JINSEI STORIES
父ちゃんだって疲れることもある。タラのクリーム煮で、豪快一人で生きる飯 Posted on 2025/03/09 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、たまに、年に、2,3度くらいかな、ああ、もうだめだ、と思う時あるよね?
そういうタイミングに襲われて、手も足もでない、晩冬のノルマンディ・・・。
三四郎は悪さばかりするので、へとへとな父ちゃん。
他の犬は、ちゃんということ聞いているのに、さんちゃんは、弱っている父ちゃんを無視して、好き放題、やっている。
ま、犬だから、と諦めて、眺めて、でも、そんなさんちゃんに元気もらって、がんばっていくぞ、と新たに決意した、父ちゃんであったー。
それにしても、人間に疲れるんだよね。
最近、人間社会によって、そうとう、くたくたになっている、父ちゃんなのだ!
黙っとけよ、と思うけれど、ぺちゃくちゃ、あることないこと言いやがる、おい、自分の顔を鏡で見てみろよ、と思わず、(心の中で)怒鳴った、父ちゃん、あはは。
でも、言えない父ちゃんは、海に行くんだ。
心って、負のループみたいなものに巻き込まれると、厄介だよね。
息子のことなんかも、めっちゃ心配だけれど、世の中って、うざいからな、なかなか、ほっといてくれない。
目の前にいたら、おしゃべり野郎は、はり倒してやるんだけれど、ま、心優しい父ちゃんだからね、できなーい、あはは、落ち着いて落ち着いて、海でも眺めに行きなさいって、・・・。
あー、それにしても、腹減った。
気が晴れなくても、疲れても、怒っても、腹が減るね。
そういう時は、美味しいものを作って、自分を優しく宥めてやるに限るよね。
はい、ということで、今日は、海辺のスーパーで安いタラを見つけたぞ。
セールやっていたので、これを利用して、(大量に買ったので、明日もタラに、明後日もタラかな、笑)
タラのレモンクリーム煮を作るよ。うまいぞ!
よっしゃー、残った力をふりしぼって、いってみよーーー。
ということで、今日は、タラのレモンクリームソース、を作ったので、ご紹介したいと思うのであーる。
これが、胃に優しい、疲れた心に染み渡る、うまさ、なのだった。
簡単だから、ぜひ、やってもらいたい。
タラじゃなくても、白身魚ならなんでもいいよ。
主な材料:
たら、(白身魚、なんでもいい、なんならサーモンでもよか)
サワークリーム
マスタード(ディジョンのがいいけど)
オリーブオイル、
レモン、
パルメジャーノチーズ、
白ワイン、
お米、
エシャロット、
バター、(バターは使わないでもいい。いちおう、いれておく)
塩胡椒、
かな・・・。
リゾットじゃなくて、白ごはんでもいいくらいだから、でも、せっかく作ったから、一応、簡単に、リゾットも作り方、残しておくね。
お米1合に対して、400ccのチキンダシスープ用意しといて、
リゾットはいろいろと方法があるけれど、今日はタラのレモンクリームソースとあわせるので、だいたい、同じ味にするよ。
オリーブオイルひいて熱したフライパンに、まず、千切りのエシャロット、それから、お米を、好きな量いれて、チキンスープ、白ワイン、レモン、などもぶっこんで、味見しながら、15分くらい、炊いていく感じ。
最後に、レモンの皮をいれるからね・・・。(皮を使うから、気になる人は、有機のレモンでお願いします)
さて、じゃあ、タラのクリーム煮込みの方、やるね。
(タラは海の臭みがあるので、ちょっと塩をふって、少しおいてから、水気をとって、料理すると、臭み消えます)
ココットに、オリーブオイルをひいて、タラの片面を焼き、一度、取り出す。
タラの香りがオリーブオイルにうつっているので、そこに、白ワイン、マスタード、サワークリーム、レモンなどをいれて、最後に、パルメジャーノチーズをいれて、よく混ぜてソースを作ったら、そこにタラを戻し、弱火で蓋をして、火が通るまで。最後に、フラードセル、黒胡椒、追いパルメジャーノチーズをかけたら、仕上げに、レモンの皮をチーズの摺りおろし器でこすって、雪のように振りかけて・・・、完成ね。
お皿に、リゾットを敷き詰め、その上に、タラを載せ、最後に、ココットの中のクリームを回いがけして、大完成となるのじゃ。
うわ、美味しそうでしょ?
最高に美味しかったのであーる・ぬーぼー。
※ このレモンの皮が、決め手になるから、ね。作っている最中に、中にいれると、もっとレモン風味が馴染むし、こうやって、上にかけるとアタックが強くなるよ。お好きな方でいいよ、別に、生きてるんだから、好きにやって。
ソースがね、見て、すっごく美味しいので、これも、バケットでスカルペッター、しちゃいましょうかね。汁につけて、食う、という野蛮な行為、でも、最高なのだ。
生き返るわ。マジで、美味いもん、食えば、生き返る。自分で作って、これ食べれたら、最高じゃんね。お金かかんないし!
美味しいものを食べたので、元気になった、父ちゃんであった。
ぼくは最近、友だちが増えた。
若い頃は、孤独を愛する、とか言っていたけれど、年を取った今、友だちがいると、安心をするようになった。
死ぬときは一人だけれど、それまでは、いろんな仲間たちに支えられて生きていこうかな、と思っている。
一人が好きだけれど、一人で全部抱えると、どんどん負の方へ傾いていくタイプだからね、そういう時は、パパとも、ママともと会って、気晴らしに限るね。
友だちと書いたけれど、父ちゃんって、なんか、敷居が高いみたいで、心を許して近寄って来る人はあまり多くない。
なんかね、辻ワールド垣根が出来ているみたいで、人を遠ざけるタイプらしい。(野本くらいだね、その垣根をものともせず、ずかずか入り込んで来るのは・・・あはは)
孤高の父ちゃんなんだよね、神経質だし、つるむのが苦手で、割と、一人飯ばかりしているかもしれない。だから、犬と生きる、なんかな?
でも、人恋しいよ。
過去は振り返らないと言ってるけれど、思い出は、いい思い出だけは大事にしている。
今日もタラのクリーム煮つまみながら、幸せだった頃を思い出していた。
あはは。
そんな日もあったんだよ。
あるだろ、当然じゃ!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ま、料理はね、作ってあげる人がいたら、幸せ、だよね。ぼくはご飯をふるまうのが圧倒的に好きな人間だから、いつも、寂しくなるとホームパーティをやっていますよ。でも、みんなが帰って一人になるのが嫌いだから、食べ終わるまでに全部、お皿を片付けている。そして、一人になったら、三四郎とソファで丸くなって、自分の大阪のライブ音源を訊いてる。ほら、曲間で拍手があるでしょ? あの拍手の音で、ぼくは一人じゃないって、思い知っているのです。みなさん、マジで、ほんま、ありがとうございます。明日も献立に役立つ料理、探して、ご紹介しますねー。ア・ドゥマン~。
【お知らせ、まとめ】
1,エッセイ集「犬と生きる」好評発売中。マガジンハウス刊
2、ラジオ・ツジビル生放送、月3回、次回は、15日、日本時間、22時スタート
3,引退ライブ公演のDVD記念ボックス:
https://tunagate.com/community/vlKQvE5b/products/21
4,個展、三越日本橋本店、2025年7月9日(水)~21日(月)詳細は、6月ごろに三越のHPにて発表。
5,個展、岡山天満屋:2025年7月23日(水)~28日(月)
6、サティとラベルの曲を演奏しながら、これまでの作品をも鑑賞できるYouTube
7,パリ個展、ギャラリー、20トリニー。10月中旬から2週間、予定。
8,引退公演「大阪フェスティバルホール」ライブ配信、全プラットホームにて。