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「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね! Posted on 2025/02/27 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、新刊「犬と生きる」がパリの事務所に届いた。
息子が進路のことで悩んでいるので、話し合いをした。どうやら、彼は大学院でマクロ経済の勉強をしたい、らしい・・・。マクロ?
そして、その専門家になりたい、と言い出した。
マクロ経済って、何か、そもそもよくわかない父ちゃんだったが、知らないとは親としていえないので、ああ、あれね、あれか、どんな学問も究めるのはたいへんだよね、と当たり障りのない返事をしておいた。
「大学を出たあと、どうするか、考えている」
「あゝ、それは大事だね」
「いろいろと出口を探している」
「うんうん、で?」
「大学院というかインターナショナルのマスターに進もうかなと思ってる」
「あ、いいね」
実は、いいね、と言ったが、ちんぷんかんぷん。父ちゃんは、ロックと、文学なら、ある程度、わかるんだけれどなー、あはは。
「その後、二つの道を考えている」
「いいね、クロスロードだな」
「うん。将来的には、いくつかの大学院を渡り歩いて、国際経済の仕事につく。上の大学院で学びながら、企業で研修しつつ、給料貰っていけたらいいかな」
「ほー、いいねいいね。それ、すごそうじゃん。一挙両得じゃん」
ぜんぜん、わかってない、親なり。隣で三四郎が寝ていた。
もう、ぼくがこの子に教えてあげられるものはないんだ、ということには気が付いた。知り合いのロベルトがマクロ経済学の博士なので、彼に相談をしに行きなさい、ということで、話は落ち着いたのだった。
「これ、三四郎のこと書いた本?」
「あ、そうそう。今日、届いたんだよ、日本から」
「イラスト、そっくり」
「あはは」

「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね!



ということで、20歳の若者はこんな不条理な世界で生きながらも、彼なりに、出口を探しているのだった。
彼は彼なりに一生懸命頑張っている。しかし、人生というものは、いろいろと大変な問題、難題を押し付けてくる。
親として出来ることは、美味しいものを作って食べさせること、そしてその作り方を教えること、いつでもつらい時に帰って来ることが出来る安寧の場所を維持すること、なのである。

さてさてさて、今日は、父ちゃんのオリジナルレシピによる「アペロ・サンド」をご紹介したい。
「美味しいね、これ、どうやって作るの?」
父ちゃんの「アペロサンド」、昔から、息子くん、大好物なのだ。
夕方、辻家では、テーブルの上に、こういうのが並ぶ。
ぼくはワインで、息子はジュースとかで、おやつを食べるみたいに、頬張るのだ。アペリティフタイム用一口サンド、ということになる。
じゃあ、いつものごとく、材料から。
・フロマージュ・ブロン(日本だとクリームチーズでいいかな。フランス版のクリームチーズが、フロマージュ・ブロンということになるのかな)
・スキールヨーグルト(ヨーグルトでもいい。ギリシャヨーグルトとかいいね)
・マヨネーズ
・オリーブオイル
・パセリ(結構、たくさん使います)
・塩胡椒
・黒七味とか、唐辛子とか。
適当に、アイデア次第で、なんでもいれちゃってください。
・そうだ、今日はツナを入れた。
上記のものをボウルの中で、まぜまぜするだけ・・・。
カットしたバゲットを用意し、オリーブオイルをたらし、生ハムを載せ、このディップを載せて、上に、トマトとか、いくら、とか載せてもいい。
これがも~、すんごく、美味しい。
みんなの話が弾む、という寸法であーる。

「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね!

「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね!

「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね!

※ 盛り付け方1

「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね!

※ 盛り付け方2



ということで、メインはこちら、たらこのスパゲッティなのであった。
フランスは、日本の明太子の販売が出来なくなったみたいで、日系スーパーから明太子が消えたのだけれど、大手スーパーとかに行くと、フランスでもたらのこっこが買える。
ヒュメ(燻製)のたらこで、普通、フランス人はそのままカットして、パンに載せて食べるのだけれど、ぼくはフライパンで皮だけ焼いて、(一分程度)ね、で、皮をむいて、中身を取り出し、細かくカットして、ボウルにいれ、生クリームとかオリーブオイルとかバターとかごま油とか醤油とか麺つゆとか胡麻とか紫蘇とか入れて、茹で上がった麺とゆで汁少々をそこにぶち込むと温度でバターが溶けていい感じで、濃度が出して、ソースにする。
明太子風にしたければ、そこに、唐辛子オイルとかを加えて調整し、最後に紫蘇といくらなどをトッピング!
これが最高に美味いたらこのスパゲッティになるんだ。生活の知恵だね。
とくに、美味しいたらこの燻製、ボンマルシェの食品館で、8ユーロで売っているよ。
これ一つで、家族4人分は賄える。ええと、ただ、塩味が強いから、塩はいれちゃだめ。これがコツである。
日本だとどこに行っても、普通に、明太子売ってるから、いいな、羨ましいぞー。フランスの燻製たらこは、もちもちで、かなり濃厚なのだ。だから、煮て非なる感じ。食べさせたい、あなたに! 笑。

「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね!



「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね!

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、今日、拙著「犬と生きる」が日本全国の書店さんで発売になります。手に取って、パラパラ捲って、気に入ってもらえたら、ゲットください。笑。夕方、さんちゃんと、画材屋さんに行って、80号のキャンバス(150センチ×120センチ」買って、ふーふー、いいながら、持って帰りました。左手にわんこ。右手にキャンバス。ひゃあ、それなのに、途中で、うんちをしたさんちゃん。ここかよー、頼む、あああ、うわ、パニック!

「犬と生きる」さんちゃんの本が発売になりました~。こんな人生が待っていたんだよね!

※ うんちをビニール袋に入れてゴミ箱に捨てに行った帰り・・・。キャンバス、でっかいでしょー。これを5キロも抱えて、運んだ。まだ、わかいもんには負けへんでー。

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