JINSEI STORIES
たとえばザクロの蕎麦サラダとか、どうでしょう? 昼の献立に。 Posted on 2025/03/22 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、朝、三四郎といつもの公園に行ったら、朝陽がアートしておった。
三四郎そっちのけで、静かに動く時間と光に見とれていた、父ちゃんであった。
こういう時、詩が生まれたり、絵のイメージが出現したり、メロディも出てくるし、記憶が揺さぶられて物語がはじまることもあって、人間って、不思議な生き物だな、と思うのであーる。
この光と影の中を、駆け抜ける三四郎がまた、かわいかった。
前脚をぴーんんと伸ばし、同時に後ろ脚もピーンと伸ばして、まるで、馬のようだった。
時間が止まる。
ぼくら人間はいつも時間に支配されているが、犬は、時間という概念がないからね。
ぼくは思う。時間なんかほんとはないんだって。
時計を付けているから、時間に支配されちゃうだけ。ぼくは、生まれてから、2,3度しか、腕に時計を、はめたことがない。
腕時計は持っているけれど、ぼくの持っているのは、針が付いてない時計なんだ。
笑。
時間を完全に捨てることができたとき、ぼくはきっと、悟りに入ることが出来るんだろうな。
だから、いつも、こういう光と影に引き寄せられるのか。
さて、そんな仙人のような父ちゃん作家による、今日の献立提案なのじゃが、まずは、ザクロの蕎麦サラダ、なんて、いかがであろう?
父ちゃんは蕎麦好きなので、これは、よくつくるよ。
蕎麦は、十割とかじゃなく、さらしな、とか、ああいう白いのがむいておる。
茹でて、水道水で冷やした蕎麦の水気をしっかり切り、ボウルの中で、ちょっと麺つゆをなじませてから、お皿の中心に横たえる。
ボウルに、今回は、ルッコラ、ラディッシュ、トレビス(苦いイタリアの野菜。最近、日本でも栽培している。紫キャベツに似ている色)パクチー、サラダ菜、それから、ザクロ、をいれて、よく混ぜ、オリーブオイル、レモン、胡麻、砕いたアーモンド、ちょっとだけマヨネーズ、ちょっとだけビネーグル、ほんのちょっと唐辛子系の何か、を混ぜ混ぜ、それを蕎麦の上に載せた、こうなるんだけれど、シンプルに、うまいのよ。
大事なのは、一つ、苦い野菜をいれてみてね。アクセントになるよ。今日だったら、トレビスと、ルッコラ、苦い、美味い!!!
それから、今日は、ザクロを混ぜてみた。これが、主役ね。
ザクロ、とくに、男性は、食べた方がいいよ。あの渋み、最高だね。
酸味がまた、あうんだ。
さて、サーモンの西京焼き、目安レシピ、一応、書いておこうかな。
え? 辻さん、そんなの主婦はみんな知ってますよって?
でも、西京焼きのパック、デパ地下とか、高いやん。
800円とか、1000円とかで、売っていた。うう、手が出ない。
なので、パリ在住の父ちゃんは1,2キロの安売りサーモンを買って、分割して、冷凍保存からの再利用して、お金がかからないようにしておる。とはいっても、高いけれどね・・・。物価高いぞー。
たとえば、日本だと、コストコみたいなところでまとめ買い、とか、いいんじゃない?
家計のことを考え、父ちゃんは、大量買いからの仕込み分割保存やってまーす。笑。
そして、そうすることで、長く漬かるからね、さらに、美味くなるのじゃ。
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サーモンの西京焼き、目安レシピはこちらだが、ちょっといい加減ですまんです。
適当な数のサーモンの切り身の水気をしっかり切ってジップロックに入れ、味噌(麹多めの味噌で、お願いします)、砂糖、みりん、酒、を、切り身の数にあわせて入れて、よく混ぜて、冷蔵庫で2,3日保存、でOK.っていうか、西京味噌だともっと簡単。その場合は、入れるのは酒くらいでいいかも。
こんないい加減なものだけれど、その時の分量や魚の個体差もあるから、大匙1とか、断定してもねー、でも、切り身2,3枚に対して、ぼくは大匙1くらいの味噌を使う目安でやってます。よっしゃ、レッツトライ!!!
この写真のは、7,8切り身をいっぺんにジップロックで漬けたもの。このあと、サランラップで小分けして、すぐに食べないものは、冷凍保存、という流れだよ。
ところで、おやじのほんとうの、一人飯は、下の写真のごとき、こういうものなんだよ。えへへ。
いつも、日記で、みなさんに、かっこええところを見せようとして、ゴージャスな料理しているけれど、実際は、ちょっとちゃうで。
シャウエッセンのようなもの、サーモンの西京焼き、目玉焼き、いんげん茹で、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁、それと、ビール、最高でしょ?
白ごはんにはごま塩、なんだよねー。いいね!
あはは。
そして、今、ぼくのグルメ仲間たちのあいだで、マジ、大人気なのが、こちらの「ニコラ・ベルナルデ」なんだけれど、このチョコクッキーとか、もう、素晴らしい。
わざと(? 最初から?)、パリ市内に店を構えないで、パリの外に一店舗だけ出している強気。
有名になると、すぐ、二店、三店と出して、本店からパティシエがいなくなる店が多出していて、パリはそこら中、工場を持っているチョコレート屋だらけなんだよねー。(内緒だよ。でも、事実なんだもの。やっぱ、パティシエが作るチョコがうまいね)
でも、この人は、大成功をしても、郊外の店から動かない。逆に、そこまで買いに来てね、というほどの自信&マイペースぶり。実力が凄い、と思う。
マジで、美味いんだもの。友だちのパティシエもわざわざニコラ・ベルナルデの本を買ってた。プロが真似たくなる、プロの味。
ね、すごいパティシエ。
ここのチョコレートパウンドケーキは、マジで、美味い。(写真、撮り忘れて、食べちまった・・・。すまん)
とまれ、久々に、ほんもの登場、クラクラしています!
ボナペティ。
つづく、
今日も読んでくれてありがとうございます。
東京、岡山、パリと今年は、3か所で、個展を展開する、父ちゃん。
いま、その準備に、燃えております。
下の作品は、ノルマンディの風景をぼくの印象だけで描いたもので、抽象画とも違って、でも、頭の中にある風景なので、うーん、新しい印象派かな~、笑。しょってるな。
この三か所の個展、「ビジター(訪問者)」という総合タイトルが付されます。たぶん。少なくとも、日本の個展、東京と岡山は、ビジター、です。
何がやって来るのか、楽しみですね。
そして、父ちゃんの生ラジオ、次は、25日、今回は、自作小説の朗読をやる予定であります。ご興味ある皆さんは、下のTSUJIVILLEへ。
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