繋がっている
会いたくなれば海に来い
そこに魂が浮かんでいる
海は繋がっている
会いたくなれば海に来い
そこに魂が浮かんでいる
魂が疲れたら海にいけ
うちよせる波と戯れ
返す波を思え
遠くの人を思うとき、
水平線が涙ぐむ
うちよせる波と戯れ
返す波を思え
遠くの人を思うとき、
水平線が涙ぐむ
人生は寄せては返す波、
あしたもまた生きなさい
あしたもまた生きなさい