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パリ・アペロ日記「パリ最強の食品館で優雅にアペロをするのが夏のおしゃれ」 Posted on 2023/06/14 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、もう何度も書いてきたのだけれど、復習であーる。
父ちゃんが大好きなパリの老舗デパート、ボンマルシェの横に、食品館がある。要は、日本のデパートでいうところの、デパ地下であーる。
グランド・エピセリーーというのだ。

グランド・エピセリーの一階メインホールは正面玄関を入って右手からパン屋と生ハム、お惣菜コーナー、真正面の奥に肉屋、チーズや、左手に魚屋、中央に八百屋、フルーツ屋を、入り口付近には缶詰瓶詰乾麺類のコーナー、入ってすぐのところにケーキ屋が配置されている。
肉屋も魚屋も八百屋もこれが市場の「新鮮で安い」とは一線を画する、産地にこだわった希少種を含め珍しい食材を中心に質の高いものばかりが陳列されており、市場爆買いみたいなことは出来ないが、目の保養にはなるし、いいものをちょっと買って帰ることのできる喜びがついてくる。
ぼくは生活の基本食材は行きつけのマルシェ(市場)にいき安く買い揃えることにしているが、ここぞという食材はグランド・エピセリーまで必ず足を運ぶ。
何より、広々としたホールの(リニューアルされたばかりだし)その世界一センスのいいデコレーション(床のマーブルな色合いが最高)、配色、配置、何もかも、デパートの食品館のレベルではない。
食のテーマパークと呼んでもいい。
実に、楽しい。
それだけに世界中から観光客が集まって、いつも混雑している。
「あ、辻さん、わたし、来ました。ワインコーナーはどこですかぁー」
笑。ガイドじゃないけど、おひとよし父ちゃん、えへへ、と笑いながら、ちょっと道順とか、教えたりするものだから、マダム、気を良くして、
「辻さん、暇なら、デートしましょうよ」
となって、は? おいおい、となーる。

まあ、その辺は目くじらをたてることじゃないので、ぜんぜん、かまわないのだけれど、デートは、困る・・・。あはは。

パリ・アペロ日記「パリ最強の食品館で優雅にアペロをするのが夏のおしゃれ」



しかし、ぼくがグランド・エピセリーに行く一番の理由は食材を買うためだけじゃなく、ほぼ中央に設置された二軒のバーカウンター(スペイン系バル、トリュフ系バー)と、魚売り場の中に設置された僅か数席の魚介をつまんで軽く飲むテーブル席、に立ち寄ること。
※ 最近、ちょっと変わって、前ほど、タパスではなくなっています。要注意。
秘密の場所なのであまり明かしたくはないが、今日は、スペインバルの角席に陣取って、スペインの泡カヴァを舐めながら、スペイン産の高級生ハム、ベジョータとパンコントマテを味わった。
いや、これが実にうまい。値段はちょっと高めだけれど、買い物の途中にグテ(つまむ)が出来るのだから、気分は上々。今日はたまたまスペイン人観光客ばかりであった。
寿司屋のカウンターに日本人が並んでる感じか。ただし、グランド・エピセリー内のカウンターバーなので、それなりの値段がする。
言わば、シャンゼリゼ値段だ(笑)。
タパスではスペイン産の白ワインとベジョータ生ハム、フレンチスタンドではトリュフ入りのオムレツとフランスワインなんかをサクッと頬張って昼食としている。
隣が、フォアグラなどの専門店なのだ。
ギャルソンとかいないが、どの店も顔馴染みなので、立ち寄ればうまいものの話で盛り上がる。
時、旅行に行く時間もない時、長い原稿を書き上げた直後なんかに、僕はその端っこの席を温めながら、ちびちびとワインを舐めることを人生のご褒美と呼んでいる。

パリ・アペロ日記「パリ最強の食品館で優雅にアペロをするのが夏のおしゃれ」

パリ・アペロ日記「パリ最強の食品館で優雅にアペロをするのが夏のおしゃれ」



グラン・エピセリーを知り尽くしているかどうかでその面白さや価値は変わってくる。

地下にあるワイナリーはたぶん世界一じゃないかと思う。
ここなら、世界中のだいたいのワインやウイスキーが手に入る。ぼくはシャンパン好きなので、しかも、最近はゼロ・ドサージュ、つまり砂糖を使用していないまったく甘味のないシャンパンがマイブームだ。
ま、言い訳だけれど、太りにくい。ああ、言い訳だあー。言い訳です。
日本のウイスキーも充実している。山崎とか響の最高級品は数万円するのでぼくには手が出ないけれど、探せば、欧州向けの特別ウイスキーなどがいろいろ出ていて、そういうものは日本にはないし、手ごろな価格で手に入るので、愛飲している。

さて、いい気分になった。
父ちゃんは、気を良くして、家路に。
「あ、辻さーん、辻さん。ケーキコーナーはどっち?」
あ、いや、あの、わし、店員じゃないんですよー。
あはは。

パリ・アペロ日記「パリ最強の食品館で優雅にアペロをするのが夏のおしゃれ」



人生はつづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、観光客の皆さんが戻って来たパリ、毎日、快晴で行楽日和なのであります。ボンマルシェで目の保養をしたら、マルシェに出かけてみてください。楽しいですよ。サンジェルマン・デ・プレ界隈を散策するオンライン・ツアーを6月18日にやりますので、パリには行けないわ、という皆さま、ぜひ、御参加ください。父ちゃん事務所・全スタッフで頑張ります!!!
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