JINSEI STORIES
人生は後始末「音楽は鍾乳洞」 Posted on 2017/07/13 辻 仁成 作家 パリ
夏のツアーがスタートしました。
日曜日が札幌、火曜日が仙台でした。
自分でもびっくりするくらい声も出るし、絶好調です。
3年半前の自腹ツアーのことを思い出します。
ふいにレコード会社がツアーキャンセルを宣言、前代未聞のことで納得できず、ロッカー魂が炸裂。
ローディさえつかずギターを背負い、たった一人全国を回りました。
いやはや、離婚直後でしたからね、すさまじい経験でした。
それが話題となり、マスコミの追っかけまでありました。
今回のツアーは3年半ぶりのニューアルバムを引っ提げてとなります。
でも、マネージャーらしき人が一人ついていますが、実は中身はあまり変わっていません。
結局、ギターを抱え、全国行脚しています。
でも、精神的には自腹ツアーよりはゆとりがあります。
自腹ツアーはライブの後、ギャラの清算とか、ホテルの支払いまでやりました。
なかなか経験できることじゃなかったです(笑)。
そういうことをしてまで、なぜ、ツアーをやるのか、ということです。
そこにステージがあり、そこにファンがいる限り、自分はやります。
札幌ライブの後、昔からのファンの人たちに囲まれました。
「ECHOESの時よりずっと声が出ている」
「昔より束縛されず自由に歌っている」
「変わらないのじゃなく、ますます、エネルギッシュになっている」
嬉しい言葉でした。
仙台ライブの後、新しいファンの人たちが言葉をぶつけてきました。
「今まで観た他の人のライブとは全然違って衝撃だった」
「あなたは何者だ? 驚いた」
「もっと早く知りたかった。毎年仙台に来てください」
嬉しい言葉でした。
楽器を片付け、最終の新幹線に飛び乗り、東京へ戻りました。くたくたでしたが、心地よい疲れでした。
窓外の景色を眺めながら思ったのです。歌をはじめた頃のこと、バンドを組んだ時のこと、デビューしツアーを回っていた時代、そして音楽を取り戻した後…。
小生の音楽は小生にしか作ることのできない世界なんです。
小生が生まれて今日までのすべてが凝縮され、スパークしています。
すべてが辻仁成劇場なんです。
小生も気が付いています。
いろんなことを乗り越えてきました。人生の荒波、面倒くさい人間関係、試練、不屈の精神、もろもろ。
でも、だからこそ、今の自分の歌が生きているのでしょう。
ギターを弾き、熱唱しているとき、自分が宙に浮いているのがわかります。
20代の頃には経験したことがありませんでした。この年齢で、やっと到達できた境地でもあるのです。
音楽は鍾乳洞のようなものだと思います。
たぶん、世界に一本しかない鍾乳洞の辻仁成鍾乳石柱です。
今日の後始末。
「小生の音楽はまさに天然記念物なんですよ!
最終日のブルーノート東京まで、まだまだツアーは続きますよ。見逃さないで!」
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辻仁成 LIVE TOUR 2017 “at THE NIGHT BAR” ライブスケジュール
■7月9日(日)北海道・札幌くうCOO
終了
■7月11日(火)宮城・仙台retro back page
終了
■7月18日(火)大阪・心斎橋JANUS
open18:00 start19:00
■7月19日(水)愛知・名古屋SPADE BOX
open18:00 start19:00
■7月21日(金)福岡・福岡Gate’s7
open18:00 start19:00
■7月22日(土)熊本・熊本Restaurant Bar CIB
open17:30 start18:30
◆7月30日(日)東京・ブルーノート東京
辻仁成(Vo、G)、奥村大(G)、TOKIE(B)、SHINTARO(Per)、ジョン磯江(Key)
1st open 16:00/start17:00
2st open 19:00/start 20:00
※2ステージ完全入替制となります!
チケット発売場所:チケットぴあ、ローソンチケット、e+
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