JINSEI STORIES
リサイクル日記「毎日を言葉で残す、人生を変える30の利点」 Posted on 2023/01/25 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ツイッターをちょっとペースおとしているのには、いくつかの理由がある。一つは、けっこう、嫌味とか、余計なお世話とか、もちろん、悪口とかもあるのだ。
よく読めば、嫌な書き方をしているな、というのまで含めると結構ある、笑、相手にしていないけれど、DMとかでもがんがん来るので、あんたにツイートしてるんじゃないけど、とは思ったけど、反論とかするほど暇でもないので、無視・・・。
嫌いなら、いちいち言いに来なければいいのに、とは思うのだけど、そこが人間なんだよなぁ。ツイッターってそういう場所だしねー。あはは。
そしたら、今度は、日記にまで文句を言う人が出て来て、マジ、暇なんか。
別に、読まないでいいですよ。こんなことで、いちいち、お互い、気分悪くならないですみますよ。ですよね?
ということで、ぼくは、毎日休まず日記を書き続けている。
日記は自分のために書いている。これは、本当に生きる上で自分を見つめるのに、心を安定させるのにも、役立っている。
だいたい毎日400字詰め原稿用紙で10枚前後は書いているかなぁ。もっとか・・・。
一年で200万字近く文字を刻んでいることになる。
小説ならば10冊分のボリュームになる? そんなに?
今日は書くことないな、とか、書きたくないな、と思う日も当然あるけれど、起きたらまず、日記と向き合う。寝る前ももちろん、向き合う。
筋トレをしないスポーツ選手はいないだろう、と自分に言い聞かせて机に向かうのである。あはは。
食後、しかも呑んだ後に日記に向かうこともあるので、眠くて仕方ない時もあった。
でも、とりあえず「石の上にも三年」という諺を壁に貼って頑張った。
というのは今までに日記帖を何冊も買ったが、毎回、三日坊主で終わっている。
書くことがないので、終わっちゃうのだ。
ところが、特別、書くことのない日々の中にこそ、実は、実は、人生の偉大なヒントが眠っているのだ、と気が付いた。
この日記を書くという日常から素晴らしい成果が生まれることを知ることになる。
もちろん、公開日記なので、書けないことの方が多いのだけど、でも、書けないなりにぼくは工夫をして自分の今現在をここに正直に、ある時は小説のやり方を取り込んで、記してきた。
この工夫も作家的には役立っている。
すると、日記がぼくの人生に今までにない光りをあてることになった。
日記の利点を以下に挙げてみる。
日記と向き合ってよかった点を数えたら30もあった。
1、 記録と記憶のデータ文庫になった。
2、 自分を正確に振り返ることが出来る。
3、 何でもない日常の中に数多くの人生の教訓があることを教えられた。
4、 普段なら忘れ去るようなことが文章にすることで尊い意味になった。
5、 その瞬間には意味がないと思っていたことが点と線で繋るようになる。
6、 常に頭を動かしているので脳細胞が衰えない。
7、 自分が何を考えているのかを知ることが出来た。
8、 嫌いだった自分を認めるきっかけになる。
9、 己の弱点を知った。
10、 過去の経験が参考になり、パターンに陥らないようになった。
11、 日記が次の目標や未来への大きなヒントを与えてくれた。
12、 失敗を恐れないで済むようになった。
13、 思考力の筋トレ効果。
14、 想いを吐き出すことで、心が毎日浄化されていった。
15、 自分の心の痛みの中心部を見つめることが出来た。
16、 その解決策も見つけることが出来る。
17、 なんとなく精神的健康を手に入れた気分になる。
18、 ストレスを発散することが出来る。
19、 ブレインストーミングになる。
20、 過ちの軌跡を辿れるので同じ過ちを繰り返さなくなった。
21、 一筆書きのようなものだから、クリエイティブ力がついた。
22、 一年を無駄に過ごさずに済む。
23、 仕事じゃないので、自由なこと、言いたいことを書ける。
24、 何よりも、持続力がつき、その結果、自信がわく。
25、 日記はそれを書いた人間の偉大な作品だ。
26、 自分の行動原理を分析することが出来る。
27、 毎日をしっかりと終わらせることが出来る。
28、 混乱したヴィジョンを整理し、一つのアイデアに集約出来る。
29、 何よりも書き続けることが楽しくなる。
30、 自分を応援したくなる。
もっとあるかもしれないけれど、パッと思いついたものを羅列するだけでもこんなに利点があったのだ。
時間を奪われる、面倒くさいなど、デメリットもたしかにあるだろうが、圧倒的にメリットの方が多い。
これらの中でも一番大事なことは日記を書くことで今日という日の自分に決着をつけ、その結果が良くても悪くても一定の納得を得られること、そして後悔や苦悩を明日に持ち越さずに済む上に、最終的にささやかな心の安寧を掴むことが出来るのだ。
人生は生まれて死ぬまで一直線だが、流してしまえばそれで終わってしまう一生も、その人生をきちんと見つめることで自分の所在を知り、自分の今を確認し、自分の未来への大きな指針を手に入れることが出来るのだ、ということを日記が教えてくれた。
ぼくの日記にまで文句を言う人はおかどちがいなのである。これはぼく自身に向けた心の筋トレなんだよ。ほっといてくれ!!!
人との関係性など、人間は生きているだけで苦しくなる環境の中にいるが、その時々で、自分がどう行動したのかを把握できれば、少なくとも負のループに毎度引きずり込まれることはない。それが大切なのである。
綺麗ごとばかり書かない。苦しい時には、苦しいと書く。だから、楽し時には本気で楽しいと書けるのである。
山あり谷ありだからこその一生じゃないか。
人生の意味や答えは実は自分の中にこそ存在する。
さて、今日も書くぞ!!!
つづく。
ということで、今日も日記を誠実に読んでくださって、ありがとう。多謝。
ええと、文章教室ですが、1月29日にやりますので、ご興味ある皆さん、ぜひ、覗いてみてください。エッセイの書き方、ブログなどへ投稿する文章の推敲や仕上げ方など、もろもろ、熱血で語らせて頂きます。下の地球カレッジのバナーをクリックください。
フランスの歴史的音楽ホール、パリ・オランピア劇場でのチケットは絶賛、発売中でーす。
直接チケットを劇場で予約する場合はこちらから。フナックでも買えます。
☟
https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/
フランス以外からお越しの、ちょっとチケットとるのが不安な皆さんは、ぜひ、ジャルパック・サイトをご利用ください。こちらです、
☟
https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/
そして、新作「辻仁成のパリごはん 2022年秋冬」(59分) 放送時間のお知らせです。
2023/2/17(金)後10:00~10:59【BSプレミアム・4K同時】
2023/2/21(火)後5:00~5:59【BS4K】※再放送
2023/2/21(火)後11:00~11:59【BSプレミアム】※再放送
さらに、
●「ボンジュール!辻仁成のパリごはん2022夏」の再放送が決まりました。
【NHK BSプレミアム】 2月12日(日)12:30〜13:29
(初回放送 2022年9月23日)
お知らせ多すぎますね・・・。メモしておいてねぇ。えへへ。