JINSEI STORIES

雑感日記「ここ最近、思う、ぼくなりの、コロナ禍の生き方」 Posted on 2022/02/11 辻 仁成 作家 パリ

ぼくは職業柄、なんか言われるのが仕事だから、ある意味、言われ慣れてきたけれど、慣れるのに、ものすごく時間がかかった。
最近、悪口とか誹謗中傷が聞こえてきたら、人の人生を踏み台にしやがって、とつぶやき、無視することが出来るようになった。
こういう訓練はあまりしたくないけど、人間が多すぎるし、社会が目まぐるし過ぎる、せいもある。
ぼくが田舎にアパルトマンを買って、3か年計画くらいで、生活の基盤を移転させたいと思ったのも、ひっそりと生きたいからだが、SNSの時代なので、生活地を移転したくらいでは、どうにもならない。
とはいえ、携帯を使わないわけにも、この日記もやめるわけにもいかない。
とくにデザーンストーリーズは、ぼくが自分が活動しやすくなるために作ったプラットホームなのだ。
多くの作家がブログやノートで活躍の場所を広げている、そういう時代なのだ。
投げ銭で生計をたてている、昔でいえば、路上ミュージシャンのネット版みたいな人が増えている、と訊いた。

ミュージシャンはCDが売れなくなり、sportifyなどへ移行しているけど、一再生回あたり、約0.001822ドル、日本円だと約0,2円なんだよ、と息子が教えてくれた。息子は10万回再生された。
それで8ユーロゲットしたそうだが、毎年、30ユーロ仲介会社に払っているから、「大赤字」なのだそうで、笑、前途多難だ、と嘆いていた。
もう、文化ではなかなか生活が出来ない世界になっている。



表現の場所が増えたのはいいことだけど、SNSなどはそんなに簡単な世界ではない。
デザインストーリーズはウェブサイトだけれど、滞仏日記はブログみたいなもので、誰でも自由に読むことのできるものとなっている。
ただ、これはぼくの日常をさらしているので、匙加減が難しい。
読まれて、皆さんを悲しませるようなことはだいたい書いていない。しかし、現実はもっと切迫したものを連れてくることもあるし、日記で書いてること以外にも実はいろいろなことが起きている。
まだ言えないこととか、言うと大変なこととか、精神状態とか、面倒くさいこととか、人並みに、毎日のようになんか起きているのであーる。匙加減匙加減・・・。
平穏な日記内容の日であっても、やはり何か大変が起きている。
けれども、そういうことは毎日あらゆる人の身の上に起きていることだと思うので、大変なことが起きても僕はそこを問題視しないし、皆さんを心配させたくない。
歯を食いしばって、乗り切っている。
困難は、数ある中の出来事の一つとして冷静に受け止め対処していく。
子供を育てないとならないのだ、子犬も増えたし、いちいち、頭を抱えてはいられないので、父強しというのか、生きるということを大局な見地で、つまり長い目でみながら、そういうことも人生あるよ、と自分に言い聞かせて頑張るだけだ。
ここだけの話だけど、こんな自由そうなぼくでさえ、「消えてなくなりたい」と思うことはあります。
でも、こんなぼくでも死なれたら困る人たちがそれなりにいて、たとえば息子君とか、普段はぼくに口もろくに聞いてくれないくせに、こんなオヤジでもいないときっと悲しむかも・・・。
ぼくの母さんは、ひとなり、自分を犠牲にするな、と言ったけど、ぼくや弟のために犠牲になり続けてきた母さんだからこそ言えた言葉だ。
ぼくは犠牲になるつもりはないけれど、自分の責任は果たしたい。
なんか、いろいろところで利用されてしまうけれど、静かに生きる未来を模索しながら、絶対、幸せになってみせる。笑。
 

雑感日記「ここ最近、思う、ぼくなりの、コロナ禍の生き方」



雑感日記「ここ最近、思う、ぼくなりの、コロナ禍の生き方」

コロナ禍になり、日本に戻ることが出来なくなった。
ぼくの場合、ネットが今や主な活動拠点となっている。
これはコロナの時代には助かっている。
感染症や紛争や温暖化が進めば、ぼくらの仕事の仕方、表現の仕方もどんどん変化していくのであろう。
sportifyのような音楽のプラットホームがどんどん出来ても、そこで作品を発表しているだけでは、なかなか生きてはいけない時代であるのも事実だし、ミュージシャンはやはり人前で歌ってこその存在意義があると思う。
コロナには、一日も早く終息して貰うしかない。

ぼくは日本でもう3年近く、ライブをやっていない。
昨日、サンクリの中原さんから「8月にやりませんか? 大きな会場ではないけど、いい会場から依頼がありました」
と朗報が届いた。
どうも、お盆の直前ということで、まだ、未定・・・。
オミクロンも、その頃には落ち着いているはずだから、
「可能だったら、ぜひ」
とお返事をしておいた。
三回もオーチャーホールのコンサートが中止になっているので、忘れ去られないうちに、皆さんの前で、生で歌わせてもららいたいので、朗報を待っててね。
とはいえ、コロナ次第だ。
万全の、コロナ対策を整え、今度こそ、待ってくれている方々の前に立ってみたい。ずっと我慢をしてきたので、そろそろ、神様、お願いします。
実現できるといいね。

雑感日記「ここ最近、思う、ぼくなりの、コロナ禍の生き方」

地球カレッジ

雑感日記「ここ最近、思う、ぼくなりの、コロナ禍の生き方」

自分流×帝京大学