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退屈カフェ日記「朝の一杯のコーヒーでフランスが動き出す。パリのカフェ文化\(^o^)/」 Posted on 2024/02/12 辻 仁成 作家 パリ

退屈カフェ日記「朝の一杯のコーヒーでフランスが動き出す。パリのカフェ文化\(^o^)/」

某月某日、在仏22年の中で、やっとわかったことがある。
「カフェではじまりカフェで終わるのがフランス」だということだ。
朝、は、カフェのテラス席から、スタートする!

自分の家でも美味いコーヒーを飲めるというのに、みんな、必ず行きつけのカフェに顔を出す。(ぼくにはパリにも、ノルマンディにも、数件のいきつけカフェがあるので、そこを順番に巡っているのだ)
飲むためじゃない、多分、その景色の中に同化することに意味がある。
だいたい「アロンジェください」と注文する。
日本の「アメリカン」にあたるが、正確に言うと、「エスプレッソ」を湯で薄めたものだが、日本のアメリカンのような薄味ではない。
日本で暮らしていた頃、アメリカンコーヒーが大好きだったが、最近は薄すぎて飲めなくなった。香ばしさが、全然違う。
さらに、イタリアはフランスよりももっと濃い、どろっとしたのが出てくる。
イタリアのエスプレッソは飲み物というより、反固形物みたいだ。
渋いマカロニウエスタンって感じで、苦みばしったクリントイーストウッドのような顔になりながら飲まなければならない。
でも、パリの「エスプレッソ」はそこまで濃厚じゃない。
エスプレッソにカツを入れてもらう、感じ。そこからまた頑張れる、みたいないわば、人生のきつけ薬敵存在なのである。

エスプレッソに数滴ミルクを垂らしたものを「ノアゼット」と呼ぶ。
ノアゼットとはフランス語でヘーゼルナッツのことだが、もちろん、そんなものは入っちゃいない。
でも、言われてみるとノアゼット感を感じるから不思議だ。
渡仏したばかりの頃、「ノアゼット」はヘーゼルナッツ味のコーヒーだと信じて疑わなかった。☜違います。
この数滴の垂らされたミルクのこだわりがパリのカフェ文化の真髄だったりする。



退屈カフェ日記「朝の一杯のコーヒーでフランスが動き出す。パリのカフェ文化\(^o^)/」

同じように「カフェ・オ・レ」もパリジャン、パリジェンヌは違う呼び方をする。
ちょっと難しい、カタカナにすると「クレ(ン)ム」かな。
「クレームをつける」のクレームではなく、クリームのことなんだけど、発音は「クレンム」に近い。
カフェ・オ・レという注文の仕方は外国人観光客で、カフェ・クレンムと注文しているのはフランスで暮らしている人、ということになる。
ぼくの行きつけの数件のカフェは本当に地元の人しかこない、しかも人気店で、連日朝から晩まで賑わっている。
だいたいどこの店も、カウンター席とテラス席と奥の席の三ブロックに分かれているが、カウンターは労働者や警官やサラリーマンなどが、テラス席は地元のご隠居とか観光客とか或いは僕のような暇つぶし族で占拠されている。
奥のホールはいろいろな使い勝手がある。でも、長いこと居座る系の人が多い。地区や企業の人たちのミーティングルーム的な役割を担っている。
ちなみに、コーヒーの料金が席によって異なる。
カウンターで立ち飲みするのが一番安い。チップも払う必要がない。
中の席と外の席でも異なる(店によるけど)。フランス人はチップを置かない人が多いけど、まあ、ぼくは気持ち程度必ず残していく。40セントとか、笑。

11時半を過ぎるとランチの準備が始まるのでコーヒーだけというのは頼みずらいし、店によっては断られるところもある。
12時15分には追い出される。

退屈カフェ日記「朝の一杯のコーヒーでフランスが動き出す。パリのカフェ文化\(^o^)/」



たまーに、見かけるので、何度かすでに書いてきたが、
エスプレッソと強そうなカルヴァドスを交互に。注文する時は、「カフェ・カルヴァ」と言うって、注文をする。
エスプレッソの横に置かれたショットグラスの中身はカルヴァドス!
それを交互に舐めるのだ。今、ぼくは減坂中だから、やらないが、創作で煮詰まると、角のカフェに行き、カフェ・カルバ、を頼む。
効く。ひたすら、効くので要注意。でも、身体はぽかぽかになる。
よし、身体が温まったので、今日も創作の続きへと、向かいますか。
たかがこんなことで人生は十分に嬉しくなる。

退屈カフェ日記「朝の一杯のコーヒーでフランスが動き出す。パリのカフェ文化\(^o^)/」

※ たまに、昼間から酔いたい時、最近、飲みます。強いのだけど、コーヒーが引き留めてくれるんだよね・・・。

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ぼくは午前中、ランチ前にカフェで子犬の三四郎と時間を潰し、それから午後、買い物帰りなんかに買い物袋ぶら下げて立ち寄る。もちろん、三四郎も。
だいたい、テラス席に陣取る。
くだらないこと、記憶を漁ってみたり、哲学の端切れを噛むような妄想に浸ったり。
人生に疲れた時も、ウキウキするようないいことがあった時も、そこでにやにやしたり、俯いたりして生きて来た。カフェ人生であろう。
天井に温熱機がついているので(物凄く電気を無駄にしていると思うけれど・・・)、冬は、外の冷たい風にあたりながら熱線で頭部を焦がしながらコーヒーをすすっている。

退屈カフェ日記「朝の一杯のコーヒーでフランスが動き出す。パリのカフェ文化\(^o^)/」

※ 三四郎とカフェで綱引き・・・。

それでも、人生は、つづく。

退屈カフェ日記「朝の一杯のコーヒーでフランスが動き出す。パリのカフェ文化\(^o^)/」

今日も読んでくれてありがとう。
朝のいっぱい、昼のいっぱい、夕方のいっぱい、そして寝る前のいっぱい。だいたい、ぼくは一日に4回、コーヒーを飲んでいます。ただし、寝る前は、カフェイン無しのデカフェになりますね。
はい、それでは、お知らせをまとめて!

●小説「十年後の恋」集英社文庫版が1月19日全国発売。
●小説「東京デシベル」がイタリア、Rizzoli社から刊行されました。
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●6月30日、パリ・ライブ決定(詳細、待って)
●7月3日、リヨンでライブ!!!
・ジャパンストーリーズのインスタ、はじまりました。
https://www.instagram.com/japan.stories?igsh=MTA2dWFjODdsZnNrZA%3D%3D&utm_source=qr
新しいデザインストーリーズのインスタも再始動しています!
https://www.instagram.com/designstories_paris?igsh=cHlpdGFvdWkyYmdj&utm_source=qr
・それから、ぼくのなりすましが、ファイスブックで暗躍していて、問題が起きている、というので、皆さん、フェイスブック、ぼくのなりすましには、近づかないように、友だち申請とかしないでくださいね。要注意です。
以上です。

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