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滞仏日記「ついに第2波が到来か。Jリーグの試合再開はどうなる?」 Posted on 2020/07/03 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、東京都の感染者数だけれど、一昨日107人、昨日124人、今日131人という、新型コロナウイルスの感染者数の3日続けての100人超え、今週頭、ぼくは日記で、50人超えが4日続いていると書いたばかりなのに、すでに倍の速度で現実は感染が拡大をしていることになる。手元にグラフがないのだけど、イメージして頂きたい。左側に第一波のお尻りがあり、5月1日が160人くらいの感染者で、5月4日に80人台に下がりそのまま緩く40人、30人と下降線を描いているのだけど、5月16日から20日は本当に少なく、0ではないが、数名というレベルまで下がって、一瞬、収束が見えたかと思わせた。しかしこれは続かずに、それ以降、じわじわ、とかなり緩やかな、でもまだ心配をするほどでもない上昇がはじまるのだけど、これを受けて25日に、「緊急事態宣言の解除」があり、すると待っていたかのうように、そこからじりじりと再上昇がはじまりだし、これを受けて、6月2日に東京都が「東京アラート」を発令、その時34人という感染者の状態だったが、それがあまり変わらない状態だったのに11日に「東京アラート」を解除するや、再び待ってましたと言わんばかりの勢いで、6月14日(47人)15日(48人)からぐんと感染者が増え、その後、また一瞬だけ減って、乱高下しながらも、24日(55人)に増えるとそこからは下がらず、緩やかに上がり続け、50人超えが6月30日まで続き、7月1日67人と頭一つ突き出し、1週間ほどこういう状況が続いて、危険だな身構えていた直後、2日に107人、今日3日124人という、右肩上がりの急上昇へと転じている。東京アラートが出た日(34人)の約4倍の感染者数だけど、例のごとく緊急事態宣言を「直ちに宣言する状況に該当せず」と菅さんはおっしゃられている。

滞仏日記「ついに第2波が到来か。Jリーグの試合再開はどうなる?」



ちなみに、4月17日の206人が今まで一番感染者の多い日だったと思うが、しかし、この右肩上がりの曲線を冷静に分析する限り、この線が、このままの推移で登り続けるならば、割と早い段階で、そこに到着しそうな上昇ぶりに見える。前回、4月のいわゆる第一波の時の上昇線と比較するなら2週間後には再び200人台を突破する可能性がある。描いている曲線が真実を物語っている。これはちょっと危険な傾向である。ということは、このグラフからだけすると、この右肩上がりの上昇波こそ第2波じゃないのか、ということにならないか。次の問題はこの第2波がどのくらいの規模に膨らみ、居残り、悪さをするのか、ということだと思う。



この後、この感染者の中で重症者がどのくらい出てくるのか、ということに尽きると思う。だいたい重症化するのは感染から1週間から10日後というのがフランスの状況だったので、7月の中旬くらいに病院が再び大変なことになるのじゃないか、と心配している。(感染している人が比較的に若いので第一波ほどにはならない気もする) もちろん、そうならないことを願っているけど、現在は手洗い、マスク、などが徹底されているので、一般の人への感染が急拡大はしない気がするが、4月のことを思い出し、備えるにこしたことはない。心配なのはサッカーの試合、Jリーグの有観客試合(上限5千人規模)が10日からはじまるということだけど、いろいろと対策は練られているのだろうが、この条項、もしかすると関東エリアは時期尚早かもしれない。

東京都知事選に関係なく、都の関係者の皆さんには都民の命を優先した対応をお願いしたい。というのか、フランスも先週日曜日に市長選があったけど、ハラハラで、案の定、投票率がめちゃくちゃ低かった。選挙は大事だが、感染対策を相当にしっかりしないと、ここからクラスターが出たらシャレになりません。とにかく、一人一人、いっそうの用心と、警戒を。・

滞仏日記「ついに第2波が到来か。Jリーグの試合再開はどうなる?」

※ 撮影、佐伯幸太郎

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